おなかをすかせたむらムチ!
ムチちゃんとレンは一緒に旅をすることになったムチ。一緒にムチムチ街道を歩くムチ。
でも、ムチちゃんとレンは歩幅が違いすぎるムチ。ムチムチ族は手足が短いからあんよが遅いムチ。
レンは優しいから、ムチちゃんを抱っこで運んでくれたムチ。ムチちゃん、とっても楽ちんムチ。
そんなこんなで街道を何日か歩いていくと、寂れた村に着いたムチ。
「レン、この村、なんかおかしいムチ」
周りに聞こえないようにひそひそ話ムチ。一言でいうと活気がないムチ。建物がボロボロむち。畑? が荒れているムチ。みんな下を向いているムチ。
「略奪にでもあったんだろうね。物資の補給は難しいかな」
レンも小声で返してくれたムチ。
「かわいそうムチ。略奪なんてひどいムチ」
「この国は戦争中だからね。そういうこともあるさ」
「ムチちゃん、ムチムチ大使として何かしたいムチ。おうさまも困った人は助けてあげてほしいって言っていたムチ」
「助けるってどうするの? この規模の村だと100人はいるよ」
「おうさまがくれた"ムチムチ大使のしおり"を読むムチ。きっとムチムチ大使としてどうしたらいいか書いてあるムチ」
ムチちゃんは袋から小さな冊子を取り出して、レンといっしょに読んだムチ。
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ムチムチ大使のしおり ~おなかをすかせたひとがいたら~
お腹を空かせた人がいっぱいいたときは、ムチ袋にある"お腹が膨れる保存食"を振る舞うムチ。いっぱい入っているから、たとえ10,000人に振る舞っても大丈夫ムチよ。栄養バランスもいいムチよ!
お腹が膨れたら心に余裕が生まれるムチ。きっとこちらの話も聞いてもらえるムチ。
大きい村の村長さんなら、ムチムチ大使のことを知っているはずムチ。炊き出しの許可ぐらいすぐに出してくれるムチよ。
ひとまずのお腹が膨れたら、次は未来のお腹をいっぱいにするムチ。ムチ袋にある"すぐにいっぱい実る種"を畑に蒔いてもらうムチ。
この種は荒地でも1週間で収穫できるすごい種ムチ。なんと、土が元気になるおまけつきムチよ。ただし、一代限りの種だから、並行して普通の種も蒔いてもらうムチ。
これで次の実りまでしのげば、きっと元通りおいしいご飯が食べられるようになるムチ。おいしいご飯が安心して食べられたら、毎日幸せムチ。おうさまはこの幸せが世界中に広がってほしいと思っているムチよ。
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「……ムチちゃんの国の王様はすごいね」
「そうムチ! おうさまは飲んだくれの酒クズだけど、決める時はちゃんと決めるムチ。しゅごいムチよ」
「そうなんだ……」
ムチちゃんのムチムチ大使としての初仕事ムチ! 騎士様を目指す者としても、困った人は見過ごせないムチ!