第31話 第2回元男達のガールズトーク!
ゲームをしていると時間を忘れる……やることいっぱいあるんですけどね。
誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。
作品に関する疑問や質問なども受け付けておりますので、気になったことがあったらお聞きください。
ゴールデンウィークの最終日、私達は『目覚めの小鳥亭』に集まっていた。
「今日でゴールデンウィーク最終日だけど、君たちの首尾はどうだったかな?」
三人全員集まるなり、昼ヶ谷先輩がそう切り出した。
「あぁ? そんなこと聞くためにわざわざ呼び出したのかよ」
「それだけじゃないよ。でもまぁ、こういう話題は導入として相応しいだろう」
「ま、なんでもいいけどよ。ゴールデンウィークの首尾っていったら、とりあえず晴彦の悩みを聞き出せたことだろ」
「今回のゴールデンウィークの一番の目的でしたし」
「そうだね。晴彦の悩みを聞き出すっていう目的は果たせたわけだ。それは確かに収穫だった」
「あの時もいっていたことだけど、彼女ができないと殺されるという晴彦の状況と晴彦とエンディングを迎えたいと言う僕達の現状はある意味都合がいい。晴彦も積極的に動くことになるだろうしね」
「確かにそうだな。さすがに自分の命かかってりゃ動くだろ」
「でも、問題もある」
「晴彦が他の子に目を向ける可能性があるってことですか?」
「そう、それだ。僕達もアピールしやすくなっているとはいえ、晴彦もまた僕達以外の女性に目を向ける可能性が高くなってしまった」
「そりゃ言えてるなぁ。ってことはなんだ? これまで以上に晴彦に女近づけないようにしろってことか?」
「できるならそれが望ましいけどね。ボクが今一番警戒してるのは君たちのクラスにいる井上めぐみという生徒だよ」
「あぁ、あいつか」
「僕達を除いて一番晴彦に近い女性だ。警戒しておくに越したことはないだろう……どうかした、朝道さん」
「あ、いえ。なんでもないです」
「あー、じゃあ、あの女を晴彦から遠ざけたらいいんじゃねーか? そしたら早いだろ」
「え……」
井上さん……確かに、私達を除いたら晴彦に一番近い。でもそれは、私の責任だ。私が井上さんに声を掛けてしまったから。友達になってしまったからだ。
井上さんも晴彦のことを憎からず思っているはずだし、このまま一緒にいるのはまずいかもしれない。でも、だからといって遠ざけることができるかといえば……できない。私にはできない。
友達だと、そう思ってしまっているから。
「どうした? なんか問題あんのか?」
「いや、その、井上さんをいきなり遠ざけたりしたら晴彦が怪しむかもしれないし、心証も悪くなるかもしれないからやめといたほうがいいかなって」
「そうだね。誰かを遠ざけるというのはやめておいた方がいい。余計な敵を作りかねない」
「それもそうかぁ。ま、あいつくらいなら問題ないけどな」
夕森の提案も本気ではなかったのか、あっさりと意見を取り下げる。
「まぁ、オレは遠慮なく攻めさせてもらうぜ」
「それもいいんだけどね。その前に考えるべき問題があるだろう」
「問題?」
「晴彦の言っていた白髪の少女の存在だよ」
「あぁ、そいつのことか」
白髪の少女。晴彦の話していた女の子だけど、少なくとも私達はその子のことを知らない。
「一応、その少女の存在を知ってから学園の監視カメラを確認してみたりしたけど……残念ながら見つけることはできなかった。噂自体は把握していたけどね。まさか本当にいるとは思わなかった」
「ゲームのキャラ……ではないですよね。見たことないし」
「三人とも知らないとは考えられないよ」
「晴彦のこと殺す奴ってそいつじゃねーよな」
「それもわからないね。誰が晴彦を殺す、というのは聞いてないんだろう?」
「まぁそうだけどよ」
「少女が晴彦の眼について知っているのか、そしてボク達のことについてどこまで知っているのか。それが問題だ」
「私達のことですか?」
「その少女がボク達がどういう存在か知っている可能性も考えないといけない」
「オレ達が別の世界から来たってことか?」
「そうだよ。少女の目的は知らないけど、もしかしたらボク達の邪魔をしてくるかもしれない。彼女をどうにかしないと今以上にシナリオが崩壊するかもしれない。そうしないためにも対処できるならしておきたいのさ」
もし私達のことを知って邪魔をしているのなら、その少女が再び晴彦の前に現れて何かするかもしれない。すでにシナリオは崩れているけど大きな流れが変わったわけじゃない。これから起こる大きなイベントは変わらないはずだ。そこまで崩されてはたまらない。
「めんどくせぇなぁ。ま、見つけたら捕まえてやるよ」
「そうしてくれ。ボクも見つけたら連絡するよ」
「そうですね」
現状における最大の不安要素だ。三人で対処するべき案件だろう。
「ま、とりあえず今早急に話しておきたいのはこれくらいだけど……君たちから何かあるかな?」
「んなもんあるわけ……あ、いや、あったわ」
「何かあったの?」
「お前、晴彦に告白したんだって?」
「っ!? なんで知ってるの!」
「晴彦から聞いた」
あの時はあんまり後先考えずに、なんでか今言わないとダメだって気になって言ったけど、その後すぐに我に返って、無性に恥ずかしくなって、すぐに逃げたから答えは聞いてないけど。
「うぅ、まさか君に言うなんて」
「そんだけ信頼されてんだよ」
ニヤニヤと笑うその顔が憎らしい。
「ま、それはいいいんだよ。オレもしたしな」
「「は!?」」
私と昼ヶ谷先輩の声が被る。
オレもしたって、夕森も晴彦に告白したってことか。
「そんなに驚くことか?」
「当たり前じゃないか。朝道さんが告白したってだけでも驚きなのに……まさか君までだなんて」
「そりゃチャンスがあったらするだろ。これでいけるならあとはエンディングを迎えるだけになるしな。今なら押したらいけそうだしよ」
確かに、どんな形であれ晴彦が受け入れてしまえば晴彦はその人のことを大切にするだろう。でも、だからって——
「そんな気持ちで告白なんてしたらダメでしょ!」
「そんな気持ちって……じゃあ、お前はなんで告白したんだよ。目的のためだろ」
「そ、それは……」
確かにそうだ。私も夕森と同じ。エンディングを迎えられる可能性があったから告白したんだ。夕森と何も変わらない。
「まさか二人とも告白してるなんて……思わなかったよ」
深くため息を吐く昼ヶ谷先輩。
「すこし出遅れた……と言いたいけど、ボクも二人には負けてないよ」
「どういうことですか」
「君たちも知らない晴彦の秘密を、ボクは知ってるからね」
「あぁ? なんでそんなん知ってんだよ」
「この前出先で会ったんだよ。そこでいろいろとあってね」
「私の知らない晴彦の秘密ってなんですか」
「それを教えるわけにはいかないだろう。言ったら意味がないじゃないか」
「私が晴彦のことで知らないことなんてほとんどありません」
生まれてから今までで晴彦のことは誰よりも見てきた。知らないことなんて無いと思ってたのに。
「まぁ、いくら幼なじみでも全部言えるわけじゃないってことさ」
「……帰ったら聞き出します」
「いや、それはやめてあげてくれ。いくらなんでも可哀想だから。まぁ、聞き出したボクが言うことじゃないけどさ」
悔しいけど、これで無理に聞き出して晴彦に嫌われるわけにはいかない。そんなのありえない。晴彦に嫌われるような行動はしたくない。
「とにかく、この秘密を握っている限り晴彦はボクからの要求を強く断れないはずさ」
「きったねー。男なら真正面から勝負しろよ」
「今は女だよ」
まさか先輩が晴彦の秘密を握るようなことになるなんて……晴彦もどれだけ油断してるんだ。昔からあれだけ女には気をつけろって言ってきたのに。帰ったら説教してやる。
「まぁ、とにかく今日でゴールデンウィークも終わりだ。次は校外学習になる」
一年生と二年生合同で行われる校外学習。その目的は学年を超えて親睦を深めると言うもの。校外学習とは言っているけど、ほとんど遊び……みたいなものらしい。
少なくともゲームではそんな感じだった。
「一年生の時に参加した身としてはゲームとさほど変わりはなかったよ。そして今回も同じだよ。ボクがスケジュールを確認した限りではね」
「そうなのか」
「せっかく集まったんだし、決めたいことがあるんだ」
「決めたいこと?」
「バスの座席だよ」
「バスって……二年生は別だろ?」
「それが一緒なんだよ」
「それじゃあ、決めることってもしかして晴彦の横にだれが座るかってことですか」
「その通り。今日はトランプを持ってきたからね。ポーカー、しようか」
「へぇ、前負けたのに、またそれで勝負すんのかよ」
「何度も負けるつもりはないよ」
「それは私も同じです」
前回は不覚をとったけど、今回は負けない。
晴彦の隣は譲らない。
「それじゃあ、勝負を始めようか」
そうして始まったポーカー勝負。
集中していた私達は気付かなかった。
白髪の少女が、その紅い瞳で私達のことをジッと見つめていたことに。
今回でゴールデンウィーク編は一応終わりです。
まだ零音への返事とかしてないんですけどね。
何日経ってから言うんだよっ感じです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
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次回投稿は9月10日21時を予定しています。