第145話 きっかけ
誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。
「ここが食堂だよ」
零音達が職員室から戻ってきた後、姫愛は約束通り学校内の案内をしてもらっていた。
といってもそれなりの大きさはあるので、今日見て回るのは主要なところだけということになった。
「日替わり定食が有名かな。安くて美味しいって。私達も一回だけ食べたことあるけど、確かに美味しかったよ。その隣の購買ではお弁当とかパンとは売ってるから、今日みたいにお弁当忘れちゃった日はここに来るのがいいかな。だから、お財布は一応持っといた方がいいかなって感じ」
「なるほど、覚えておきますわ」
「うん。東雲さんはお弁当にするの?」
「えぇ、そのつもりですわ」
「そっか。それじゃあ私達と一緒だね」
「あなた方もお弁当ですの?」
「うん。基本的にいつも私が自分の分とハル君の分のお弁当作ってるから」
「まぁ、ご自分で作られてるんですのね」
「お母さんに自分のことは自分でできるようにって言われてさ。だからってわけじゃないけど。ハル君の分を作るのはついでって感じかな。ハル君のお母さんにも任されてるから」
「お二人は幼なじみ同士なんですものね。家も近いんですの?」
「うん、隣だよ。もう幼稚園の頃からの付き合いになるのかな」
「まぁ、長いですわね。羨ましいですわ。私には幼なじみと呼べるような方はいませんから」
姫愛にも幼少から付き合いのある人は何人かいるが、それも大抵は家同士の付き合いだ。零音や晴彦のような関係の幼なじみは一人もいない。
「ここまで来たら腐れ縁みたいなもんだよな。クラスもずっと一緒だよな」
「腐れ縁って言い方は嫌だけど……でもそうだね。クラスもずっと一緒かな。そのせいで小学校からの同級生には夫婦だーなんてからかわれたりして」
「大変ですのね」
幼なじみのいない姫愛には全く想像もできないことだが、思春期真っただ中である零音達がそんな言葉を投げかけられるのは可哀想だと姫愛は思っていた。
「もう慣れっこだけどね。私は得に気にしてないし」
「お前はそれでも大丈夫なんだろうけどなぁ。俺の方はそうもいかねーよ」
「そうなの? どうして?」
「どうしてってなぁ。そりゃまぁ色々だよ。色々」
「その色々の内容を聞きたいんだけど」
「色々は色々だよ。もういいだろ。それよりも東雲さんを他の場所にも案内しないといけないんだろ。さっさと行こうぜ」
「あ、ハル君! どうしたんだろ急に。まぁいっか。それじゃ行こっか東雲さん」
「はいですわ」
零音はまったく気付いていないことに姫愛はなんとなく気付いていた。
零音の容姿はかなり人目を惹く。これから成長するにつれてその美貌はさらに磨かれていくであろうことは容易に想像ができる。
そんな零音に恋する男子生徒は多いはずだ。姫愛が校内の案内をされている間にすれ違った男子生徒達は零音に挨拶されるだけで嬉しそうな顔をしていた。
そしてその次に晴彦のことを見て顔を顰めていた。
そこに含まれる感情がなんであるかを姫愛はよく知っている。姫愛自身にも何度も向けられたことがある目だからだ。
その感情の名は嫉妬。姫愛も何度も向けられたことのある感情だ。東雲の名を持つ者としてそれは避けれぬことだった。
もちろん姫愛に向けられる嫉妬と、晴彦に向けられる嫉妬ではその意味合いが全く違うのだが。
人目を惹く零音、その隣にいるというだけで晴彦は嫉妬されていたのだ。
(知らぬは本人ばかりなり、という言葉もあるますけど。美しさは罪ということですわね。日向さんが何も言わないというのであれば私から告げることでもありませんわね)
何も言わないことにした姫愛はそのまま先を歩く零音の後を追いかける。
しかしこの時のことが原因だろうか。
姫愛が晴彦のことを僅かに意識し始めるきっかけとなったのは。
すみませんでしたーーーーっっ!!
単純に。めちゃめちゃ単純に投稿時間までに書き終わりませんでした。
いや、理由は色々あるんですけど……なんにせよ、間に合わなかったのは事実。
同じことを繰り返さないよう、今度からは注意します!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
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それではまた次回もよろしくお願いします
次回投稿は8月29日21時を予定しています。




