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ハルトモ  作者: 武上 渓
2/9

ハルトモ1話



ー1話


小林は山崎恭之助のプロモーションシステムに乗っかった。

このシステムはワールドワイドしており、日本もローカルの一地域に過ぎない。

新曲のプロモーションツアーは125万ダウンロードを受けて、神宮球場のスタジアムライブ2DaysにヨーロッパEU圏から2万人が押し寄せる大惨事になった。

その2Daysのあと、その核心部ロンドンに旅立った。

春菜は洗濯物を畳みながら、ベビーベッドの真由子の様子を見た。

よく寝る子で、こっそり忍んでくる光治を残念がらせる。

「寝るのが趣味だな真由子は」

春菜は笑う。

「せっかく写真撮っても寝顔ばっかだね」

「智昭くんは、いつ戻ってくるんだい?」

「2年掛かるツアーのさ、ひとつ目日本公演が終わったばっかりだよ」

「どうしていきなり海外なんだ?」

「フィメールのプロモシステムつかってるから。向こうのテレビのゴールデンタイムに小林くんのビデオが流れてるんだよ」

春菜は誇らしげに言った。

「…春菜。夫婦なんだから小林くんは無いぞ?」

「小林くんはニックネームであだ名。智昭なんて変。呼べない」

春菜は掛け時計を見た。

「お父さん。飛行機の時間大丈夫?」

「いかん。行くよ。俺もロンドンだ。向こうで智昭くんに会えるかもしれない」

その気配で真由子が目を覚ました。

「春菜。ギブソン」

光治はカメラを構えた。春菜は横に寝かせて有ったギブソンを持って、真由子にネックを握らせた。 

とたんに、ごきげんに笑い始めた。

光治が連写する。それを見て、

「ジジ…ジジ」

と言う。

起きると泣き出す真由子に、美里さんがギブソンのネックを握らせてみたのが始まりだった。


光治は画像をチェックして、鋭い顔になった。

「いいの選んで、スマホに送る。行ってくる」

春菜は微笑んで言った。

「無事の帰還をお願いします」

母は春菜が産まれる前は、そう言って光治を送り出していた事を聞いて、そうしている。

春菜にも同じ苦しみを味あわせたくなかったのかもしれない。

真由子を抱いて、玄関の外まで見送る。

「まゆちゃん。お買い物にいこうねぇ」

遅い午後の太陽が、春菜と真由子を照らした。



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