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第4話 部活動見学 中編

話のネタを考えるのって難しいですよね。でもその時間も楽しかったりします。

一日が24時間では足りないって感じです。

「うーん、3on3楽しかったね!」

「うんまぁ、楽しかったというか。すごかったというか」


 結局、最初の3on3は俺達の勝利で終わった。といっても、ほとんど夕森さんが点をとったんだけど。その後も勝利を重ねていたけど、流石に体力の限界が来たらしく。5試合目で負けてしまった。


「あれくらい練習したら誰でもできるよ。今度教えてあげようか?」

「いや遠慮しとく」

「あはは、それにしてもホントにすごかったね雪ちゃん。私運動苦手だから羨ましいな」

「あれからバスケ部の人すごい勧誘してたけど断ってよかったのか? あんだけできるなら入ってもよかったんじゃ」

「いいのいいの。私どこの部活にも入る気ないし」

「もったいないなー」

「高校生活を部活で縛られたくないしねー。それに、アタシ飽き性だから同じことずっと続けてられないの」

「まぁ俺がどうこう言うことでもないけどさ。それじゃあ次はどうする? 零音はどっか見てみたいとことかないのか?」


 俺自身は特に興味がある部活があるわけじゃない。夕森さんと同じでどこの部活に入るつもりもない。今回の部活見学も見といて損はないかな、ぐらいの気持ちだ。無理に入っても続かないだろうし。


「そうだなー。私が見てみたいのは料理部かな? 二人がいいなら見に行きたいかも」

「俺は全然いいぞ」

「アタシもいいよ。なんか美味しいもの食べれるかな」

「料理体験って書いてるから何か作れるかもしれないね」

「うへ、アタシ食べる専門だから作るのはパスだなー」

「俺も料理はからっきしだな」

「作るのも結構楽しいのに」


 三人で話しながら料理部へと向かう。

 しかし、そこには想像とは全く違う光景が広がっていた。



『求む、挑戦者!!』



 そう大きく書かれた看板と共に一人の女子生徒?が扉の前で仁王立ちしていた。

 いや、なんというか圧力がすごい。スカートを履いているからかろうじて女子だとわかったけど、扉の前に仁王立ちするあの雰囲気はまるで武士のように雄々しい。


「えっと、料理部の見学に来たんですけど、ここで合ってますか?」

「…………挑戦者か?」


 深く低い声。ギロリと迫力ある眼光で見られて思わず身がすくむ。


「いえ、あの私たちは料理部の見学に……」

「挑戦者でないならば去れ」

「あー! もう苺ちゃん、また新入生のこと脅かしてるでしょ!」

「脅かしてなどいない」

「もういいから、苺ちゃんは中にいて! あ、ゴメンね。ウチは料理部副部長の芹野あゆみです。それでさっきのすごい迫力の女の子が料理部部長の薙沢苺ちゃん」


 あの人が料理部の部長……というか、名前がまさか苺だとは。なんというか申し訳ないけど弁慶とかそういう名前のほうが合ってる気がする。


「一年の朝道零音です」

「日向晴彦です」

「夕森雪でーす」

「三人とも料理部の見学でいいのかな」

「はい、そうなんですけど……あの『求む、挑戦者』ってなんなんですか?」

「あー、あれ? あれは勝手に苺ちゃんが立ててるだけだよ。全然気にしなくていいから。それじゃあこっちに来て」


 連れられて部室の中に入ると、中には多くの部員がいた。思っていた以上に人気の部活のようだ。

 部室の奥では『反省中』と書かれた看板を首から下げた部長さんが正座していた。周りの部員に動揺した様子がないあたり部長の行動はいつものことなのかもしれない。


「あれは気にしなくていいからねー。せっかくだから料理作ってみる?」

「いいんですか?」

「うん、材料は冷蔵庫にあるから好きに使っていいよ。わからないなら教えてあげるし」

「それじゃあお言葉に甘えて。二人はどうする?」

「アタシはパスー。さっきも言ったけど食べる専門だから」

「俺もいいや」

「そっか。じゃあ何か食べたいものある?」


 食べたいものか……俺は基本的になんでも好きなんだけど、それでも一つ挙げるとするなら、


「「玉子焼き」」


 俺と零音の声が被る。


「えへへ、やっぱりそうだよね」

「なんでわかったんだ?」

「幼なじみだもん。それぐらいわかるよ」


 なんというか、嬉しいような、恥ずかしいような……。昔から零音には考えを読まれることが多かったけどさ。いや、幼なじみとはいえ思考が読まれてしまう俺が単純なだけだろうか。


「二人ともアタシをのけ者にしないでよー」

「あ、ゴメンね。そんなつもりじゃ」

「まぁいいけどさー。玉子焼き作るの?」

「うん、雪ちゃんもそれでいい?」

「うん。いいよ。アタシも玉子焼き好きだし」

「それじゃあ先輩。玉子焼き作ることにします」

「オッケーいいよ。玉子焼きかー。簡単だけど難しい料理だね。君の腕前見せてもらうよ」


 零音がひと通りの用意をすませて料理を始める。

 そういえば零音が料理をしているところをしっかりと見るのは初めてかもしれない。零音が料理をするようになったのはいつの頃からだったっけ。よく覚えてないけど……なんていうか不思議な気分だ。


「へぇ……君上手いね。なんていうかそう。作り慣れてる手つきだ」

「そうですか?」

「うん。最近多いんだよ。一回作っただけで作れますって言ったりする子がね。酷いと作り方を見ただけなのに料理できますっていう人までいる。うちの部活にもそんな子が何人かいたけどね」


 ぎくりと何人かの部員の人が気まずそうに顔を逸らす。

 確かに、零音の動きには迷いがない。何をどの手順で、どうすれば早く正確にできるのかをしっかりとわかっているんだろう。


「教えてくれたお母さんが厳しかったですからねー」

「へぇ、そうなんだ。いいお母さんじゃないか」

「そうなんですけどね。怒ると怖くて」


 話している間にも料理は進み、玉子焼きが完成する。

 綺麗な黄金色の玉子焼きには焦げ目もない。みるからにふわふわな仕上がりになっている。


「よし、できた。はいこれ、ハル君と雪ちゃんの分。あと、もしよかったら部員の皆さんも食べてみてくれませんか? 多めに作ったので」

「おう、ありがと零音」

「わぁー! 美味しそうだね!」

「それじゃあウチ達ももらおうかな」


 零音の作る玉子焼きはいつもと同じ、どこか安心する味がする。俺にとって玉子焼きと言えばこの味だ。こういうのがお袋の味なのかな。


「うーん、美味しい!」


 隣を見れば夕森さんもテンションを上げている。部員の人たちも口々に美味しいと言っている。


「どうハル君。美味しい?」

「うん、美味しいよ」

「そうならよかった。いつもと違う場所でやってるせいか緊張しちゃって」


 柔らかい笑みを浮かべる零音。

 すると、部室の奥から大きな笑い声が響く。


「フハ、フハハハハハハハッ! 素晴らしい、素晴らしいぞ朝道!」

「あちゃー、また始まったか」


 突然笑い出した薙沢さんの様子を見て芹野さんが頭を押さえている。

 ずんずんと薙沢さんが近づいて来て零音の前に立つ。


「貴様良いな! 良い腕をしている」

「は、はぁ……ありがとうございます」

「この部に入れ。その腕、腐らせるにはもったいない」

「いえ、すいませんがそれはお断りします」

「……なぜだ」

「私は自分がなんのために料理を作るのか決めてますから」

「ほぅ、まぁいい。今回はいいだろう。しかし、私は諦めんぞ」

「もう苺ちゃん、だめだよ無理に誘っちゃ。ゴメンね。でももし良かったらまた料理部に来てくれると嬉しいな」

「はい、また機会があったらお邪魔させていただきます」


 挨拶をすませて部室を出た俺達は人込みを避けるために四階へと上がる。


「いやー、レイちゃんホントに料理上手なんだね」

「そんなでもないよ」

「こんな料理毎日食べれるハルっちが羨ましいなぁ」

「まぁそりゃ感謝してるけどさ。そういえば、この後はどうすんだ? 一応運動部も文化部も見たけど」

「見たって言っても一つずつだけどねー」

「もう少し見て回るか?」

「アタシはもういいかなー。満足って感じ」

「うん。私も今日はもういいかな」

「そっかそれじゃあ今日はもう——」


 帰ろう、そう言おうとした時に突然近くの扉が開く。


「おや、あなた達は……」


 そこに立っていたのは、生徒会長の昼ヶ谷雫さんだった。


今回は零音さんのお話でした。料理って実際にやってると楽しいですよね。

さて、次回はいよいよ生徒会長さんの登場です。


ここまで読んでいただいてありがとうございます! また次回もよろしくお願いします!


次回投稿は8月9日9時を予定しています。

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