ナトゥーラの洞窟
[ナトゥーラの洞窟]
ナトゥーラの洞窟はアルクスの街から南西に位置する洞窟にあった。
「前にも言ったけど、ここには本来レベルが低い魔物しかいないんだ。初心者が潜るダンジョンなんだ」
「つまり危険はない。ってことか?」
「まあ、前まではね。でも今は危険かもしれないね。まあ、サトル1人なら」
自分達がいれば、百人力と言いたいらしいな。まあ、ご機嫌を損ねるのも面倒だし素直に従っておくか。
「これは治癒師の彼女を助けるのが、主な目的。だけど、もう一つ。キミのレベルアップも兼ねているんだ」
俺のレベルアップ。まあ、上がれば万々歳だ。だが、そんな余裕があるとは思えない。
「余裕があるのかといえば、無い。だから、キミには大変とは思うけど僕達に付いて来て欲しい。キミは前線で戦い、剣の技術を学んで欲しい」
「剣の技術がある程度身に付いたら、次は魔法の技術だよ。まあ、いきなりは難しいから体を慣らしていく感じかな」
まずは剣術、次に魔術。それを洞窟を駆け抜けながら。これまたハードだな……。
「それじゃあ、剣の使い方だけど両手で剣の柄を握るんだ。だけど、力を入れすぎないように気を付けて。疲労が溜まりやすくなるからね」
なるほど。わかりやすい。ただ鉄で出来た剣なんて握った事無いから、大変で仕方ない。
「次は剣の振り方。僕が実践してみるから真似てみて」
真似てみてって……。
「──はっ!!」
日本の剣術でいう袈裟斬り、薙ぎ払い、足払い、逆袈裟など多くの技を見た。凄いとしか言えなかった。
これを俺がやんの? 大丈夫かな……。
「難しいだろうけど、要は慣れだよ。最初は真似できなくても、積み重ねていく内に出来るようになるって」
簡単に言いやがるな、コイツ。
「さあ、丁度練習相手が来てくれたよ」
そう言って現れたのは小さなスライム。某RPGに出てくるのような可愛い容姿の奴じゃない。ドロドロっとしたホントの意味にスライム。昔バケツで作ったスライムに似てるな……。
「このぉっ!」
ヘストの振り方の真似をして袈裟斬りもどきを放つ。だが、スライムに躱され、反撃を喰らう。
「痛っ!!」
このまま喰らい続けるとヤバイ。
「サトル、これ飲んで!」
「えっ?」
ラルムから小さな丸くて透明な小瓶を渡された。飲めって透明な色の液体。水か?
飲んでみると体が軽くなった!? 傷もみるみるうちに治っていく。ああ、回復薬か。
「HPがヤバくなったら、いっぱい回復薬があるから大丈夫だよ♪」
「心強いというか……」
用意周到というか……。




