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黒い涙の香

作者: 喜名

欠けたあの夏に

運命が突然、怒り狂った


君は浪漫を探し続ける

その形が古書であるだけ


黒い涙は秘密を抱えた

誰にも教えずに書き上げた

幽霊のお話


夏に出会えたから

受け継がれている

子供の頃に夢見た奇談


重ねられたお話に

君は浪漫を見ていた


探しきれないご夫人の名前

いつの合間に、時間を費やせばいいのだろう


知識でも強さでもなく

ただ一つ、涙を流してみたい


焼け焦げた香りが立ち込める中

君は必死に、手を伸ばした


胸疼く中、教えてくれたのは

出会えなかった人


私にも、その物語の断片を読ませておくれ


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