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第71話 勉強会 その後

今回は勉強会の話の追加のようなものなので短めです。


誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

「それじゃ、また明日ね~。うぅ、まだ頭が痛いよ」

「今日はありがとうございました。それじゃ、また明日」

「雪さん大丈夫か? ちゃんと休んどけよ。それと、井上さんも今日は勉強教えてくれてありがとう」

「そ、そんな。いいよお礼なんて」

「雪ちゃんも井上さんも今日はありがと。また勉強しようね」

「それはいいけど……今度は優しくしてね?」

「それは雪ちゃん次第かなぁ」

「ひどいっ!」


 勉強会が終わった後、雪とめぐみを送るために晴彦と零音は一緒に駅までやって来ていた。勉強終わりで疲れ切っている雪は油断すれば素が出てしまいそうなほどに疲れていた。


「ふふ、それじゃあね。ちゃんと家でも勉強しないとダメだよ」

「それはちょ……いえ、はい。勉強しまーす」


 しないと言ったらまた零音に大量の勉強されるかもしれないと思った雪は大人しく頷くことにする。それほどまでに零音との勉強はトラウマになっていた。

 改めてまた明日、と言って雪とめぐみは帰って行った。

 その姿を見送った晴彦と零音は二人の姿が見えなくった後、ポツリと零音が言う。


「ハル君今日は疲れた?」

「さすがにな。こんだけ勉強したの初めてかも」

「普段からちゃんと勉強してたらそんなに苦労しなくてもいいのに」

「そうなんだけどなー。でもなー」

「でも?」

「やりたいゲームが多すぎる」

「なにそれ」


 真面目な顔で言う晴彦に、思わず零音は笑ってしまう。


「そっかでもそれじゃあ仕方ないね。ハル君はこれからも私に勉強見てもらうしかないわけだ」


 そう言う零音はどこか嬉しそうで、心なしか声も弾んでいた。


「お手柔らかにお願いしたい」

「それはハル君の態度次第かな」

「態度って?」

「私食べたい物あるんだー。『カナリア』のショートケーキとか」


 『カナリア』とは雨咲市にある洋菓子店で、こだわりにこだわった素材しか使わないという風に決めているお店である。そのため、一日に作れるケーキの量が限られており、値段も他の店に比べてお高めとなっている。非常に人気が高く、雨咲市以外からも客が多く殺到するため。手に入れることが非常に難しいのだ。

 お菓子好きの零音も一度食べてから気に入っており、また食べたいと思っていたのだ。

 言外に晴彦に買って来いと言ってるわけだが、晴彦にとっては買いに行くのにかかる時間的にも、金銭的にも非常に痛いのは言うまでもない。


「……太るぞ」

「ハル君?」

「嘘ですなんでもないです買わせていただきます」

「やった。楽しみにしてるね」


 一気に上機嫌になる零音。晴彦はいつ買いにいこうかと頭を悩ませながら零音と共に家に帰ったのであった。







□■□■□■□■□■□■□■□■


 駅前の雑踏の中心にその姿はあった。

 夜野霞美。晴彦が入学式の時に出会った少女。

 彼女はただそこに立っていた。多くの人が行き来する中で、確実に邪魔になるはずなのに、誰も霞美のことを気にしていなかった。近くを通る人も一瞥すらしない。

 霞美はただジッと晴彦と零音のことを見ていた。

 仲睦まじげに、はたから見ればカップルのようにしか見えない二人の事を。


「……そう、彼女にしたのね」


 霞美がポツリと呟く。


「晴彦。あなたは朝道零音に心惹かれた。それがあなたの一つ目の選択」


 それまでの無表情から一転。彼女は楽し気に笑う。


「恋すればいい。楽しめばいい。笑いあって喧嘩して、絆を深めていけばいい」


 朗々と、歌うように霞美は告げる。


「これからさき、あなたの前には多くの選択が立ちはだかる。あなたは選ばなければならない。選んで選んで前に進まなければならない」


 その視線の先にすでに晴彦と零音の姿は無い。しかし彼女はその場から動かず、ただジッと晴彦達の歩いて行った方向を見つめ続けている。

 その瞳はいったい何を見ているというのか。


「たとえその先に待つのが、最高に最悪な、バットエンドだとしても!」


 次の瞬間、彼女の姿はその場から忽然と消えた。

 まるで最初からその場には誰もいなかったかのように。




ハッピーエンド、バットエンド、トゥルーエンドなどなど、色々なエンディングがありますが、皆さんはどれが好きですか? まぁどのエンディングでも綺麗に終わっていれば面白いのでしょうけどね。

 ちなみに私はハッピーエンド派です。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントをしていただけると私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は11月7日21時を予定しています。


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