Prologueにも満たない何か。
「やっぱりやらないと怒られるかな…」
加賀愛莉はそう言いながら、友人の藤瀬栞奈から押し付け…貰ったゲームのパッケージを手にする。
それには、剣や槍、杖と言った武器を手に持つ男女数名が描かれている。
よくあるゲームパッケージだが、VRMMOというゲームジャンルに限定すると、まだその数は少ない。
言わずもがな、今、愛莉が手にしている物はVRMMOの新作、《Another Fantasy Online》。
愛莉は全くゲームをやらないわけではないが、VRゲームはまだちゃんとやったことはなかった。
ハードを所有していない、などと言った理由ではなくやりたいゲームがなかったからで。
そのおかげでハードは薄く埃をかぶっていたが、埃をきれいに落とし、ハードの電源を入れる。
「よしっ!一先ずやってみよう。やってみて面白くなかったら…どうしよう…」
愛莉はそう呟きながら目を閉じ意識を電脳世界へ飛ばした。
△ ◇ ▼
目を開けるとそこには幻想的な風景が…広がっていることもなく、見渡す限り一面真っ白な世界だった。
「どうしろと?」
白一色で何もない世界を見渡し、愛莉は一言呟く。
すると、目の前にウィンドウが一枚出現する。
「わぁ!?…?えーっと、『ソフトをインストールしています。今しばらくお待ちください。』あっはい」
インストールが終わるのを待っている間、愛莉はネットでゲームソフトの情報を探さず、動画サイトを開き動物の動画を見ながら癒されていた。
―♪
『ソフトのインストールを終了しました。《Another Fantasy Online》を起動しますか?』
彼是一時間程動物たちの映像に癒されていると、通知音が鳴り響き一枚のウィンドウが愛莉の目の前に出現する。
愛莉は動画を見るために開いていたウィンドウを閉じ、『YES』を選択した。