第22話 晴彦の悩みを聞き出し隊 前編
前に投稿した話の書き間違いの修正をしなければとおもいつつ、なかなかできてないのです。
登場キャラもまとめたいのに、やることいっぱいですね
誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。
悩みを聞き出すというのは簡単なことではない。
人の悩みを聞き出す際に大事なこと、それは話しやすい環境を作ると言うことである。話しやすい環境とは、人がリラックスできる場所でもある。そのためにアロマを焚いたり、飲み物や食べ物で緊張をほぐすのだ。
もちろんそれだけだは足りない。話す相手というのも重要になってくる。相手が威圧的な人物なのに、自分の悩みを話したいとは思わないだろう。この人なら聞いてくれる。話して大丈夫だ。そう思わせることが大事なのだ。
それはどんな人か。聞き上手なだけでは足りない。相手の話を聞く前に、自分自身の話をしてくれる。打ち明けてくれる人。私はあなたに自分のことを話せますという姿勢が大事になってくるのだ。
これらを揃えて初めて、人は心からの悩みを打ち明けてくれる……かもしれない。
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えーと、これはどういう状況なのだろうか。
まず整理しよう。
今日の朝、俺は零音に起こされた。わけがわからないままに出かける用意をさせられ、気づいたら雪さんと合流し、昼ヶ谷先輩の家にやって来ていた。
「ようこそいらっしゃいました」
そして、昼ヶ谷先輩の家のお手伝いさんに迎え入れられ、応接室へと案内されたわけだ。
お手伝いさんがいる家なんて初めて見た。っていうか、家に入る前から思ってたけどこの家大きすぎるだろ。
「なぁ、零音。これどういうことだよ」
「どういうことって?」
「なんで俺昼ヶ谷先輩の家に来てるんだよ」
「この間言ったでしょ。四人で出かけようって話になったって」
「いや、それは聞いてたけど。なんで出かけずに先輩の家に来てるんだよ」
「だから出かけてるじゃない。私達が、先輩の家に」
「なんか屁理屈っぽいなその言い方」
「いいじゃない。先輩の家なんてめったに来られるような場所じゃないだろうし」
「まぁそうだけどな」
なんていうか、大きすぎる家だとちょっと緊張するな。さっきから扉の前にお手伝いさんがジッと立ってるし。
はぁ、早く先輩来ないかな。
っていうか、この部屋なんか匂いが……いや、良い匂いなんだけどさ。なんの匂いなんだろう。
「どったのハルっち。もしかして、緊張してる?」
「そりゃ緊張してるよ。人の家になんかなかなか来ないし。それも先輩の家だったらなおさらだ」
「アタシはあんまり緊張なんかしないけどなー」
「それは雪さんだからだよ」
「何それー。アタシが無頓着って言いたいの?」
「そういうわけじゃないよ」
「まぁいいけどねー。ホントのことだし。アタシあんまり緊張とかしたことないからさ」
「羨ましいよ」
それから五分ほどしてから、部屋に昼ヶ谷先輩が入ってくる。
「ごめんなさい。待たせたかしら」
「先輩、お邪魔してます」
零音が先輩に挨拶する。
「たいして何もない所だけどくつろいでちょうだい」
「ありがとうございます」
「紅茶を用意させるわ。ダージリンティー、アールグレイ、キーマン、ウバ、ニルギリなんかがあるけど、どれがいいかしら?」
紅茶の種類なんてよくわからない。正直、味の違いなんてわかったことがないし。飲み物も美味しいか美味しくないかくらいの判断しかしたことがない。
「あのー、すいません。紅茶よくわからないんですけど」
「あら、ならそうね……ダージリンティーでどうかしら?」
「じゃあそれで」
「二人は?」
「私はアールグレイでお願いします」
「アタシはジュースがいいなー。オレンジジュースとか」
「ちょっ、雪さん!」
用意してもらう側なのに、いくらなんでもそれはわがままじゃないだろうか。
「ふふ、別にいいわ。それじゃあオレンジジュースを用意させるわ」
「ありがとね!」
というか、雪さん先輩が相手でも全然いつも通りというか。ホントに物怖じしない人なんだな。
先輩がお手伝いさんを呼んで、飲み物の用意をさせる。
「あの、それで今日は何をするんですか?」
「そうね、特に予定はないけれど……こういう時は何がするのが普通なのかしら」
「そうですね……」
友達の家で遊ぶと言ったらゲームをしたりするのが普通だけど……この部屋を見る限り、ゲームなんかは置いてなさそうだし。
「俺はこういう時はトランプしたりとか……ですかね」
「トランプか……そんなもの家にあったかしら」
「え、先輩の家トランプとかないの?」
「私の家は娯楽に厳しいの。トランプも、ゲームもさせてもらったことがないわ」
「じゃあ、漫画とか読まないの?」
「ないわね。アニメも漫画も見たことないわ」
「うわー、アタシには耐えられないや」
「……?」
「どうかしたのか零音」
「……ううん。なんでもないよ」
隣に座る零音が顔に疑問符を浮かべていた。どうしたんだろうか。
まぁ、なんでもないって言うなら大丈夫なんだろうけど。
「まぁ、そうね。興味がないわけじゃないし、やってみようかしら。奏さん、用意してもらっていい?」
「しかし、そのようなものはこの家には……」
「用意してちょうだい」
「……かしこまりました」
それからほどなくして、お手伝いさんが飲み物と一緒にトランプを持ってきた。
「お持ちしました」
「……随分早かったのね。家にあったのかしら? 見たことないのだけど」
「私達使用人が使ったりしますので」
「……私には使わせてくれないくせに。まぁいいわ。さ、これで何して遊ぶのかしら」
「そうですね。初めてなら神経衰弱とかババ抜きでしょうか」
「アタシはババ抜きがいいなー。神経衰弱とか苦手だし」
「それじゃあババ抜きにしましょうか」
「ババ抜きね。ルールは知ってるわ」
「よっし。そんじゃ始めよっか!」
そう言ってカードを配りだす雪さん。
ひと通り配り終わり、手札を揃える。
お、ババがない……それじゃあ、誰の所にあるんだろ。
三人の顔を見てもわからな……いや、一人すっごく顔に出てる。
「あの、雪ちゃん。ババ……持ってるよね」
「うへぇ! べ、べべべ別に持ってないけど!」
雪さん。いくらなんでもそれは動揺しすぎだと思う。
「それじゃあ、私から引くわね」
雪さんの持つカードを先輩が取ろうとする。
そのうちの一枚に手をかけた時、露骨に雪さんが嬉しそうな顔をする。それを見て別のカードに手をかけると、露骨に嫌そうな顔をする。
「あなた、顔に出すぎよ」
「へ、あっ!」
先輩が雪さんからカードを抜く。どうやら揃ったらしく、先輩の手札が減る。
これは……うん、負ける気がしない。
その後も、雪さんの手札からババが抜かれることは一度もなく、そのまま終了してしまった。
「うがー! 負けたー!」
「むしろあれで勝てると思ったのかしら」
「あはは、あれはさすがに……ね」
「えー、そんなにわかりやすかったかな」
「うん、だいぶ」
「ガーン!! ショックなんだけど」
「次は別のゲームしよう」
「そうね。何がいいかしら」
神経衰弱は雪さんが苦手だって言ってたし……七並べとか大富豪かな。
そう提案しようとしたら、意外にも零音が手をあげる。
「あの、それじゃあやってみたいゲームがあるんですけど」
「なにかしら」
「ポーカー、やってみませんか?」
晴彦の悩みを聞き出し隊結成。メンバーは朝道零音と昼ヶ谷雫と夕森雪の三人です。メンバー追加の予定はございません。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
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次回投稿は8月30日9時を予定しています。