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ハルトモ  作者: 武上 渓
6/9

ハルトモ5話




ー5話



事務所は、カラオケフリーダムが兼ねている。

小林事業部に、山崎恭之助がプロデューサーとして籍を置いている。しかし、1度も事務所に来た事はない。指示はメールか電話か文書でくる。

稲沢さんが常務として、事実上取り仕切っている。 

「…小林さんの言う通り、問題はファンだけですね。春菜さんの所属権利関係はもう、全部ウチに移ってますからね」

稲沢さんの顔は晴れなかった。

「タケガミさんに頼ろうと思うんですが?」

「海外のファンとも繋がりが有るからね。でも海外のファンで君達の関係に否定的な人はいない。圧倒的に国内だ。擬似恋愛だからね。やっかいだ」

「やっかいと言うのは、ちょっと嫌いです。それも間違った事ではない感情だと思います」

「すいません。適切な言葉じゃなかった」

小林は話を変えた。

「恭之助さんは何て?」

稲沢さんは言い澱んだ。

「小林くんと春菜さんに任せるべき事案とだけ」

「そう言いながら、陰で動く人ですから。多分、本当にヤバくなるまで待つんでしょう」

稲沢さんはうなづいた。

「発表の段取りを作成して、渡します。小林さんと春菜さんの了解が出たら、日程を詰めましょう。因みに、ユニット名は?」

「春菜がカタカナでハルトモじゃなきゃ嫌だと。僕は反対じゃないんですが?稲沢さんはビジネス的にどうですか?」

「ハルトモ…ハルトモ…ハルトモ…。判りやすい。新人じゃないからね。ファンも呼びやすいし、違和感もない。会議で図りますが反対はないでしょ」


事務所を出て、かつて春菜がバイトしていたスタバに入った。

ほの子もメジャーデビューした。

ラテとサンドイッチを持って、2階に上がる。

食べていると、10代の女の子が横に立った。

「あの。小林智昭さんですか?」

「はい。そうです」

「あの。春菜さんと別れて下さい」

小林は焦った。ネット上ならともかく。直接言えるのかと…。

「どうして?」

「ずっとファンで好きなんです。春菜さんはモテるから、他の人で良いです」

「君の名前は?」

「アキです」

「アキさん。焦らないで。君の王子様は僕じゃない。必ず、僕より素敵な君の王子様が現れる。待つべきだと思う」

「小林さんから見て私。魅力的じゃないですか?」

「アキさん。魅力的じゃない女の子なんて居ない。テレビとか雑誌じゃなくて、自分の周りを見るんだ。そこに、君を大好きな彼がいる。彼が王子様だ。彼に気付いてあげるんだ。彼を待たすな!」

「そう言えば。なんか、そういう男の子います」

「アキ。行ってやれ!」

「はいっ」

彼女は走って行った。


ホッとしてスタバを出た。

稲沢さんは仕事が早い。

3日後に記者会見が開かれた。



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