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第90話 占い その後

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

「これで四人とも占いは終わったよね。どうだったかな?」


 零音が部屋から出た後に、その後に続くようにして占い師が部屋から出てくる。


「どうだったって言われても……ちょっと複雑かなー」

「あまり気分が良いとは言えなかったわね。参考にはなったけれど」

「あはは、そっちの二人は手厳しいなー。君達は?」

「私は……けっこう参考になりました。言われたことを生かせるかどうかって言われたらちょっとわからないですけど」

「私もめぐみと一緒です。占いって初めて受けたんですけど、こんな感じなんですね」

「あはは、私はやり方がちょっと特別だけどね。でも誓って嘘はついてないよ。嘘はつかない。それが私のポリシーさ。見た過去や未来はちゃんと伝える。そこで嘘ついちゃったら私の占いを信じてくれる人がいなくなっちゃうからね」

「確かにそうですね。まぁ信用して欲しいというなら顔くらいは見せて欲しいものですが」

「あ、アタシも見たいかも。なんで隠してるのかずっと気になってたし」


 占い師のフードの下の素顔が気になるという雫と雪。そしてそれはめぐみと零音も同じだった。隠されているものが気になってしまうのは人間の性というものだ。


「えぇ! ちょっとやめてよ。私の素顔なんて見たっていいことないし」

「やっぱり隠されてるものは気になっちゃうじゃん。ちょっとだけ、ちょっとだけでいいからさ」

「ゆ、雪ちゃん。無理やりは良くないよ」

「そうだよ。無理やりよくない。よくぞ言ってくれた!」

「えー、じゃあせめて男か女かだけでも教えてよ。それがわかんないともやもやしちゃうじゃん」

「それもダメ。私は謎の存在X。それでいいのさ。占い師にはそれぐらいの秘密がいるの。ほら、ミステリアスな方がらしいでしょ」

「ケチー」

「まぁ嫌がることを無理やりするほど私達も鬼畜じゃないわ。素直に諦めましょう」

「しょうがないかー」


 雪がしぶしぶといった様子で諦めると、占い師はあからさまにホッとした表情で息を吐く。


「あ、そうだ。最後に言っておくけどね。占いはあくまで占い。信じるも信じないも自由。だからさ、何かあった時にふと思い出すとか、そんな程度のもので考えておいてね。占いの結果に縛られ過ぎるのもよくないからさ」

「占いはあくまで指針の一つ……ってことですか?」

「そういうこと。私から言うことはこれくらいかな。それじゃあ皆の行く先に、幸多からんことを……ってね」

「まぁ、思うところはありますが。ありがとうございました」

「「「ありがとうございました」」」

「はいはい。あ。それと最後にもう一つ」

「なんですか?」

「占い、料金はちゃんと払ってね」

「「「「あ……」」」」


 お金のことをすっかり忘れていた四人は、苦笑する占い師に料金を支払い、占い師の店を後にするのだった。




□■□■□■□■□■□■□■□■□


 零音達が占いを受けていたちょうどその頃姫愛もまた同じショッピングモール内にいた。


「すごい人ですわね……」

「姫愛は、」

「ショッピングモールに来たことは無い?」


 姫愛と一緒にショッピングモールにやって来た雷華と雷茅はキョロキョロと興味深げに周囲を見渡している。


「ありませんわ。そもそもこうして出かける機会自体少ないですから。少し前に来たことはありますけど……これだけ人が多いと少し怖いですわね。それにしてもショッピングモールに来たいだなんて、どうしましたの?」

「今日会わなければ、」

「いけない人たちがいる」

「会わなければいけない人たち? それがこのショッピングモール内にいますの?」


 コクリと頷く雷華と雷茅。姫愛はそう言われて周囲を見渡すが、知っているような人がいる気配は無い。というよりも、っもしいたとしても見つけられるかどうかわからないほどにショッピングモール内は人で溢れていた。


「これでは人探しなどできませんわ」

「大丈夫、」

「問題ない、」

「どこにいるかは、」

「ちゃんと把握している」

「それでしたら安心ですわね。それで探しているのはどなたですの? 私も知っているお方ですか?」

「もちろん知っている、」

「むしろあなたの方が、」

「よく知っている」

「私の方がよく知っているお方? そう言われても思いつく方なんて……」

「会えば、」

「わかる」

「そうですけれど……」

「でもまだ少し、」

「時間がある、」

「だからそれまで、」

「ショッピングモール内を探索する」


 少しだけ興奮気味に言う雷華と雷茅。その姿を見て、それも目的の一つだったのかと姫愛は苦笑する。


「最初からそれが目的でしたのね?」

「違う、」

「これは時間を友好的に使うための判断」

「別に隠すことありませんのに。こうして誰かとでかける経験なんてほとんどありませんもの。私もお二人と一緒にショッピングモール内を見て回りたいですわ。お二人の言う時間になるまで、楽しみましょう」

「ん、」

「感謝する」


 そして姫愛は雷華と雷茅と共にショッピングモール内の散策を始めた。二人が誰と合わせようとしているのかということに、薄々気付いていながら。それに気づかないフリをして。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は1月29日21時を予定しています。

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