第79話 零音達の水着選び 4
誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。
「というわけでタイムアップー。みんなちゃんと水着選んできたー?」
「選んできたわよ」
「私達も」
「自信はないけど、ちゃんと選んできたよ」
水着選びゲームが始まってから三十分後、零音達は再び集まっていた。それぞれしっかりと水着を選んでいる。
「よしよし。それじゃあ発表していこっか。じゃあまずはアタシから——」
「「却下」」
「ちょ、まだ見せてもないじゃん!」
「見せられなくても、もう見えてるから」
「そんなのどこに置いてあったのかしら。もう水着というか、紐じゃない」
「置いてあったよー。あっちのちょっとマニアックなゾーンに」
「マニアックすぎるでしょ。まぁあなたがこんな提案をした時から変なの持ってくるのはわかってたけど……紐はさすがに予想外ね」
雫は雪が持ってきた水着を持って顔をしかめる。それはもう本当に紐というにふさわしいものだった。最早この水着を着てどこが隠れるのかといったレベルだ。
「着て欲しいなー。ね? ね? お願い!」
「「却下」」
「ちぇっ、じゃあめぐちゃん! はい!」
「えぇっ!? 私!?」
「だってレイちゃんも会長も着てくれないって言うんだから、もうめぐちゃんしかいないじゃん」
「で、でもぉ」
「大丈夫大丈夫。絶対似合うからさ」
「そんな紐に似合うも似合わないもないよー!」
「へっへっへ。いくら叫んだって無駄だぜー。逃げ場なんてない——っていたっ!」
「調子に乗らない。めぐみも嫌なら嫌ってはっきり言って」
「ごめん……」
「もう頭叩かないでよー。普通に痛いんだから」
「あなたがふざけるからでしょ」
「いじめだー、暴力だー、体罰だー!」
「黙らないともう一発叩くけど?」
「…………」
「はぁ、それじゃあ雪は問題外ってことで。先輩はどんな水着を選んできたんですか?」
「ねぇねぇめぐちゃん、レイちゃんなんかどんどん暴力的になってない?」
「そ、そんなことはないと思うけど……」
「いーや、絶対になってるね。夏休みの宿題を賭けてもいいよ」
「それを賭けられても……私もうほとんど終わってるし」
「え、ホントに!? 見せて!」
「雪……聞こえてるからね?」
「っ! あははー、なんのことかなー」
「もう。いつもそうやって……まぁいいけど。宿題はちゃんと自分でやらないとダメだからね」
「うちの学園の宿題は簡単なはずだけれど。あなたあの程度の宿題にも苦労しているの?」
「できる人と一緒にしないでよ! 普通に量も多いし難しいから!」
「そういうものなのかしら。まぁどうしても無理なら私が手伝ってあげるわ。いつでもいいなさい」
「まぁその時は頼りにさせてもらおうかなー。って、今は夏休みの宿題のことはどうでもよくて。会長はどんな水着持ってきたの? アタシみたいな紐?」
「紐なわけないでしょ。私が持ってきたのは……これよ!」
「「「…………」」」
自信満々に持ってきた水着を披露する雫。しかし、その水着を見た零音達は思わず絶句してしまう。めぐみまでもが若干引いたような顔をしていた。
しかし雫は自分の持ってきた水着に相当な自身があるのか、自信あり気な表情を崩さず、零音達が微妙な顔をしていることにも気付いていない。
「機能性、耐水性に優れたこの水着。雪の持ってきた紐と違って隠れるところは隠れつつ、それでいて体のラインもしっかり出る。完璧じゃない」
「それ……本気で言ってる?」
「もちろん本気よ。決まってるじゃない」
「いやだってそれ……スク水じゃん!」
「? それが?」
「それが? じゃないよ! スク水とか論外だから! アタシの紐のこととやかく言えないレベルだからね!」
「さすがに紐と同一視する気はないですけど……スク水はないです、先輩」
「私も……それはちょっと」
「なんで? いいじゃないスクール水着。色もいろんなバリエーションがあったわよ。零音とかは白色のスク水が似合うんじゃないかしら」
「色のバリエーションがあるとかそういう問題じゃなくて……こう、あるじゃないですか」
「なるほど……そういうことね。あなた達の言いたいことはわかったわ」
「わかってくれましたか」
「安心して。これはセパレートタイプだから!」
「何もわかってない!」
「えー、ダメかしら」
「ダメです。っていうかさっき先輩はビキニタイプの水着着るって言ってたじゃないですか。なんでそれが私達にスク水勧めることになるんですか」
「最初は私も普通の水着を見てたんだけど……これを見つけて思ったのよ。原点こそ至高なのではなか……ってね」
「はぁ……」
「スク水……女性なら多くの人が着たことがあるでしょう」
「まぁ、そうですね。私も小学校と中学校はそうでしたし」
「そう。つまり選ばれる理由があるはずなのよ」
「いや、それは授業で選ばれる理由であって。普通に遊びに行くときには着ないですよ」
「スク水を授業以外で着てはいけないと……誰が決めたのかしら。それに、一部男性には爆発的人気があるのは知ってるでしょう」
「それは知ってますけど……それって本当に一部の特殊な思考してる人だけじゃないですか」
「晴彦がそうでないと、あなたは言い切れるのかしら」
「それは……そんなことない……と思いますけど」
「つまり断言はできないと。なら私はその可能性に賭けるわ」
「え、それってつまり……」
「私は今回の旅行、セパレートタイプの白スク水でいくわ!」
「「「えぇ!?」」」
「しょ、正気ですか!」
「本気!?それはさすがのアタシも引くよ!」
「正気だし本気よ。だからあなた達の分も持ってきたわけだけど……着ないんでしょう?」
「さすがにスク水は……」
「ちょっと勇気が出ないかなーって」
「わ、私も遠慮しますぅ……」
「残念ね。というわけで私の紹介は終わりよ。後は零音とめぐみだけね」
「わかりました。あ、でも私達二人で選んだんで、一緒に出していいですか?」
「もちろん。協力しちゃダメなんて言ってないしね」
「ま、私達が選んだのは普通の水着ですけど。ちゃんと似合いそうな奴を選んだので」
「ふーん、どんなのか楽しみかも」
「せいぜい期待させてもらおうかしら。まぁスク水以上は出ないでしょうけど」
「インパクトには欠けるでしょうけど。まぁ普通に普通の水着ですよ」
「私達が選んだのはこれです」
そして零音とめぐみは、自分達の選んだ水着を披露したのだった。
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次回投稿は12月11日21時を予定しています。