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第42話 校外学習編8 バトミントン大会 前編

前半晴彦視点、後半は三人称視点になってます。


誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

作品に関する疑問や質問なども受け付けておりますので、気になったことがあったらお聞きください。

 双葉先輩からの問いかけに答えられないまま、雫先輩から集合の声がかけられた。

 俺が零音と一緒にいる理由、そして零音が俺と一緒にいる理由……それはなんなんだろうか。

 まぁ、今考えて答えがでることじゃないし、今はこっちに集中しよう。


「集まったわね。それじゃあ今からゲームをするわ」

「ゲームって何するのー?」

「バトミントンよ。さっきのペアと組んでトーナメント方式で行うわ。コートは用意してあるから移動するわよ」

「あの、聞きたいことあるんですけどいいですか?」

「何かしら」

「このまま試合するとなると男子が有利だと思うんですけど」

「問題ない……といいたいけど、それもそうね。じゃあ、男の子のペアはどちらか片方が利き手と反対の手で、男女のペアは男の子の方が利き手と反対の手でやることにしましょう」


 う、てことは俺は反対の手でやらないといけないのか。バトミントンあんまり得意じゃないんだけどな。


「ちなみに、優勝者にはちょっとしたご褒美も用意してあるわ」

「ご褒美! それなんなのか聞いてもいいですか!」


 ご褒美と聞いた友澤が目を輝かせながら先輩に聞く。


「ダメよ。それは勝ってからのお楽しみ」

「そんなー」


 先輩の返答にがっくり肩を落とす友澤。そんなに知りたかったのかお前は。

 まぁ、俺も気になると言えば気になるけどさ。


「ふーん、ご褒美かぁ……お菓子かなぁ。なんでもいいけど、頑張ろうねぇ」

「そうですね」


 正直勝てる気がしないけど。この中で一番勝ちそうなのって言えば……雪さんかな。運動神経すごいし。あ、でも山城も強いかもしれない。まぁとにかく最善を尽くすか。


「それじゃあ行くわよ」





□■□■□■□■□■□■□■□■


 雫に連れられてやってきたのは大きな体育館のような場所。

 ホテルには似つかわしくないような場所だ。

 晴彦達以外の班もいくつかこの場所に集まりバスケやバレーをしていた。


「うわー、広いですね」

「今日の夜に行われるレクリエーションもここでやるわ」

「そうだったんですね」

「なんでこんな場所あるんですか?」

「普段はホテルの催し物で使われたりするみたいよ。さて、第一試合の組み合わせはクジで決めるわ」


 雫がそういって取り出したのは六つの割り箸。それぞれ先端が赤、青、白に塗られている。


「同じ色の所と試合よ。審判はまぁ、セルフジャッジでいいでしょう」


 クジの結果、試合は

第一試合 双葉・晴彦vs二宮・友澤

第二試合 雫・零音vs一ノ瀬・めぐみ

第三試合 田所・雪vs三林・山城

 という流れになった。


「最初かー。まぁここで勝てたらボク達は決勝だし、良かったのかもねぇ」

「そうですねやれるだけやりましょう」


 相変わらずやる気のやの字も見えない双葉と優勝の望みは薄いから楽しめたらいいやと思っている晴彦。対する友澤のペアは、


「うぉおおおおおお! やってやる。やってるぞ日向ぁ!」

「双葉様の横を独占するなどぉ、許せん、許せんぞ日向ぁ!」


 晴彦に対するヘイトで異常な盛り上がりを見せていた。

 もっともそれは普段から女子に囲まれ、今もまた双葉とペアを組めているという事実にたいする友澤の嫉妬と、敬愛する双葉の横を堂々と独占する——二宮にはそう見えている——晴彦に対する醜い嫉妬なのだが。

 ともあれ、晴彦という敵をみつけた彼らは結束を見せていた。


「やってやりましょう先輩! 今こそ日向に正義の鉄槌を!!」

「あぁ!」

 

がっちり腕を組む二宮と友澤。

 勝手に盛り上がる二人を晴彦と双葉はなんとも言えない顔で見ていた。


「正義の鉄槌って……俺悪いことしましたかね?」

「あの子たちにとってはしたんだろうねぇ。まったく」

「盛り上がるのはいいけれど、そろそろ試合を始めるわよ。位置に着きなさい」


 雫が声を掛けて両ペアともコートに入る。


「それじゃあ、最初のサーブはこちらがもらう」


 二宮が羽を持ち、サーブをする体勢になる。


「これでも俺は一年生の間バトミントン部に所属していた。悪いが勝てると——」

「ねぇ」


 二宮の話を双葉が遮る。


「な、なんでしょうか双葉様」

「本気なんかだしたらどうなるか……わかってるよねぇ」


 二宮を見据える双葉の目はまさしく絶対零度。ゴミをみるような目で双葉は言い放つ。

 コートの外で一ノ瀬と三林が羨ましそうな顔で二宮を見ていた。


「本気なんか出したらぁ……つぶすよぉ」


 何を、とは言わないがその瞬間山城以外の男は反射的に股間を隠した。

 そしてそんな双葉の視線を直で受けた二宮は——


「お、お……んぅ、はい、わかってますぅ」


 めっちゃ悶えていた。顔は恍惚としていて、さっきまで晴彦を倒すと息巻いていた姿が嘘のようだ。

 そしてそんな姿に一ノ瀬と三林以外のは若干引いていた。


「……きもぉ」

「はうんっ!?」


 その言葉が止めとなり、二宮は完全に崩れ落ちる。


「二宮先輩っ!」


 友澤が二宮に駆け寄る。


「す、すまない友澤。俺はどうやらここまで……だ」

「先輩、そんな……せんぱーーーーーい!!」


 倒れた二宮の体を抱きながら友澤は叫ぶ。

 ちなみに、他の人は興味なさそうに成り行きを見守っている。


「えーと、棄権負けでいいかしら」

「あ、はい。大丈夫です」


 雫が問いかけると雰囲気を一変させてケロリと答える友澤。


「二宮先輩がこの状態じゃ試合できそうにないですし」

「それじゃあ、第一試合は双葉と晴彦の不戦勝、ということにするわ」


 倒れたままの二宮をズルズルと引きずって友澤がコートから出ていく。

 いきなりの出来事に頭がついて行ってない晴彦と、原因である双葉がコートに残される。


「なんかよくわからないけどぉ、勝てたねぇ」

「え、あ、はい。勝った……んですかね?」

「次も頑張ろうねぇ」

「えーと……はい。そうですね」


 このことについて深く考えてはいけないと思った晴彦は溢れる疑問を抑えて返事をする。


「それじゃあ、早いけれど第二試合を始めるわ。いくわよ朝道さん」

「はい」

「それじゃあ、頑張ろうか井上さん」

「は、はははははい! が、頑張ります!」

 

 まさかの棄権という形で終わった第一試合。

 そして第二試合、雫・零音vs一ノ瀬・めぐみの試合が始まろうとしていた。


今回の注目二宮先輩。

普段はクールでかっこいいと評判の二年生。その正体は双葉に蔑まれて喜ぶ下僕二号なのです。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

もし気に入っていただけたならブックマークよろしくお願いします!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は9月26日21時を予定しています。

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