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第3話 部活動見学 前編

ようやく少しギャルゲーっぽい要素が出せたかなと思います。これからどんどん増やしていきたいですね。

もっとギャルゲーに詳しくならねば(使命感)

「ねぇハル君。文化部の見学が先だよね? ね?」

「いやいや、運動部が先でしょ。ハルっちもそう思うよね?」

「いや、あの、えーっと……」


 私と夕森の二人が晴彦に詰め寄る。突然突き付けられた問いに晴彦は戸惑っているようだが、これは仕方のないことなのである。

『アメノシルベ』はギャルゲーだ。だからもちろん選択肢というものが存在する。アメノシルベでは基本的に4つの選択肢が出される。

 そのシステムはすごく単純なもので一番良い選択肢を選べば好感度が3上がる。その次に良い選択肢を選べば1上がる。特に上下なしの選択肢。好感度が下がる選択肢の4つが多い。

 今回の部活動見学は、ゲーム内において初めて選択肢が出てくる場面でもある。その選択肢は、

『零音の言う通りに文化部へ行く』

『夕森の言う通りに運動部へ行く』

『二人に生徒会の見学を進める』

『部活見学をやめて帰る』

の4つだ。

 まぁ今回の選択肢はチュートリアルのようなもので、どの選択肢を選んでも好感度が下がることはない。ここでの選択肢が大きく後に関わってくるようなこともない。どちらかの好感度が1上がるか現状維持かというだけだ。

 と、ゲーム的に見るならばそう言えるけど今はそうは言っていられない。夕森は確実に自身の好感度を上げる選択肢を選ばせる手段を使ってくるはずだ。それに何よりもこれは私達にとっては初戦なのだ。宣戦布告をされた身としても負けるわけにはいかない。


「ねぇ、どうするのハル君」

「早く行こうよ」


 さぁ、晴彦はどっちを選ぶかな。





□■□■□■□■□■□■



 えーっと……これはどういう状況なんだ。

 零音と夕森さんの二人と一緒に部活動見学をすることのなったのはいい。そこからが問題だった。二人の意見が分かれた。文化部を見たいという零音と運動部を見たいという夕森さん。

 二人をなだめようとした時、ピキリと目に痛みが走りその次の瞬間には目の前に四つの選択肢のようなものが浮かんでいた。

 というかなんだこれ。今までこんなの見えたことなかったのに。もしかしてこれも狐の影響なんだろうか。っていやいやそうじゃない。もしかしてこの中から選ばないといけないのか。


「ねぇ、ハルっちも運動部見に行きたいよね? アタシ運動得意なんだ。ハルっちに見てもらいたいなぁ」


 そんなことを考えていると夕森さんがするすると近づいて来て腕を絡ませてくる。

 む、胸が当たってる……やば、なにこの感触。


「なっ……ハ、ハル君、文化部に行こうよ。ほら、ハル君の好きなゲーム部とかあるし」


 夕森さんの胸の感触に意識を奪われていると、零音が反対側に来てゲーム部の情報を見せてくる。


「ハル君!」

「ハルっち!」

「「どうするの!」」

「えーと……じゃあ」






「うーん、やっぱり野球部とかサッカー部は人気だね。すごい人だよ」


 俺達は結局運動部の見学の方に来ていた。けっして胸の感触に負けたとか、そういうことではない。ないったらないのだ。


「むぅ、やっぱり胸か。胸なのか……私も押し付けていれば……」


 隣で零音が何やらぶつぶつ呟いているが小さくてよく聞こえない。そんなに文化部に行きたかったのだろうか。


「なぁ零音。もし何だったら。そんなに行きたかったなら零音だけでも文化部の見学に行ってくれてもよかったんだぞ」

「へ、あぁいやそんなことないよ! 文化部は見たかったけど。運動部も興味ないわけじゃないし」

「そうか? ならいいけど」

「なになにー。二人でなんの話してるの?」

「いや、なんでもない。それよりどっかいいところあったか?」


 夕森さんの選択肢を選んだ時、夕森さんの好感度が『21』から『22』に上がった。やっぱり夕森さんの意見を通したからだろうか。

 わかんないけど、もしまた選択肢が出てきたら慎重に選んだほうがいいかもしれない。


「そうだねー。面白そうだったのはバスケ部とかかなぁ。今は体験会で男女混合で3on3とかやってるみたい。行ってみる?」

「バスケかー。俺やったことないんだよな。何となくしかわかんないや」

「けっこー楽しーよバスケ。一回行ってみようよ。レイちゃんもいいでしょ?」

「うん。いいよ」

「まぁ零音がいいなら。行ってみようか」


 バスケ部の所に行くと、それなりの人数が集まっていた。

 道中、夕森さんや零音の姿を見た運動部の面々(主に男子)がぜひマネージャーにとしつこく勧誘してきてかなり大変だった。まぁなんとか振り切ることができたけど。


「すいませーん。部活の見学にきたんですけどいいですか?」

「え? あ、はい! どうぞここに名前書いてください!」


 受付をしていた男子が夕森さんを見てあからさまに態度をかえた。露骨すぎてちょっと笑えるくらいだ。


「えっと、3on3をしに来たんだよね?」

「そうでーす。男女混合なら、アタシ達3人がチームでいいですよね?」

「うん。それで大丈夫だよ。あっちに更衣室もあるから着替えてからゼッケン受け取ってくれる?」

「はーい。わかりましたー。ほら、二人とも行こ」


 記入をすませた俺達は、更衣室で着替えてゼッケンを受け取る。なるほど部活体験とかがあるから体操服を持ってくるように言われたのか。


「よーし、やるよー!勝つよー!」

「いや、気合あるのはいいけど俺と零音は素人だぞ?」

「うん。あんまり期待しないでほしいかな」


 苦笑いしながら零音が言う。

 俺も運動ができないわけじゃないけど平均的なものだ。あんまり期待はして欲しくない。


「大丈夫だよ。私強いから!」

「すごい自信だな」

「えへへー。そうかな」


 別に褒めたわけじゃないんだけど。まぁいいか。


「それじゃあ。次は夕森さんのチームです」

「よし、来たね。行こう!」


 バスケのコートに入るとすでに対戦相手が待ち構えていた。

 今回のルールは5点先取の勝ち残りだ。相手はさっきから3連勝しているチームだ。

 動きを見ても他の人たちとはあきらかに違う。経験者だろう。ちょっと勝てる気がしない。


「次はお前らか? 女子二人に男子一人か。こりゃ簡単に勝てそうだ」

「へぇ。よっぽど自身があるんだね」

「当たり前だろ。オレ達は全員が経験者だ。負けるわけがない」

「……そう、まぁお互い頑張ろうね」

「…………」

「…………」


 ヤバい。なんかめっちゃ火花散ってる。俺と零音完全に蚊帳の外なんだけど。


「どうする零音。あの雰囲気割り込めないぞ」

「うーん。まぁ雪ちゃんに任せるしかないかも」

「そうだな」

「それじゃあ両者とも位置についてください」


 おっと。ゲームが始まるみたいだ。最初の攻撃側はコイントスで決めるみたいだ。

 

「おし、俺達からだな」

「まぁ仕方ないか。じゃあさっそく始めようか」


 コイントスを終えた夕森さんがこっちに戻ってくる。


「よーしそれじゃあ頑張ろっか!」

「頑張るけどさ。相手経験者だろ? 大丈夫なのか」

「大丈夫だよ。きっと勝てる!」

「おーい、作戦会議は済んだか!」


 ニヤニヤとした相手選手が言ってくる。


「うん、もういいよ! 始めよっか」

「おーし、そんじゃ行くぞ!」


 相手の選手がゆっくりとボールを回し始める。

 どうやら遊ぶつもりらしい。まぁ、舐められてるのはしょうがないと言えばしょうがないけど。

 そして相手の女性選手にボールが回った瞬間、ドリブルして距離を詰めてくる。


「悪いけど一気に行かせてもらうよ!」

「じゃあこっちも行かせてもらうよ」


 瞬間風が走る。

 そう表現したくなるほどに早く夕森さんが走る。

 あっという間にボールを奪い、ゴールにボールを叩き込む。


「なっ!」


 相手チームはいきなりのことに唖然としている。かく言う俺もびっくりしている。こんなにすごかったのか。


「いいの? そんなにのんびりしてて……ゲーム終わっちゃうよ」


 そして、夕森さんによる蹂躙が始まった。






作者にバスケに関する知識はほとんどありません。3on3と好きですけど遊びくらいでしかやりませんし、何より下手なので。

次回は文化部見学の話になると思います。

今回も読んでくださりありがとうございます!また次回もよろしくお願いします!


次回投稿は8月8日9時を予定しています。

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