とーちゃんはしゅごかったムチ!
「ムチ太郎、勝手に進むんじゃねーよ」
団長が部屋に入ってきたムチ。
「おっと、これはすまんムチ。久しぶりに我が子に会えると思ったら、いてもたってもいられなかったムチ」
「まあいいけどよ、かつての神剣ムチ太郎がとんだ子煩悩になったもんだな」
神剣? ムチ太郎様のことムチか?
「とーちゃんは農業が大好きな優しいとーちゃんムチよ。英傑・神剣ムチ太郎様とは人違いムチ」
「そうムチよ。私はただのムチ太郎ムチ。神剣様のようなスーパーイケメンのムチムチ族とは関係ないムチよ」
とーちゃんもプルプルしながらこう言っているムチ。やっぱり人違いムチね。
「そうかいそうかい……どうでもいい話だが、ムチ坊のプルプルは親譲りだったんだな」
そういった団長は瞬く間に背中の大剣に手をかけると、
「しゃあっ!」
団長が必殺の斬撃をとーちゃんに放ったムチ。あんな大技を受けたら、とーちゃんが死んじゃうムチ!
「団長、何てことするムチ!! とーちゃんが死んじゃうムチ……って、あれ?」
「大丈夫ムチよ、ムチちゃん。斬撃と衝撃は全て斬り殺したムチ」
あんな大技を受けたのにその場から一歩も動いていないムチ。斬り殺したって……手刀で!?
それに余波による傷が部屋にも廊下にも全くないムチ。あの斬撃を完全に殺したムチか!?
「これでわかっただろ、ムチ坊。タダの農民に今みたいな真似ができるか?」
「こいつが正真正銘の神剣ムチ太郎──その人だよ」
が──ん
ムチちゃん、びっくりムチ。