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第33話 班決め

最近、やりたいことが多くて。一日があっという間に終わってしまいます。

寝る間も惜しいとはこのことですね。


誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

作品に関する疑問や質問なども受け付けておりますので、気になったことがあったらお聞きください。

 午後の最後の授業時間、俺達は校外学習の話を聞いていた。


「まぁ、来週の初めから校外学習に行くわけだ。とりあえず今日は班分けだな。校外学習の詳しい内容は明日生徒会長からされるはずだから、それを待ってろ。んじゃ、あとは委員長任せたぞ」

「えぇ!? 丸投げですか!」


 委員長に全部説明投げるとか……太田先生、いくらなんでも適当すぎるだろ。

 最初に会った時は真面目そうな人だと思ってたんだけど……最初だけだった。すぐに化けの皮が剝がれた。

 周りのみんなも苦笑してる。


「俺は校外学習が終わった後のテスト作らなきゃいけないからしんどいんだよ。テスト作るの面倒なんだよなー。なぁ、去年と同じやつでいいか?」

「ダメに決まってるじゃないですか! っていうか、私なにも知らないんですけど。いきなりここに立たされてるんですけど! ちゃんと説明してください先生!」


 委員長の椿さんが先生を一喝する。なんとなく真面目そうだからって理由で選ばれた人だけど、実際真面目な人だった。真面目過ぎて若干手抜きな所がある先生とよくケンカしてたりする。まぁ、だいたい先生が悪いんだけど。


「はぁ……しょうがねぇなぁ。じゃあ、なんか質問あるかー」


 先生の質問に、友澤が手を挙げる。


「せんせー! お菓子は何円まで持っていっていいですか!」

「知らん」

「二泊三日って聞いたんですけど、どんな場所に泊まるんですか!」

「知らん」

「女子風呂覗いてもいいですか!」

「知らん」

「ダメに決まってるでしょ! 先生も適当に答えないでください!」


 うん、この感じのやり取りも慣れてきた。友澤とかが質問して、先生が適当に答えて、椿さんが突っ込むという流れが完成してきている。


「わかったわかった。答えるって。お菓子とかは原則禁止だ。泊まる場所は明日説明があるから楽しみにしとけ。女子風呂は覗けるなら俺が覗きてぇよ」

「そういうこと言わないでください!」

「冗談だよ。まぁ、そんじゃ班決めだけどな、このクラスには42人いて、男女がちょうど半々だからな。男子三人、女子三人の班を七つ作ってくれ。それじゃあ、改めてあとは任せたぞ委員長」

「はぁ、もうしょうがないですね。それじゃあ、班決めを行います。といっても、特にルールはないみたいだから、好きな人と組みましょうか」


 まぁ、だいたいそうなるよな。クラスのグループもなんとなく出来上がってる感じだし。下手に何かするよりいいだろう。

 そうしてどんどんと班が形成されていく。


「よう、日向。一緒に組もうぜ」

「あぁ、いいぞ」

「あ、やっぱり二人は一緒なんだ」

「アタシ達三人組できたしさ、一緒の班になろうよ」


 どうやら零音は雪さん、井上さんと一緒になったらしい。まぁ、この三人ならいつも一緒だし問題ないだろ。


「もちろん、こっちこそお願いするよ」

「そうそう! 美少女ランキングに入ることが確定してると言われてる二人に加えて、文学少女感がたまらないって人気の井上さんと一緒の班になれたら嬉しいってもんよ!」

「美少女ランキング?」

「あぁ、いや、零音は気にしなくていいって」

「そう? ならいいけど」

「あ、あのあの、文学少女感ってなんですか」

「あぁ、いつも教室で本読んでるしさ。でもその話しかけ難い雰囲気とか、読んでる姿が文学少女って感じで最近いいなって言ってる男子が多いんだよ」

「えぇ! なにそれ」

「まぁまぁいいじゃん、めぐちゃんも好かれてるってことだよ」

「うぅ、でも恥ずかしいよ」

「俺も井上さんが文学少女ってのはなんとなくわかるよ。似合ってると思うよ」

「あぅ、そ、そうかな」


 顔を赤くして俯く井上さん。そんなに恥ずかしかったのかな。


「とにかくこれで五人になったけどさ、そっちはあと一人どうするの?」

「あぁそっか。あと一人……どうしようか」


 このクラスでまともに話す男子なんて友澤くらいしかいないし……誰かいるかな。


「あ、なぁ。あいつとかどうだ?」

「あいつ?」


 友澤が指さしたのは、窓際の一番後ろの席で寝ている男子だった。


「あいつって……山城だっけ」


 いつも教室で寝てて、あんまり話してる姿とかは見たことないけど。

 でも確かに、誰かと一緒になる様子もなさそうだし、いいかもしれない。

 俺達が近づいても起きる様子はない。


「おい、山城。起きろって」

「……ん?」


 友澤が声を掛けてようやく山城が体を起こす。

 っていうかでかいな。座ってるのにでかいってわかるぞ。



「……何か用か?」

「何かって……お前は話聞いてなかったのか?」

「眠かったから寝ていた」

「堂々と言うことかよ」

「睡眠は人間の三大欲求の一つだ。大事にするべきだろう」

「時と場合ってもんがあるだろ」

「まぁ、そうかもしれんがな。で、なんの用だ」

「オレら今ちょうど校外学習の班づくりしてるんだよ。それで、一緒にどうだって話だ」

「特に問題は無い」

「そっか、じゃあ決まりだな」

「じゃあ、ちょっとこっちに来てくれるか。他の人も紹介するから」

「他の? まぁ構わんが」


  山城を連れて零音達の所に戻る。


「ってわけで、つれて来たぞ」

「おぉ、山城君……でかいね」

「よく言われる」

「なんかやってたりするの?」

「家が道場をやっていてな。俺も空手をやっている」

「そうなんだ。家が道場なんてすごいね」

「珍しいかもしれないが、すごくはないだろう」

「空手かー、昔ちょっとだけやってたな」

「ほう、そうなのか」

「まぁ、とにかくよろしくね!」

「よろしく、山城君」

「よろしく頼む。班員はこれで全部か?」

「いや、あと井上さんがいるけど」

「あ、あの、よろしくお願いします」

「………」


 井上さんがあいさつしても山城はなぜか反応しない。


「山城? どうしたんだ?」

「…………女子は……苦手なんだ」

「は?」

「いや、でも雪さんや零音とは普通に話せただろ?」

「む? そういえばそうだな」


 たった今話していた零音も雪さんも女子だ。

 苦手だというなら、二人とも話せないだろう。


「二人はなんというか……そう、気配が独特だ。失礼だが、本当に女子か?」

「女子だよっ!」

「うん、それは間違いないかな」

「ふむそうか……不思議だな」

「いや、不思議なのはお前だよ」

「あのなぁ、クラスの二大美少女が女子じゃないわけないだろ。アホなこと言うなよ」


 山城……なんていうか、不思議な奴だな。

 まぁでも、悪い奴じゃなさそうだ。


「ま、とにかくこれで班員決定だよね」

「そうだな」


 周りを見るに、他の所も特に問題なく決まってるみたいだ。


「よし、みんな決まったみたいね。それじゃあ用紙に名前を書いて……って先生! 寝ないでください!」

「んあ、決まったのか?」

「決まりました」

「あぁ、それじゃあ用紙に班員の名前書いて、班長もついでに決めといてくれ」


 まさか寝てるとは……テスト作るのってそんなに大変なのか。いや、ただ単に先生が寝たいだけな気もするけど。


「班長か……どうする?」

「え? ハル君じゃないの?」

「そうだよー。班長とかアタシしたくないし」

「オレもパスかなー」

「…………」

「あ、あの、えと、私は……班長とかは……ちょっと」


 え、まさか全員俺に任せるつもりだったのか?

 山城もは何も言わないけど、特に否定することもない。


「いや、俺も班長なんか向いてないだろ」

「そんなことないよ。私はハル君なら班長ができるって信じてる」

「うん、アタシも」


 うーん、この二人に見られると断りづらい。


「……はぁ、しょうがないな」


 こうして俺は校外学習の班を決め、そして班長になったのだった。

 



学園ものなのに委員長を出さないのは嘘でしょう。

そして友人キャラがもう一人欲しかったんです。

というわけで新キャラの椿さんと山城君の登場回でした。

フルネームは椿若葉と山城武志です。


次回投稿は9月13日21時を予定しています。

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