おていれくんれんムチ!
今日はお外じゃなくて講堂での訓練ムチ。何を教えてくれるかムチちゃん楽しみムチ。
少し待つと、団長と知らない人が入ってきたムチ。赤黒く焼けた上半身がたくましいムチ。
「今日は新しい試みとして得物の手入れの訓練を行う。今回は鍛冶ギルドからゼフ親方に来ていただいた。テメエの命を預けるんだ、せめて簡単な手入れぐらいできるようになれってこった。では親方、後はお願いします」
ゼフさんが壇上に上がったムチ。
「ゼフだ。刀剣鍛冶をしている。今日は基本的な手入れと研ぎの基本を覚えてもらう。難しいところは専門家に投げた方がいいが、簡単な手入れをこまめにやっていれば、得物はそれだけ長く使える。財布にも優しい。浮いた金で酒でも飲みにいけるっていう寸法だ。少しはやる気が出たか?」
「はいはーい。やる気でたムチー!」
「元気がいいな、ボウズ。そのムチムチしたフォルム──ムチムチ族か?」
「そうムチ! ムチムチ族を知ってるムチか?」
「ああ、ムチムチ大使の紹介で名工ムチテツに師事したことがある」
「ムチテツおじさんムチか! ムチちゃんもおじさんに手入れを習ったムチよ」
「おお、そうか。ボウズとは兄弟弟子ってことに──おっと、話がそれたな。今日は鋳潰す予定の刀剣を山ほど用意した。お前らにはこれを実際に手入れしてもらう。まずはオレが手本を見せるから、全員近くに来い!」
そう言ってゼフさんが刀剣の山から一本取り出し、無造作に研ぎを始めたムチ。さすが親方の業、近くで見たら分かる小さな刃毀れがすっかりなくなったムチ。
新品とはいえないけど、ぱっと見、手入れの行き届いた刀剣に見えるムチ。
「まあ、研ぎはこんなもんだ。各自、今見たとおりにやってみろ!」
「オイオイオイ……いきなり言われてもわかんねーよ」
「取り敢えずやってみるか」
「心配しなくても練習台はアホほどある。いきなりオレのレベルは要求しねえから、気楽にやってみろ。それでは始め!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
自分の作業をする前に、みんなの様子をチェックするムチ。
レンのほうは順調に手こずっているムチね。後で時間ができたら教えてあげるムチ。
ティアはけっこう上手ムチ。ティアは器用ムチね。
他のみんなも四苦八苦しているムチ。
みんなの様子もわかったので、いよいよムチちゃんの作業ムチ。
「まずは観察ムチ~ よーく見るムチ~」
刀身をよーく見て、細かい刃毀れを発見ムチ。
「少しずつ~ 研ぐムチ~ よいしょよいしょムチ~」
砥石の上に刀身を置いて、まっすぐに研ぐムチ。人間さん用の刀剣は長いから扱いがたいへんムチ。
「こまめに観察ムチ~ よーく見るムチ~」
目を皿のようにしてチェックむち。手を動かす工程も大事だけど、見る工程も同じくらい大事ムチ。細かい刃こぼれはだいたい潰せたムチね。
「次は重心の確認ムチ~ 色々な持ち方で違和感チェックむち~」
「はい、そこまで」
ゼフさんからストップがかかったムチ。
「ソコまでやられたら、ウチらの商売あがったりだ。お前さんはその辺で勘弁してくれ」
そうムチね。騎士団の武器は定期的に鍛冶ギルドで修理をお願いしているムチ。メシの種に手を出したら、ヘタをしなくても戦争ムチ。
「ごめんなさいムチ。楽しくてちょっとやりすぎちゃったムチ」
結局、ムチちゃんは教えることナシということで、ゼフさんのアシスタントにされたムチ。でも、みんなで武器のお手入れをするのは楽しかったムチよ。