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第117話 試合形式

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

「それでは、日向様の一日を賭けた勝負をこれより執り行いたいと思います」


 砂浜で水着に着替えた少女達による真剣勝負が、今まさに始まろうとしていた。


「勝負内容はビーチバレー。お嬢様側が勝利した場合、予定通り日向様と行動を共にする。病ヶ原様が勝利された場合は、病ヶ原様が日向様を行動を共にする。という条件でよろしいですね」

「えぇ、問題ないわ」

「はい。問題ありません」

「私的には問題大有りですけどぉ……はぁ、こうなっちゃたら逃げられませんよねぇ」


 一人大きなため息を吐くのは花音だ。花音の計画では今頃雫と一緒に海でキャッキャウフフをしていたはずなのに、気付けば目的とはかけ離れた状況になっていた。


(弥美ちゃんってたまにこういう暴走するんだよねぇ。まさか日向先輩が原因でこうなるとは思わなかったけど……)


 花音はちらりと離れた位置にいる晴彦に目をやる。そこでは晴彦が霞美と何事かを話しているのが目に入った。

 離れた位置にいるせいで何を話しているのかはわからないが、それでもこの状況を作った張本人である晴彦が呑気に話していることに若干腹が立った。


(あの先輩はホントにもう……誰のせいでこんなことになってると思ってるんですか。さっきだって先輩がバシッと言ってくれたらそれで終わった話だったのに)


 しかし晴彦に文句を言った所で状況が解決するわけではない。


(はぁ、悩んでてもしょうがないし前向きにいこう。うん、見方を変えればお姉さまと一緒にビーチバレーできるってことだし! 勝ち負けはぶっちゃけどうでもいいけど、今はビーチバレー楽しもう!)


 そう意識を切り替えた花音は改めて対面している雫達へと目をやる。そうして気付くのは水着を纏った零音達の圧倒的美しさだ。雫は言わずもがな、零音も雪も息を呑むほど美しい。零音達と一緒にいるめぐみや姫愛もそうだ。花音は自分の容姿にそれなりの自信を持っているが、それでも雫達を見ていると叶わないと思ってしまう。


(先輩達の着てる水着……きっと日向先輩に見せるために選んだんだろうなぁ。先輩は気付いてなさそうだけど。いいなぁ、私もお姉さまにそれくらい想われたいなぁ)


「——という条件でいこうと思います」

「わかったわ。と言いたいのだけど……花音?」

「は、はいっ!」

「あなた、奏の説明聞いてたかしら。まさか他のこと考えて聞いてなかった、なんてことないわよね」

「え、あ、はい。あ、当たり前じゃないですかぁ! も、もちろんちゃーんと聞いてましたよ!」

「そういう割には目が泳いでるけど……じゃあ、奏が説明していた内容をもう一度話してもらえる? 聞いていたならもちろんできるわよね」

「えぇ、いや、だから……その、ですねぇ……」


 雫に言われた通り、別のことを考えていた花音に奏が話していたことを言えるはずもない。

 花音がしどろもどろになっていると、雫はくすりと小さく笑って奏にもう一度説明するように言う。


「それではもう一度簡単に説明させていただきます。勝負内容はビーチバレー。勝負は全部で三戦。そちらからは桜木様、病ヶ原様、宵町様の三人。そしてお嬢様からはお嬢様、朝道様、そして夕森様の三人です。ただし、夕森様は明らかに運動能力が突出しておられますのでハンデを設けさせていただきます。勝負は全部で三戦。十点先取で二勝したチームの勝利です。それぞれチームから二人選出していただき試合をする形式となります。誰を選出するからは自由なので、話合って決めてください。以上です。何かご質問はありますか?」

「えっと大丈夫です。とりあえず理解しました」

「えー、っていうか私も参加しないといけないの? わりと真剣に面倒なんだけど」


 そこで嫌な顔をしたのは依依だ。そもそも海でダラダラする気しかなかった依依はビーチバレーのような激しい運動をしたくなかった。


「私、寝てたいんだけど」

「文句言わないで。依依もせっかく海に来たんだし、寝てばっかりじゃなくて遊ぼうよ」

「普通に遊ぶならまだしもそんな真剣勝負みたいなことに巻き込まれても。正直私、一番部外者だからね。日向先輩のこと知らないわけじゃないけど、そんなに話したことないし」

「じゃあ依依にとっても日向先輩を知るいい機会になるじゃない」

「いや別にそれは今じゃなくてもいいし」

「文句ばっかり言って……しょうがないなぁ。それじゃあ依依、ちょっといい?」

「ん、なに?」


 弥美はスッと依依の耳元に口を寄せると、ごにょごにょと何事かを囁く。すると、それまでめんどくさげだった依依の表情がみるみる変化していく。


「これでどうかな?」

「わかった、やる、私やるよ!」

「変わり身早っ!? え、弥美ちゃん何言ったの?」

「んー、秘密♪」


 一瞬の転身だった。

 思わず花音が引いてしまうほどの。


「話はまとまりましたか?」

「はい。大丈夫です」

「それでは練習時間、そしてストレッチの時間を加味して三十分後に試合を開始します。両チームともにしっかり準備をしておいてくださいね」


 こうして勝負の形式が決まり、各々試合へ向けた準備へと取り掛かるのだった。


海と言えばビーチバレー。なんかそんなイメージがあるんですよねー。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は5月6日21時を予定しています。

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