たいいんムチ!
みなさまお久しぶりですムチ。ムチちゃんムチ。
フレイの経過は順調で、ムチドク先生からも寛解と太鼓判をいただいたムチ。魔物食で魔力器官は回復したし、マージムチ先生やムッチーノ先生の教導はフレイの実力を一流の手前まで押し上げたムチ。あとは経験を積めば、立派な騎士様になれるムチ! ぜったいのぜったいムチ!
そうして退院の日がやってきたムチ。
ムチムチランドの広場にみんなが集まっているムチ。時刻は昼過ぎ、天気はやや曇り、暑すぎず寒すぎずでちょうどいいムチ。ムチドク先生、マージムチ先生、そしてムッチーノ先生、そしてフレイとムチちゃんがいるムチ。
「フレイ君、お疲れさまでしたムチ。もう医者として君にすることはないムチ。君は立派な健康体ムチよ!」
「ムッチーノ! 短い間だったけど、教え甲斐のある生徒だったムチーノ。精進を続ければ、きっと立派な騎士になれるムチーノ。先生が保証するムチーノ」
「基本的な魔力の使い方しか教えられなくてすまなかったムチ。今度来たらとっておきの生活魔法を教えるムチよ」
「ありがとうございます」
お礼を言うフレイの姿は、それまでの沈みがちだったそれとは違いとってもキラキラしたものだったムチ。
「挨拶も終わったところで、そろそろ時間ムチ。マージムチ先生、お願いしますムチ」
「わかったムチー」
"いってらっしゃい"
ムチちゃんとフレイはマージムチ先生が出した扉をくぐったムチ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
フレイの屋敷に戻ってきたら、団長と家宰さんと知らないおじさんが待っていたムチ。おじさんはすごく威厳があるけど、どこかフレイと似ているムチ。きっとフレイのお父さんムチね。家宰さんもお父さん? もとっても嬉しそうムチ。
「父上、ただいま戻りました」
「見違えたぞ、フレイ。あの病を克服しただけでなく、よい鍛錬を積んできたな。向こうで素晴らしい師に会えたのだろう」
「はい、短い間でしたが、ムチムチランドでマージムチ様とムッチーノ様に教えをいただきました」
「今、なんと言った? マージムチとムッチーノと聞こえたのだが……」
「その通りです、父上」
フレイのお父さんと家宰さん、なんか困った顔をしているムチ。団長が裏でニヤニヤしているムチ。気味が悪いムチね。
「当主様、そろそろ中に入られては……」
「そ、そうだな。グレイルとムチちゃん、後で詳しく聞かせてもらうぞ」
ムチちゃんと団長は応接室に通されたムチ。とってもきらびやかで格調高い雰囲気のある部屋ムチ。
こん、こん、こん
規則正しいドアノッカーの音のあとに、フレイのお父さんと家宰さんが入ってきたムチ。
「このたびは、息子の命を救っていただき……フェイルノート家当主として礼を言わせてもらう」
フレイのお父さん、とてもうれしそうなのがわかるムチ。みんながニコニコだとムチちゃんも嬉しいムチ!
「公式の場でもないんだし、堅苦しい話し合いは無しにしようや。俺もお前も柄じゃねえだろ」
「そうだな。俺はともかく、グレイルがお堅い真似なんて喜劇でしかない。お互い時間がないだろうから、単刀直入にいこう。俺は何をすればいい? 息子の難病を完全に治しただけでなく、騎士としても申し分ないほどに鍛えてもらった。正直なところ、釣り合う謝礼が思いつかんのだ」
「なあに、そう大したものは要求しねえよ。俺がムチ助に頼んだのは病の治療で、あとはこいつらムチムチ族のサービスだからな」
「そのムチムチ族のサービスが豪華すぎるんだよ! 英雄クラス二人の指導って何だよ!!」
「さすがに俺もムチ助たちがここまでやるとは思っていなかったが……そうだな、礼ならこいつの推薦人になってくれ。騎士になりたいそうだ」
「このムチムチした子がか? ふむ……よかろう」
「本当ムチか? ムチちゃん嬉しいムチ」
「実力はだいたい見て取れる。バイゼルに匹敵する堅城、といったところか。俺でも崩せるか怪しいな。ぜひ、立派な騎士になって、この国のために働いてくれ」
「わかりましたムチ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
帰り道は馬車に揺られて移動ムチ。団長と二人ムチ。
「団長、今回の仕事、ムチちゃんがんばったムチよ」
「ああ、そうだな。今回はお前の持っているコネの凄さを思い知ったよ」
「次はもっと騎士らしい仕事がいいムチなー。ムチちゃんえいえいえいって大活躍したいムチ!」
「残念ながらそういう仕事はないぞ。そんなもん、俺かバイゼルがガーッと行って終わりだろ。ムチ助の出番はねえよ」
「がびーんムチ。ムチちゃん、出来ることには限りがあるから、次はお手柔らかにお願いするムチ」
「おっ、そうだな。考えといてやるよ」
あ、これは全然考えていない顔ムチ。
これは余談ムチが、フレイは数年後に無事後継の指名を受けたムチ。鍛錬を続けたフレイは国内で五指に入るほどの力をつけ、お父さんをとっても喜ばせたそうムチ。めでたしめでたしムチ。