04.とりあえず長らくはブリトー禁止ね
さんざん泣いたあと部屋に戻った
今まで溜め込んできたものが全部流された感じ。
外が暗くなる頃にはみんなリビングに集まってた
マクロ「よし。しっかり集まったね」
朝のようにテーブルを16人がとり囲む
マクロが指をパチンと鳴らす
その瞬間、テーブルに日本地図が浮き出てくる
照明は青白くなり
カーテンは勝手に閉まった
地図をよく見ると所々に×印がある…
「モブは初めてだよねこれ
サッチャーに目立つことすれば居場所がバレる
だから引っ越さないと面倒」
マクロは地図の現在値に黒いマーカーで×をかいた
「長崎のときはユズとクララがやらかした」
×がつけられた長崎を指さすつらら
ユズ「だからあれは不可抗力よ!
正当防衛って知ってる?」
どうやらこの気の強そうなポニテは
ユズという名前らしい
つらら「ふ〜ん。お前の正当防衛って
支部をまるまる潰して来ることなんだぁ」
ユズはマッシュを睨んだ
「もともとはクララが偵察の任務ミスったからよ?
サッチャーの女性職員を口説こうとしてたからね?」
マッシュヘアの長身はクララという名前か
「鹿児島のときはりあるのクソオーダーで死にかけた
よねw」
プリンは銀髪の小柄な男の子を見る
彼はりあるって名前か…
覚えることがたくさんあるなぁ…
「待ってよ!オノの回線が悪かったから
みんなにちゃんとした伝達が行かなかっただけ!」
りあるは分かりやすく焦ってる
オノ「広島の時よりはマシ」
みんなが顔を見合わせたかと思えば
いっせいに吹き出した
コウ「いっくんが支部の冷凍室にずっと隠れてたやつ
あれ本当に最高だったwwww」
プリン「以外と命がけだったんだけど!」
そうこうしてると
隣にアヤが忍び寄ってきた
「見苦しいの見せてごめんね…
これはうちの名物、引越し時の言い合い」
おかしそうに笑うアヤ
それにつられて自分の頬が柔らかくなるのがわかった
「やっぱり自然に笑えるじゃん…
朝なんかロボットみたいだったよ?」
やっぱ顔に出るのかな僕。
マクロ「はいいつもの言い合いおしまい!
はやく次の拠点を決めないと」
地図をトントンと指でたたく
タツキ「九州はもう無理だろう…」
たしかに言われてみれば
全部の×の8割くらい九州地方に集中してる…
ジャム「近畿?四国〜?中部もいいなぁ〜」
なんだか楽しそうなジャム
アヤはお茶を入れに行って横を離れる
それを見計らったのか隣にまだ喋ったことない
透き通る水色髪の男が座った
「よろしくねぇ新人!」
モブ「よ、よろしく…」
親戚のおじさんみたいな絡み方だ
「いやぁ朝は声かけようか迷ったんだけど
色んなやつが次から次へと話しかけに行ったから
俺が行きづらくてね」
朝は色んな人と初めて話した
「俺、呉牟舞香。
マクロとは幼馴染!モブとは今日から友だち!」
友達ってはっきり言えるのは素敵だと思う
馴れ馴れしさを大目に見れば良い人そう
舞香はそのままクララに呼ばれて隣を離れた
モブ「ねぇタッキー…」
タツキに小声で喋りかける
「引越しって言ってもどうやって移動するの?」
タツキが少し距離を詰めて
「引越しは大体長距離になる。
飛行機やら電車やらが使えれば理想
でも俺らは死んだことになってるヤツが多い
お前も間も無く行方不明とみなされて
警察の捜索が始まるだろう…」
そうだ…親も死んで息子が行方知らず…
間違いなく僕は探される…
モブ「見つかったらそこで…終わり…」
タツキ「そう。だから飛行機も電車も使えない
そこで活躍するのが我らがリーダーのマクロ」
マクロを、こっそり指差して話を続ける
「そういえば…マクロの力って…」
メンバーの何人かの力は見てきたが
マクロ本人の能力はまだ見たことがない
「ズバリ、"空間"だ。
この三次元の世界の縦横、上下、奥さまざまな方向を
自由に行き来できる」
絶対強い。
マクロは生まれつきリーダーだったのか
「でも流石にこの人数をいっきに移動させるのは
簡単じゃない。やったら1週間は能力が制限される
お前が最初ここにきたとき廃墟に見えただろ?
あれはこの空間にベールを被したマクロのおかげ」
話ではマーキングした空間に偽りの風景を被せることができるらしい
そうやって姿を隠してきたのか…
マクロ「ジューダグの話では本州では
散々荒らしまわってたから
サッチャー本部が本気で俺らを探しにかかってる」
りある「じゃあ北海道?」
いや正気かよ
マクロ「無理だよ寒いし
あっちは環境条件とかで
能力が制限されるメンバーが多い…」
みんながユズを見る
ユズ「なによ」
マクロ「とりあえず…逃げ場がない…」
これからどうなるのだろうか
このまま何も決められずにサッチャーが
ここを突き止めて襲撃を迎え撃つしかないのだろか
モブ「あの…海外はどうですか…?」
さっきまでユズに向けられていた視線が
いっせいにこっちに切り替えられた
タツキ「あのなぁ…」
マクロ「いやまて…なかなかにアリかもしれない」
つらら「おいマジで言ってる?」
タツキやつららが驚いて立ち上がる
オノ「問題その1、言語の壁」
そうそれが厄介だ。でも…
モブ「ジャムが全員に暗示をかければ
外国語も理解できるようになるんじゃない?」
ジル「そんな簡単なん?」
僕に向けられていた視線はジャムに向けられる
ジャム「できるよん♪」
彼の言葉で凍りついていた場が
いっきに騒がしくなった
海外に期待を膨らませる者
心配や不安を感じる者
言い出しっぺだけどもちろん僕は後者だ
マクロ「決まり!じゃぁ…」
マクロの話を遮ったのは彼の電話だった
何か嫌な予感がする
一層不気味になった国歌がリビングに響く
マクロは電話をとる
相手はジューダグのようだ
マクロ「は?待っていきなりそんな…うん…すぐに」
急いで電話を切ってカーテンを少し開ける
外を除いた後血の気が引いた顔で
「作戦変更!今すぐ出発する!」
何があったのだろうか
「待って早すぎないか?
「まだ支度もしてないよ~
「何があったの!?
色々な問いかけがマクロに投げられる
アヤ「リーダー…どうしたの…?」
アヤは心配そうな顔をしている
でも可愛い/////へへ//
マクロ「ヤツらに嗅ぎ付けられた
今一般車を装った車が家の前に止まってる
ジューダグが今すぐ違う場所に転移しろって…」
コウ「マジで急じゃん」
つらら「準備してる暇はないぞコレ!」
さっきまでにぎやかだったリビングに
まるで氷河期が訪れたみたいな
みんな戦慄してた…
マクロ「今すぐ移動する」
玄関が壊されたのか大きな音がした
ジル「おいマズイって」
みんなが手を繋いで輪っかをつくる
僕も真似をしてりあるとアヤと手を繋いだ
マクロ「アイツらに目眩しは微力。
すぐ気づかれる!今のうちはやく!」
最初は地下へ続く階段しか見えないはず…
ここは2階だからまだ時間は
タッタッタっと階段を駆ける音
これが地下への階段なのか
このフロアへと繋がる上りの階段なのか
ユズ「まって!いっくんがいない!!」
マクロが戦慄する
マクロ「転移輪に入ってないと移動できない!
いっくんどこいったんだよ!」
ーーダダダーーー
大人数の廊下を走る音
「なにやってるのよいっくん!」
アヤは涙目になっている
オノ「りある!ドア乗っ取って!」
りあるが目を瞑るとりあるの陰から白い線が伸びて行き、ドアに不思議な模様が浮かび上がる
ぷりん「何事!?どうしたの!?」
「なにやってんの!
「はやくここに来て手繋げ!!!
「何やってたんだよ!
みんな必死になっていっくんを急かしてる
中には罵詈雑言も聞こえてくる
「あけられない…!なにかやられてます!」」
ドアの向こうから大人の声がする
何もわからないままいっくんが輪に入る
「今から行くの?ブリトー食べてたのに!」
1人だけ平和だ
「はやく…マクロ…もうもたないよ…!」
りあるは踏ん張っている
ぷりんが加わることで輪の形になった僕たちは
光りだした…
マクロ「みんな…息…止めて…!!」
ドアが破られリビングに迷彩柄の防護服を着た男達が入ってきた
それと同時に眩い光に包まれて
僕達はそこから消えた
ーもう何も聞こえないー
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目を開くと路地裏らしきところにいた
あたりが暗い
「20時ぐらいってとこか…」
つららはゴミ箱に捨てられてる
壊れた壁掛け時計を指さす
割れているが短針は8を示していた
クララ「漏らしたかも…」
みんな疲れた表情をしている
「ブリトー途中までしか食べてなかったのに」
プリンは呟いた
舞香がプリンを睨む
アヤ「そこまでサッチャーが来てたのよ…」
それを聞いて驚いてる様子のプリン
マクロ「待って今大事なのは…ここがどこかだろ」
え?と言わんばかりにみんなマクロを見る
ユズ「ここがどこか知ってて転移したんじゃないの?」
「ああ知ってて転移したよ?誰かさんがブリトー食べてなかったらね?」
脇腹を抑えてるマクロはみんなより何倍も疲れてそうだ
自力じゃ歩くことさえ難しそうなマクロの肩を
ジャムが支えてサポートしてる
路地を抜けると大きい道に出た
色んな店や建物がありとてもにぎやかだ
看板は明るく光っている
「おい…アレ見て」
何かに気づいたジルはみんなを呼ぶ
街を抜けた先にポツンと看板があった
そこには…
「welcom to TEXAS」
一同「は?」