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第49話 校外学習編15 ドキッ!男子だけのボーイズトーク!!

今回女性は出てきません。


誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。


 校外学習初めての夜のご飯は俺達の釣ったヤマメとかを使って、零音と意外にもというと失礼だけど、双葉先輩が料理してくれた。双葉先輩って料理とかできなさそうなイメージだったんだけどな。

 でも、なんていうか……料理してる間の二人がなんかぎこちなかったっていうか……なんかあったのかな。零音に聞いても「何もないよ」としか言わないし。

 あいつの方こそ、私を頼って、とかいう割に全然俺のことは頼ってくれないじゃないか。俺が頼りにならないせいかもしれないけどさ。

 ともかく、ご飯を食べ終わった俺達は初日の工程を全て終えて、割り当てられた部屋へとやって来ていた。


「それにしてもさー、オレ達ってホントについてるよなぁ」


 部屋に入るなり友澤が話し出す。

 おい、荷物放り投げるなよ、俺達も使う部屋なんだからさ。


「ついてるって、何がだよ」

「何って、オレ達の班の女子メンバーの事だよ!」

「女子メンバー?」

「それがどうかしたのか?」

「お前達ほんとにわからないのか!? あー。なんて奴らだよ。もしかしてお前ら女子に興味ないのか? コッチか?」

「ちげーよ!」

「衆道ではないな」

「だったらわかるだろ! あの朝道さんがいて、夕森さんがいて、最近人気の上がりつつある井上さんもいる。それだけで男子にとってはもう羨望の対象。なのにそれに加えてオレ達を受け持つ先輩があの生徒会長様だぞ! もう、神に愛されてるとしか思えないだろ」

「ふむ……そうなのか?」

「そうなんだよ!」


 山城はいまいちピンときていないようだけど、俺はなんとなくわかった。つまり、俺達は他の男子生徒達からとってしてみれば喉から手が出るほどに代わってほしいポジションにいるってことか。


「知ってるか日向。他の男子はな、お前のことをどうやって班のメンバーにするかで争ってたんだぞ」

「は? なんでだ?」


 そんなこと全然知らないんだけど。いつの間にそんなことがあったんだろう。


「そりゃ決まってるだろ。お前が班員になったら、自動的に朝道さんがついて来るからだよ。そしたら朝道さんと仲の良い井上さんや、夕森さんまでついてくるかもしれない。だから狙ってたんだよ」

「……俺は餌かよ」

「まぁ、そんな奴らはオレが全員蹴散らしてやったがな! ククク、悔しがるあいつらの顔、今思い出しても笑えるぜ。アーッハッハ!!」

「「…………」」


 高笑いする友澤を、俺と山城はジトーっとした目で見つめる。

 まさか俺の知らないところでそんなことが起きていたとは……まぁ、今さらだけどやっぱり零音ってすごい人気なんだな。


「山城も知らなかったのか?」

「あぁ、普段あまり話す生徒もいないからな。それに前にも言ったが、女子はあまり得意ではない」

「そっか」

「そうだお前ら」


 あ、高笑いしてた友澤が正気に戻った。


「せっかくこうして集まったんだしよー、ここでしか話せない話しようぜ」

「ここでしか話せない話?」

「なんだそれは」

「まぁそれは後で話すからよ、先に風呂入ろうぜ、オレもう疲れちまって」

「あ、おい!」


 言うだけ言って友澤はさっさと風呂に向かってしまう。

 

「どうする?」

「まぁ別にいいだろう。何も予定はないんだしな」

「そうだな」





□■□■□■□■□■□■□■□■




「ドキッ! 男子だけのボーイズトーク!! ポロリはないよ!」


 全員が風呂から上がるなり、友澤が高らかに宣言した。


「……なんだそれは」

「風呂で頭でも打ったか?」

「おいおい、そこはイエーイ! ってノってくれよ!」

「いや、いきなり言われてもわけわからんし」

「だから言ってるだろ、ドキッ! 男子だけの——」

「いやだからそれがわかんないって言ってんだよ」

「わかんないって、まんまの意味だよ。ここにはオレ達男しかいない、だからこそ話せることがある。さぁ男子達よ、普段はその胸の内に隠した本音を今こそ解き放つのだ!」


 グッと拳を天井に突き上げポーズをとる友澤。っていうかお前は疲れてたんじゃなかったのかよ。


「山城もあんまり話したことないし、特に日向、お前には全てを話す義務がある」

「義務ってなんだよ」

「今日の夜ご飯を食べて、お前はどう思った?」

「どうって……特になにも思わなかったけど。美味しいなってくらいだ」

「確かに、朝道達の料理は上手かったな」

「あぁ、確かに美味しかった。とんでもなく美味しかった。でもそうじゃない。オレが言いたいのはな、お前が完全に朝道さんのご飯に慣れてるってことだ。そんな幸福を当たり前のように受け入れるなどぉ! 恥を知れい!」

「なんでそうなんだよ」

「オレはあの料理を食べて思ったよ」


 俺のことは無視か。

 友澤は完全に俺ことを無視して話を進める。


「あぁ、こいつはいつもこんな飯を食べてるんだなぁ、優しくて可愛い幼なじみがいて、美少女なクラスメイトと仲が良くて……さらには生徒会長に可愛がられている。こんな格差が合っていいのか! いやいいわけがない!」

「おい、夜なんだからあんまり大きな声で叫ぶなよ」

「だが、だがしかし、この現実が変えれるわけじゃない……だったらせめてお前の恥ずかしい話くらい聞かせてもらわないと割に合わないだろう」

「もう一回言うがなんでそうなんだよ!」

「まぁいいだろ。話せ話せ」

「嫌だよ」

「ふむ……まぁしかし、俺も日向が朝道のことをどう思ってるのかは気になるな」

「な!? 山城まで!」

「ほらな! さぁさぁ、話せよ」

「あぁもう……何を話せってんだよ」

「だから言ってるだろ。朝道さんのこと、実際お前はどう思ってるんだよ。前から聞きたかったけど、お前の近くには必ずと言っていいほど女子がいるからな。聞きづらかったんだ」


 山城も黙ってこっちを見てるし……どうにも話さないといけない雰囲気だな。


「俺が零音のことをどう思ってるかって……そりゃ、大事な幼なじみだよ」

「オレはそういう綺麗事を聞きたいんじゃない」

「はぁ?」

「確かに大事な幼なじみなんだろうさ。でも、それはそれとして——」

「な、なんだよ」


 いつになく真剣な表情で友澤が俺を見据える。


「ムラムラしないのか?」

「…………は?」


 今こいつはなんて言った。いや、わかる。わかるんだがしかし……あんな真面目な顔で言うことなのかよ!


「いや、だからムラムラしないのかって。するだろ。普通の男なら! あの朝道さんが四六時中そばにいるなんて……考えただけでも……うへへへへ」

「やめろ気持ち悪い! しねぇよ! 零音のことそんな風に見たことなんて……あるわけないだろ」

「ふっ、今言い切るまでにあったその間。オレは誤魔化されんぞ。あるんだな」

「うぐっ」


 友澤の言う通り、ないわけじゃない。夏場とかあいつ家では結構な薄着してて、なのにくっついてきたりするから、その、男子として反応してしまうことはあった。普段はあんまり気にしないようにしてるけど、ふとした瞬間に意識してしまう。そんな目で見るのは不誠実だとわかってるのに。零音も俺がそんな風に見てるなんて考えてもないだろう。だから俺は幼なじみとして、男の反応を示すわけにはいかないんだ。


「と、とにかく、ないったらない!」

「ちっ、しょうがねぇなー。じゃあ次は夕森さんの話だー! 今日は寝れると思うなよ!」








□■□■□■□■□■□■□■□■


 話し始めてから一時間ほどして、


「ぐー、ぐー」


 友澤は完全に眠っていた。


「案外寝るの早かったな」

「まぁ、疲れていたようだからな」


 眠りこけた友澤を山城がベットまで運ぶ。


「確かに、今日は色々あったしな」

「あぁ、それに友澤はもともと睡眠不足だったんだろう? ならよく持ったほうだ」

「そういえばそうだったな」


 こいつ校外学習が楽しみで寝れなかったんだっけ。すっかり忘れてた。

 まぁそんだけこいつが元気だったってことだけど。


「俺達も寝るか。明日も早いしな」

「ふむ……そうだな、と言いたいが、一ついいか?」

「? なんだよ」

「先ほどの話になるが……お前、朝道をどう思っているんだ?」

「それはさっき言っただろ、大切な幼なじみで——」

「そうじゃない」

「え?」

「昔からの友人、幼なじみ、家族のような関係。それは理解している。付き合いの短い俺でも、お前も朝道も互いを大事に思っているのはわかる。だが、それらを全て抜きにしたとき、異性として、朝道のことをどう思っているんだ?」

「俺が……零音を?」


 俺が、異性として零音をどう思っているか。そんなのは考えたことがない。だって、そういう風に見ないようにして今まで生きて来たんだから。それをしてしまったら、俺と零音の関係が破綻してしまうような、そんな怖さがあったから。

 それは好感度が見えるようになってからも変わらない。あの夜野に、零音が運命の人の一人だと言われてもだ。


「……俺には、婚約者がいる」

「……はっ!?」

「あまり大きな声を出すな。友澤が寝ているんだ」

「あ、あぁ、ごめん」


 でもそれくらい衝撃的だった。まさか山城に婚約者がいるなんて思わなかった。だって、女子は苦手だとか言ってたしな。


「俺の婚約者は幼なじみだ。幼なじみであり、共に切磋琢磨するライバルだった」

「…………」

「寝食を共にし、長い時間を共に過ごしてきた。俺にとっては姉のような、妹のような存在だった。しかしある日聞かれたんだ。お前は私をどう思っているのかと」

「なんて答えたんだ?」

「お前と同じだ。大切な幼馴染みだと、そう答えた」


 確かに、それは俺と同じ答えだ。

 山城は過去を思い出すように目をつむる。


「彼女は俺の答えになにも言わなかったがな。それから少しして事件が起きた」

「事件?」

「あぁ。まぁ長くなるので割愛するが。そしてその事件の折に気付いたんだ。俺は、彼女のことを幼馴染みとして大切に思っている。それは間違いない。だが、それ以上に、異性として好きなのだと。俺は彼女が幼なじみだから一緒にいたんじゃない、ずっと昔に、自分でも気づかないうちに好きになっていたから、共にいたんだ」


 それはまさしく今日、双葉先輩に言われたことに似ている。幼なじみだからというのは理由にならない。それ以上の何かがあるから一緒にいるのだと。


「その事件を通して、俺と彼女は婚約者になったわけだ。だが、俺はきっと少なからず彼女を傷つけていたんだろう。彼女の心に全く気付いてなかったんだからな。幼なじみだからという蓋で、俺は自分の目を閉じていたんだ」

「幼なじみという……蓋……」

「目に見えるものが全てじゃない。日向も、一度考えてみるといい」

「……あぁそうだな」


 俺が、俺自身が零音のことをどう思っているのか。いきなり答えが出せるわけじゃないけど、ちゃんと考えてみるべきなのかもしれない。俺自身が、零音と一緒にいる理由を。


「すまないな。説教のようになってしまった」

「いや、全然気にしてない」

「明日も早い、寝るとしようか」

「そうだな」


 こうして俺の校外学習一日目は終わりを迎えた。


ドキッ!男子だけのボーイズトーク!! 第二回が行われるかどうかは未定。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントをしていただけると私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は10月6日18時を予定しています。

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