第74話 晴彦の選択
途中まで書いて休憩してると、続きをどう書こうとしたか忘れる鳥頭をなんとかしたい。
誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。
放課後、先生に職員室に呼ばれて行ってた私はその用事を済ませて教室に戻って来ていた。正直全然大した用事じゃなかったし、教室で済ませれる用事だっただけになんで職員室に行かなきゃならないんだよ、って思ったし、そう先生に言ったけど……先生もなんでわざわざ職員室にしたのかわかんないって言ってたからなぁ。もっとちゃんと考えて欲しい。太田先生の適当さにも困ったものだ。
職員室は遠いし、簡単な用事なのに時間だけはかかったせいで晴彦のことを待たせてしまった。
足早に教室に入ると、もう晴彦しか残ってなかった。
「ごめんねハル君。遅くなっちゃった……どうしたの?」
なんだか晴彦がすごく難しい顔してる。
何かあったのかな?
「……いや、なんでもない。帰るか」
「? うん」
鞄を手に取ってこっちに来る晴彦。
気のせい……だったのかな。そんなことないと思うけど、まぁ晴彦も色々考えることぐらいあるよね。
教室を出る直前で、不意に晴彦がキョロキョロと周りを見渡す。
「何してるのハル君」
「あ、いや、なんでもない。悪い」
なんでもない風には見えないんだけどなぁ……まぁいいか。
「別にいいけどさ。そうそう、この後買い物付き合ってよ。夜ご飯の買い物。今日安売りしてるものとかあるから買いたいの。食べたいものあったら作ってあげるからさ」
「ん、あぁ別に——」
そこで言葉が切れ、晴彦がふらつく。
「ハル君、大丈夫!?」
慌てて晴彦の体を支える。
もしかしてさっき難しい体調してたのも体調悪かったのかな。
保健室……いや病院? 救急車、救急車呼ばないと!
「あ、あぁ大丈夫だ……っては? ……なんだこれ」
慌てて鞄からスマホを取り出そうとしてる私には、晴彦の呆然とした呟きは聞こえていなかった。
「えっと、確か110……じゃなくて、119、119だ」
スマホを取り出した私は、慌てたまま電話をかけようとする。
しかし、晴彦が不意に私の手を握ったことで電話をかけようとする手が止められる。
「ハル君? 大丈夫なの」
「あぁ、全然問題ないよ」
あれ、なんかさっきまでと雰囲気が違う……気がする。
「それよりも買い物に行くんだろう?」
「え、うんそうだけど……体調悪いならそれどころじゃ」
「体調には全然問題ないよ……いや、もし悪かったとしても、零音が隣にいてくれるならそれだけで良くなるさ」
私の手を握ったままの晴彦が、私のことをジッと見つめて言う。
その眼差しに、胸がドキドキしだす。
「え、え? なに言って——」
「買い物に行くなら途中ではぐれないように手、繋いどかないとな」
私の手を握ったまま歩き出す晴彦。
あ、手あったかい……じゃなくてっ!
「ちょっ、ハル君、どうしたの急に!」
私が慌てて言うと、晴彦が足を止める。
「いやだった?」
むしろ嬉しいです……ってあぁもう、違う!
嬉しさとか、戸惑いとか、色んな感情が混ざって処理できない。
普通なら嬉しいはずだ。だって晴彦と手をつなげてるんだから。こうして手を繋ぐのなんていつぶりかわからない。
「嫌じゃない……けど……」
それでも単純に手をつなげて嬉しい、とだけ思えないのは……今の晴彦に引っ掛かるものがあるからだろう。
そう、まるで何かに操られてしているような、そんな違和感。
思わず晴彦から手を離してしまう。
「ハル君……だよね?」
「はは、当たり前だろ。誰に見えるんだよ」
「そう……なんだけど」
目の前で笑っている晴彦は、確かに晴彦だ。というか、その前までいつもの晴彦だったし……私がおかしいのかな。
「じゃあほら、行こうぜ」
再び差し出される晴彦の手。
私は、私はその手を——。
「おや、こんな廊下の真ん中でいちゃついてるのか二人とも」
突如割り込んできた声にバッと振り向く。
「風城先生!」
「どうしたそんなに驚いて、まさかホントに何かしようとでもしてたのか?」
「そ、そんなわけありません!」
いやでもどうなんだろ、手を繋ぐのは大丈夫……だよね? うん、大丈夫なはず、きっと。
「……え、あれ? 風城先生? どうしてここに」
「放課後の見回りをしてるだけだが……気付いてなかったのか?」
「あぁいえその……すいません」
「ふふ、なんだ。目の前の朝道の姿しか見えてなかったか」
「ちょっ、先生! 何言ってるんですか!」
ニヤニヤと笑ってからかうように言う風城先生。
なんだか慌ててる晴彦は……うん、いつもの晴彦だ。さっきまでとは違う。
「ふふ、まぁいいがな。いちゃつくのもほどほどにしておけよ。他の生徒からいらん恨みを買うぞ」
「別にいちゃついてないですってば。っていうか俺も零音もいちゃつくとか考えてないですから」
「……私はそんなことないけど」
「え?」
「なんでもなーい」
ぷい、と晴彦から顔を逸らす。
そっかそっかー。晴彦は私といちゃつきたいとか考えてないんだー。
わかってたことだけどなんかなー。やっぱりまだ幼なじみとしてしか見てもらってないのかな。さっきの手やっぱり握っておけばよかった。そしたら少しは意識してくれるかもしれないし。
「面白いな君たちは。さて、私はもう行くが、さっさと帰るんだぞ」
「はい」
「わかりました」
さっさと歩いて行ってしまう風城先生。
っていうかさっきすごいタイミング良くというか悪くというか……でてきたけど、もしかして見てたのかな……まさかね。
まぁとりあえずそれはそれとして。
「ねぇハル君」
「ん、どうした?」
「さっきのこと覚えてる?」
「さっきのこと?」
疑問符を浮かべて首を傾げる晴彦は、さっきまでのことを覚えてなさそうだった。
なんだったんだろう、さっきの。
「えーっと、俺もしかしてなんかしたのか」
「そういうわけじゃないけど……」
うん、やっぱりこの様子だと覚えてないかな。
でも一応、確認だけはしとこうかな。
「ねぇハル君」
「なんだ?」
「手、繋ぐ?」
「は!?」
すっと手を差し出すと、晴彦が面白いくらいに慌てだす。
これでこそ晴彦だ。
「買い物に付き合ってくれるんでしょ?」
「それは……うん、いいけど」
「だったらほら、途中ではぐれるかもしれないし」
「……いや、そんなわけないだろ!」
全部晴彦の言ったことだって教えたらどんな顔するかな。まぁ、今回は止めておいてあげよう。
「ふふ、冗談だよ。行こっか」
歩き出した私の後を晴彦がついてくる。
さっきの晴彦……なんかちょっとだけ優男っぽかったていうか……うん、悪くなかったけど、せっかくなら俺様っぽい晴彦とか見てみたいかも。
ま、この様子じゃ無理だろうけどね。
零音「夜ご飯何食べたい?」
晴彦「そうだなー。肉?」
零音「じゃあ魚だね」
晴彦「なんで!?」
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次回投稿は11月11日18時を予定しています。