名前が決まりました。
「わぁ!?」
『YES』を選択すると、新たなウィンドウが目の前に出現した。
『この度は《Another Fantasy Online》をご購入いただき誠にありがとうございます。今から初期設定の方を始めます。』
「これはご丁寧にどうも…」
突然目の前に現れたウィンドウを少しばかり睨みつけるも、そこに書かれていた内容に愛莉はつい返事を返した。
『《Another Fantasy Online》内で使用する名前を教えて下さい。』
「名前?名前はー、アイリス!」
『重複を確認します・・・・・・「アイリス」は既に使用されています。』
「えー!?そうなの!?」
『《Another Fantasy Online》内で使用する名前を教えろ下さい。』
「…あれ?じゃあ、アイリ!」
『重複を確認します・・・・・・「アイリ」は既に使用されています。《Another Fantasy Online》内で使用する名前を教えなさい。』
さり気なく命令口調に変わっているのだが、愛莉は自分が使用したい名前を考えているため気付かない。
更に数回、「ア」から始まる違う名前を告げるが使用できる名前はなかった。
「えー…じゃあ『既に使用されています』まだ何も言ってないよ!?」
『重複を確認します・・・・・・「まだ何も言ってないよ」は重複していません。「まだ何も言ってないよ」でよろしいですか?」
「いいわけないでしょ!?」
『…チッ。』
「舌打ちした!?今舌打ちしたでしょ!?」
『「ア」から始まるメジャーな名前で、未使用の名前一覧を提示します。早く選びなさい。』
そう告げられ、もう一枚のウィンドウが表示される。
愛莉は、その中から誰もが知っているような名前を見つける。
「…えっ?アリスってまだ使われていないの?」
愛莉は、アリスと言う名前は既に誰かに取られていると思い込んでいた為、まだ残っていることに驚きを隠せなかった。
ちょっとまっ『名前を「アリス」で設定します。』人の話を聞こうか!!」
『「アリス」という名前に何か不満でも?』
「それはないけどさ…」
『名前を「アリス」に設定しました。キャラクターを作り直す際、名前の変更はできませんのでご注意ください。』
「…そういうことは先に言わない?普通」
『聞かれませんでしたので』
もうやだこのAI。と愛莉は思いつつも、これ以上文句を口にすることはない。
愛莉自身、アリスという名前に憧れのような感情は抱いてはいた。
今まで遊んだことのあるMMOなどではアリスと言う名前は使用されているのが普通でそのキャラクターたちは皆、人形のように大変かわいかった。
さらに言えば、NPCの子たちもかわいかったなーとそこまで思い出すと、愛莉は一つの考えが頭をよぎった。
「…もしかして、鬼の様にキャラクターを作りこまないといけない…?」
今まで愛莉が遊んできたゲームで遭遇した「アリス」というキャラクターは皆総じてかわいかった為、愛莉の中で「アリスの名前を持つキャラクター=可愛くないとだめ」という方程式が出来上がっていた。
勿論そんな事は全くないのだが、愛莉はこれから「アリス」というキャラクターを作るのにどれだけの時間がとられるのだろうかと思い、少しばかり遠い目をしながら次の項目へと進んだ。