01.原点にして人生終了の危機を迎える僕の気持ちよw
この話を読む前に忠告する。もし君が自分のことを特別かもって思ってたり、周りとは違うって感じていても絶対に自分と似ているからといって怪しい集団には入らないで。
なんでこうなったのだろうか。
僕、観葉最夫15歳。
人生15年目にして生涯の幕を閉じようとしています
どこにいるかというと…分かりません。
布で目隠しをされていてずっと体育座りで放置されています。
僕をこうしたのは、いかにも悪者みたいなテロリスト
集団。
あーあ。こうなるの知ってたら昨日の夜で「マジカル女子ミツヲ☆」のシーズン2イッキ見してたのに。てか早く来いよ…話と違うだろあの人たち…
ー8時間前ー
「いや意外とまともな建物じゃん。秘密基地っぽさ求めてたのにさ…」
昨夜、大好きなアニメを見てる途中にメッセージが届いた。送信元不明の怪しいバナーが画面の上に出てきたのだ。
通知は全てオフにしていたのに。そこには…
「君の素性は知っている。僕らと仲間だ。明日、ここに来て欲しい」というメッセの下に住所が書かれていた。
そして今、そこの前に立っている。息をのんで入り口のドアを開けて足を踏み入れる。
そこにはまるで廃墟のような光景が広がっていた。天井には割れてる蛍光灯、壁の塗装は剥がれており床にはガラス片やゴミが散乱している。
こんな所に人などいるのだろうか?そもそもあのメッセージの送り主は人なのだろうか?
どうしてか分からないが足が勝手に部屋の奥へと進んでいく。奥には下に続く階段がありビルでありながら上に続く階段がなかった。もちろん僕は止まらずに階段を降りていく…
下のフロアが見えそうになった瞬間…
パチッと音がした。その瞬間今まで廃墟だった光景が綺麗なオフィスへと変わっていった。
でかいテーブルの回りにはイスがいくつも置いてあり、そこに4、5人ぐらいが座ってくつろいでいる。
みんな僕と同い年ぐらいだ…
「おぉ来た〜?モブくん」
馴れ馴れしく話しかけてくるこの人は座ってるイスからしてこの団体のボスなのだろうか?
「あ、昨日の夜にメールを送ってきたのって…」
くつろいでた人達は僕に気づいて視線を向ける。
やめてくれよ…
注目を浴びるの本当に無理なんだ…
「そそ!送ったの僕たちだよ〜。“来た“ってことは自分のこと少しは理解してるんだね?」
そう。僕はそれを1番の目標としてここへ来た。
「はい。何かこの力について知ってるんですよね?僕何者なんですか?これ病気か何かですよね?だとしたら治りますよね?」
視線をぶっ刺してくる人達は顔を見合わせてニヤニヤしてる。
薄気味悪すぎだろぉ。なんやねんコイツら…
「あーw…えっとまず自己紹介から…ね?」
あんたも少しニヤニヤすんのやめろよ。
「僕はこのコミュニティの創設者。名前は巻郎、博多巻郎。よろしくね!
で、ここにいる人達も紹介しとくと、そこの柄悪そうな筋肉マンが射童竜樹
その隣のチビが泥田幸
で右側にいるデブが育谷ぷりん
でぷりんの手前にいるのが円場じゃむ。えーと順番に脳筋、変質者、豚、天然…かな。
あ、僕は気軽に神って呼んでいいお」
僕が人に言えた事じゃないけどこの方々の名前の輝きが無視できない。
タツキって人は本当に強そうだ。ノースリーブに筋肉が良く映えている。両手にグローブに頭にバンダナ。格闘家?とりあえず関わらないようにしよう。
そしてコウって人?身長は僕より小さい。さっきの紹介に不満があるのか巻郎さんにガン飛ばしてる。
で問題のプリンさん…デブって言っても少し骨太そうなだけ。いじるところがそこしかないからか?
ジャムさんに至ってはずっとメロンパンほおばっている…首には緑のスカーフを巻いておしゃれだ。
天然と言われてる理由が見て分かる。
「あ、僕は観葉最夫って言います!この力について知りたくて来ました!知ってる事全て教えてほしいです」
はやくこの謎を聴いてはやく帰ろう。長居いたらダメな気がする。
「あーいいけど1つ条件があるね〜」
うっわもう最悪。今僕完璧なフラグ回収してる。
「その力について知ってる限り全て教える。ただし僕たちの仲間になってもらう!」
なんとなく分かっていた。汗が噴き出てくるのがわかるしお腹痛くなってきた。
宗教勧誘かよ?てか誘ってねぇし。言い方からして強制だし。
「いや何言ってるんですか?僕宗教とか興味ありません!
大体、こんなとこで何やってるんですか?」
ほらねと言わんばかりにメンバーは巻郎を見る。
「待て巻郎!コイツは1人なのか?1人で生きてきたのか?アイツらに見つからずに」
焦っているご様子のタツキさん。
「いやおかしいね。絶対誰かしらに保護とかされてたっしょ。見るからに弱そうだし」
そう言ってコウさんは鼻で笑った。
なんだろう…みんな僕が誰かに命を狙われてるみたいな言い方すんじゃんw
「僕なんて狙われるような人じゃありませんよ〜w」
僕だけが笑ってる空間
みんな真顔で見つめてくる。
あぁ…嘘だろ。一緒に笑えよ誰か…冗談って言って笑ってくれよ…
「もしかしてコイツ、アイツらが気づいてなかっただけじゃないの?今まで」
目を見開くプリンさんは巻郎に語りかける
「だからモブくんもアイツらの存在を知らない…」
巻郎さんは真相(笑)に辿り着いた!良かった良かった!
「あのさっきから言ってることが掴めないんですが?ふざけてないで早く教え下さいよ」
もう僕もふざけてはいられない。
「戦争ごっこに巻き込まないでもらえません?こっちは真剣なんです!そろそろ怒りますよ?」
言い放った瞬間、目の前に拳が現れた。いや寸止めで飛んできたの方が正しいか
衝撃で風だけが吹いてきた
「マクロー?コイツ殺す?邪魔なだけだろ」
タツキさんの一撃。
モロで食らったら骨折で済むのか怪しい。
いや情けない!
体が震えているのがわかる。
てか誰だってこの状況になったら震えるわ
「まあまあタッキー落ち着いて〜。
そりゃ簡単には受け入れられないよ。
今までそんな世界に触れずに生きてきたんだもん」
優しいけどトゲがあるマクロさんの言葉…
「あのねモブくん。
たしかに今は受け入れられないことが多いと思う。
でもそれを承知で話すからよく聞いてね」
どんな話をするんだろう…
マフィアに喧嘩売ったとか?
「えっとまず僕らは同い年。多分モブくんもそう。 それには理由があってある年に超常的な力を身につけて生まれてきた人間が少数だけどいるんだ」
モブ「それが2006…」
「そう!ここにいるのはその少数派。君もそう。
ここからが問題なんだ。
この非現実的なことを研究しようと
僕らのような人間を実験体として拐おうとする集団が現れた。
その集団がサッチャー
捕まったら最後だよ。通常アイツらは実験体を見つけ次第拐うんだけど何故か君は拐われずにこの15年間生きてきた。
僕らは自分達が家族だ。
血の繋がってる家族はアイツらに殺されたからね」
嘘だ嘘だ嘘だ
受け入れろって!?無理だよ!僕の脳みそはそんなに容量が大きく無いんだ!
「あ…。実は僕は家族がいるんだ…でも血は繋がってない。本当の両親は僕を捨てたって思ってた…でも本当は違ったのかも…」
そう。物心ついた時には今の義理の両親と暮らしていた。
「はい話終わり。本当はもっと話したいけどこの後用事あるんだ。
で?どうする?
無理に信じろとは言わない。でも仲間にはなって。いつ君と君の家族が狙われるか分からない。これは僕たちにも同類が増えて心強いし、君は家族も君自身も守れる。Win-Winだと思わない?」
もう信じる信じないの話じゃないのかもしれない。
この一連の話を聞かされた僕は完全に混乱していた。
今までの生活の中でこの人達がいうように家族あるいは自分が殺されていたのかと思うと鳥肌ものだ。
「わ、わかった。仲間になる。それだけだ!戦うとかそういうの無理だよ。みんなとゲームするだけ」
うわまた拳飛ばしてきそうな顔してるタッキー。
「いや勿体ないよでしょ〜。せっかく力あるのに」
とスカーフを結び直しながらジャムさんが言ってくる。
天然キャラどこいったん?
コウ「そういえば君の力まだ教えてもらってなくね?」
やっぱ言われると思った。
正直この力好きじゃないし役に立った事一度もない。
「植物を操れるんです。成長を抑制したり促成したり。
思いのままに動かせたりできます。
小学1年生のときに初めて気付きました。
僕のアサガオだけ植えて一日目で咲いたんです」
あの時は本当に驚いた。
たしかに昔から植物は好きだった。
特に花は僕を癒してくれる。
「それ戦力なる?完全にサポート型じゃん」
プリンさんに言われたらなんか腹立つ笑
「まあとりあえず入ってくれるらしいから他のメンバーにも報告して…」
モブ「ちょっと待ってください?他のメンバーって…
まだいるんですか!?」
こんな人たちが他にもいるって…
いやまだ今なら前言撤回して逃げられる!
…ダメだモブ!
この人達が言ってることが本当だったら家族を危険に晒すことになるんだぞ!
「あれ?言ってなかったっけ?今のところメンバーは15人…ああ君合わせて16人だよ♡」
語尾にハート付けんなよ。
てかこの目の前にいる生物が残り約3セットいると…
地獄確定。もう僕の人生どうなっちゃうの〜案件で草
「他のメンバーは今任務に行ってるから今日の夜歓迎会をする!その前に…」
そのときマクロのスマホが鳴った。なんで着信音を国歌にしてんだこの人。
「きたきた…はいこちらマクロ……うん…おっけー連れてく…わかってる。そこから離れないで。はーい今行く」
誰かと電話で話してる。
その間テーブル周りでくつろいでいた4名は支度を始める。
コウさんが服の内ポケットに入れてるのは
ボルト?ネジかあれは?何に使うのだろうか…
ぷりんさんは白いTシャツに黒いジーンズを履いている。
右手に持ってるのはバス停の看板!?
やっぱヤベエやつしかいねぇじゃん…
ジャムさんは拡声器?メガホン?を持ってマイクテストしている。サーカスにでも行く気?
「みなさん今からどこへ行くんですか?僕はどうすれば…」
電話を終えたマクロさんが準備をしながら
「あぁモブくんもついて来て!君にしか出来ない仕事があるんだ」
わー嬉しいー。
嫌な予感しかしないけどここに取り残されるよりはマシか。
みんな準備を終えてビル前に止めてあったバンに乗り込む。
運転席には見慣れない男性がいる。
「ジューダグ!オノが任務に向かったところにお願い」
男性はジューダグというらしい。
さっきの電話相手はオノって人か…何があったのだろうか
行きの車内ではマクロによる作戦が聞かされた。
どうやら数あるサッチャーのアジトらしきものの中の1つを見つけたらしい。
「一番最初にモブくんにそこに入ってもらいたい。
この中で顔が割れてないのは君だけなんだ。
で何も問題なかったら出て来てくれ。
怪しかったらみんなで突入だ」
待って重要なこと忘れてるぞマクロさん!
「僕が帰って来れなかったら?」
ふーんと考え込んで
「その時もみんなで突入。」
あっさりしてんなぁ。
まあそんな話信じてなかったし。
本当だとしても僕身バレしてないっぽいし。
行くかぁ…
そこに着いたら季節外れのマフラーをつけた青髪の青年が立ってた。
この人がオノだろうか?
「なぁマクロ。なんだこの弱そうなやつは…」
何回言われるんだその言葉
「いやぁ新人だよ!先にアジトに潜入させるだ」
眉をつりあげて不思議そうに僕を見てくる。
コイツのどこが強いのかって疑問なんだろ。
ざんねーんザコです。
「あっちの角曲がったら中華料理店がある。
その隣に路地があるからそこ抜けたら入り口がある」
なんか緊張してきたぁ…
言われた通り路地に来た。
ここを抜けたら入り口があるって言ってたけど暗すぎるしなんか不穏…
まもなく見えてきたのは気味の悪い建物。
太陽の日が全く当たらないからか不気味だ。
「日照権どうなってんだよ…」
ぶつぶつ言いながら入り口へ入る
鉄製のドアノブはひんやり冷たい。
開けると地下へ進む階段。
「また下…少しは上に上がらせてくれよ〜…」
ここで気づくべきだった。
ーなんで電気ついてんの?ー
そこで後ろから何かで殴られる衝撃。
気を失う僕。
目覚めたら目隠しさせられ体育座りするよう命令される。
っとここまでが人生終了しそうになるまでの経緯でした。
読者の皆さんおかえりなさい。
そして僕は今お空におかえりなさいしそうです。
いや割と真面目に死ぬ。
何かの台に移動させられ縛られている。
目隠しが解かれるとまるで病院の治療室のような光景があった。
ゴーグルと白衣に身を包んだ人がこちらを見下ろしている。
ははーん。わかった!この人達はサッチャーだ!
賢い!賢いぞモブ!賢いからここから脱出する方法思いつけよぉ!
何かの電源がオンになりウィーーーーンと嫌な音が響く。
早く来いよアイツら…
「君は見たことないねぇ。今までどこで身を隠していたのかな」
このおじさん何考えてんの?
普通の人間にこんなことできる?
いやそもそもこいつ人間?
「つ、通報しますよ…?」
そう言ったがスマホにも手が届かない。
挙句の果てにはコイツに鼻で笑われる始末。
「ははっ。警察?きかんな。
こっちは後ろ盾に国がいるんだ。
どうしてお前らは逃げ回ってるだけか分かるか?
助けがないからだよ」
え?国?国が手を貸してるってこと?ショックすぎて何も言い返せない。
あの嫌な音が近づいてくる。
はぁもう終わりだぁ…
…………あれ?音が止まった?
恐怖で瞑っていた目を開けるとあの男達が視界から消えていた。
その代わりに覗き込んできたのは
「タッキーー!!!!」
やばい。安心のあまり呼び捨て&あだ名呼びしてしまった。
「俺らいつからそんな仲良しだっけ」
その声にさえ安堵を感じる。