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1話~ぽっちゃり少年と愛想がないメイドさん

ようこそいらっしゃいました、貴方様もこの物語に興味がおありのようですね?

二年くらいふわふわと頭の中で漂っていた物をついに書き出せました。


まだ一話目ですが、開演です!

 昔々ある所に――レムレス王国という国がありました。


 彼の国は人族の国王をはじめとする王族と、それに連なる人族を中心とした多種族からなる十の大貴族によって納められる大陸でも指折りの豊かな国家でした。

 

 各々に特色がある貴族のうち、武術をお家芸とする十の大貴族の家にある日一人の少年が生れ落ちました。


 父親である領主、ゲルニット・フォン・アムルース公爵。


 彼は21年前に起きた異種族を巻き込む大陸最大の戦、ゲンバジット大大戦にて敵一個師団相手に僅か5百という戦力差で打ち破り、劣勢にあった人族連合に反撃の機会をもたらした偉大なる武人。


 母はフェルリス・リベット・アルムース公爵夫人


 魔法炎槍術を嗜み、ゲルニット率いる部隊で敵将軍をその炎槍のもとに下した王国最強の淑女。


 救国の英雄たる二人はいつしか恋に落ち、やがて二人の間に生まれ落ちたは子供たちは4男2女。

 いずれも王国の未来を担うに相応しい実力と気品を両親から受け継ぎ兼ね備えた(まさ)しく武闘貴族でした。


 ――しかし、そんな中にあって唯一身体のしまりが今一つな真ん中の三男坊は、父や母の期待も空しく武術を得意としません。

 かと言って、戦術や策略に優れるでもなく何時しか家族と一部の仕様人以外の周囲からは殆ど見放されたような扱いを受けていたのです……。






~アルムース公爵邸~




 穏やかな日差しが降り注ぐ麗らかな午後にて武闘貴族の屋敷内。十の大貴族に相応しい大きな屋敷の一室でカーテンも閉め切り魔光石を使った魔道ランプの明かりも落とした室内。その中に蠢くぽっちゃりな影が一つあった。


「うひょひょひょ! この発明があれば従来製品の五倍は効率が上がりますよ~!」


 少し高めの声が興奮した様子で室内に響く。外見は大福の様なぽっちゃり体系(別名・小太り)で肉付きが大変よく、手足ともども大根を思わせる白さにふとましさも兼ね備えている。

 歳の頃は14歳といった所だろうか。艶のある黒髪のソフトな髪はふんわりと短めにカットされ。その土台である普段は柔和であろう顔も興奮で少し赤らみ、室内を締め切っている所為で篭った熱気により若干汗ばんでいる。


 彼の名はマルス・フォン・アルムース。


 レムレス王国きっての武闘派貴族の中において武人の二つ名を受けた将軍の三男坊にして、武術に秀でた家系に生まれた唯一の欠人(かけびと)と呼ばれる少年だ。


 薄暗い部屋の中で怪しく、しかし煌びやかなに灯る様々な光が室内を満たし始める。黄色、紫、緑、赤、青……様々な光が薄暗い室内にあふれ、さながら雲一つない満天の星空を思わせる光景である。

 その光が輝く室内は格調高く彫りや装飾も見事なテーブルの上に載っている物は天球儀を模した丸い物。


 それはさながらプラネタリュウム。

 違いがあるとすればその白昼に現れた素晴らしい光はすべて魔法によるもの、そして――


「……マルス様」


「うひょんっ!?」


 ――その観客がたった二人しかいないことである。


「な、ななななんですか!? 部屋に入る時はきちんとノックと声掛けを怠ってはいけないと――」


 先ほどから薄暗い室内で動いていたプラネタリウム投影機実験に喜んでいた少年マルスに話かけた一人のメイド。


 ふわっとしたヘッドドレスを飾った絹糸のごときプラチナブロンドを夜会巻きにし、スレンダーでありながらもしっかりと女性のふくらみを表現している身体には漆黒のワンピース。それをを純白のエプロンドレスで包んでいる。


 白陶磁の様にきめ細やかな肌に薄く化粧施した顏はまさに美しさの結晶!

 美に心血を注ぐ王族貴族淑女とも張り合えるかけ離れた美貌にはアメジストの瞳が輝き、目の前のぽっちゃりとした少年へとまっすぐに注がれていた。


「……満天の星空投影機、もとい新型魔動力炉起動実験の成功でお喜びの所大変申し上げにくいのですが、昨日(さくじつ)マルス様の所用で外出しました折に同じ品を王都で見つけました」


「――うひょん?」


 ぽっちゃりとした体形によく似合う少し高い声色で間抜けな一言を漏らしたマルス。

 対して眼前の美少女メイドの口からは呆れたため息が漏れ出る…。


「さすがは武人と称される公爵家に生まれいでし稀代のぽっちゃり野郎マルス様、さすがの注意力に(わたくし)ルシエルは感服した次第です……――ぷっ」


 仕える者に対する礼儀と配慮と愛想がまるで欠けた一言と冷笑を叩きつけた美少女メイドは、呆けるマルスをしり目に今だ煌々と輝きを見せつける新型魔動力炉に目を移していた。


「――――全く一週間もろくに寝ずに何をしているかと思えば…………あんな欠落品とは比較にはできませんね」


 ぼそっとした小さな声は霧の中に溶け込むように消え失せ、ショックでいつの間にか床に転がりおなかの肉を震わすマルスの耳に終ぞ届く事はなかったのです。


「……僕の発明……魔動力炉特許でウハウハ生活の一歩が……う、――うひょ~~~ん!!」


 この物語は武闘貴族の家系に生まれながら欠人と呼ばれ卑下される少年と、彼に仕える愛想が全くない美少女メイドのやがて世界を巻き込んでいく愛と絆と成長と――そして、ぽっちゃりな奮闘記であ――




「ところでマルス様、もうすぐおやつのお時間です」


「――っ、待っていましたよ、その言葉!! うひょひょひょひょ~~!」


「……はぁ~、本当に貴方様は……とことんぽっちゃり野郎ですね」


「ひゃっほ~い!」


 ――る?

お疲れ様でした。

わりと短い文章ですので、これからちまちまと更新していけたらいいなぁ~と思います

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