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第17話 零音達の作戦会議

思いついたことをメモしてたら部屋がメモだらけになって、目的のメモがどこにあるのかわからなくなってしまった……掃除しなければ。


誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 昼休み、教室に戻った後に晴彦はそのまま生徒会長と一緒にご飯を食べるとかで生徒会室に向かってしまった。

 なんとなく心がまだもやもやしてるけど、ようやく落ち着いてきた。さっき私が動揺したのはきっと想定外のことがあったからだ。


「ねぇねぇレイちゃん」


 晴彦が戻って来ないことを確認した夕森が声を掛けてくる。


「何?」

「結局わかったの?」

「ううん。わからなかった」

「レイちゃんにも言わなかったの?」

「うん」

「へぇ、レイちゃんにはなんでも言うかと思ってたのに。そうでもないんだね」

「……」


 こっちだってそう思ってたよ。余計なこと言うな。

 

「でもどうすんの? さすがにこのままじゃダメでしょ」

「……うん。そうだね、一応、昼ヶ谷先輩にも連絡しとこう」


 昼ヶ谷さんに晴彦のことを伝え、それとなく悩みを聞き出して欲しいと伝える。

 昼ヶ谷さんはいい先輩をしているという話だし、昼ヶ谷さんになら晴彦も話すかもしれない。

 あれ? またもやもやしてきた。なんでだろ。


「でもどうするの? あのままゴールデンウィークに入ると選択肢も何もない気がするけど」


 確かにそれもそうだ。もうゴールデンウィークは目前まで迫っている。このままじゃダメかもしれない。


「とりあえず昼ヶ谷さんがどうなったのか次第じゃないかな」

「それもそうだね」

「そんじゃ、アタシ達もご飯食べよっか」

「そうだね」



 そのあと、先輩から聞き出せなかったという連絡があった。

 よかった……ってあれ、なんで私安心したんだろ。

 聞き出せないとこの後の対処できないのに。

 あれ、追伸がある。放課後に生徒会室に来るように、か。晴彦のことで話すのかな。ってそれ以外で集まる用事なんてないけど。

 夕森の方を見ると携帯を見ていた。おそらく同じ連絡が行ってるんだろう。

 これからどう動くべきなのか。なんで私まで悩まないといけないのか。まったく。全部晴彦のせいだ。今回の一件が解決したら絶対に何か奢らせてやる。






□■□■□■□■□■□■□■□■


 そして放課後。私と夕森は生徒会室にやってきていた。

 晴彦に用事があると伝えようとしたら、逆に向こうから先に帰っててくれと言われたんだけど……まぁ、都合がいいと言えばいいから気にしてないけどさ。


「よく来たね。今日は他の人も来ないから普通にしてくれていいよ」

「あー。そりゃ助かるんだけどよぉ。この生徒会室にお前以外がいるの見たことないんだけど」


 あ、それは私も思った。この部屋にはあれから何度か来たことがあるんだけど、昼ヶ谷さん以外を見たことがない。


「みんな仕事は持ち帰ってやるからね。まぁ、あんまりにも機密性の高いものはそうはいかないけど。だからじゃないかな? ボクとしてはこの部屋が自由に使えるから助かってるけどね」

「まぁ、それもそうか」


 ドカッとソファに座り込む夕森。その姿で足を広げるな。中が見えるだろ。


「ねぇ、夕森。あんまり足広げない方が」

「あぁ? なんだよ。細かいこと言うなって。外でも家でもちゃんとしてんだ。今ぐらいリラックスさせろ」

「ハハッ。まぁいいんじゃないかな。でも、外で不意にでないように注意してね」

「大丈夫だって。今までバレたことないし」

「その言葉すっごいフラグみたい」


 まぁもういいか。こいつはあんまりいっても聞かないだろうし。


「とにかく揃ったし、話を始めようか」

「そうですね」

「まず言っておくと、これはイベントじゃない。それはわかってるね?」

「あぁ」

「はい」

「今回の一件は完全にイレギュラーだ。このままじゃゴールデンウィークのイベントに影響がでるのは明白だ。それは避けたい。そのためにも、せめて悩みの内容だけはわかっておきたかったんだけど」

「でもよぉ。朝道にもあんたにも言わなかったならホントに話すつもりねぇんだろうし。どうすんだ?」

「それで一応確認なんだけど。朝道さんには心辺りはないんだよね」

「……ありません」


 昨日までは普通にしていたし。それ以前にも何か悩んでいる素振りはなかったし、あったら私が知らないはずがない。


「私が聞いた時には昨日遅くまで起きてて、そのせいで眠かったんだなんて言ってたけど。昨日は10時47分に寝たのを確認してます。今日の朝も、6時32分に一度目を覚ましてから二度寝して、私が起こしに行った7時12分まで寝てましたし。ここ一週間、そんなに遅くまで起きてることはなかったので、寝不足っていうのは完全に嘘です。それに……どうかしました?」

「い、いや。なんでもないけど」

「お、おう。別になんもねぇよ」


 なんだ? 二人とも若干引いてるみたいだけど。何か変なこと言ったかな。


「とにかく。晴彦の今回の悩みについては今のところ完全に情報不足だってことだ」

「そうですね」

「目的の為にできることは全てしておかないといけない。打てる手は打っておくべきなんだ」

「じゃあどうすんだよ」

「聞き出すしかない」

「はぁ? それができりゃ苦労しねぇだろ」

「だから今回とは違うアプローチをするさ。この学園のゴールデンウィークは長い。合間の平日も休みにしてるからね。全部で9日間の休みになっている」

「それでどうするんですか?」

「ゲーム的に見るならば、イベントは三日あれば消化できる。ゲームの時の晴彦もゴールデンウィークはほとんど家で過ごしていた。つまり、それ以外の日は空いてるわけだ」


 たしかにそうだった。ゲームの時はゴールデンウィークの半ばからイベントが始まって、どのヒロインと遊ぶか、という選択肢が出ていたのを覚えてる。一週目の時はとりあえず三日間それぞれ別のヒロインを選んだけど、二週目の時は『朝道零音』だけを選択したりして起こるイベントの違いを楽しんだりしたものだ。


「つまりどうしたいかというとね。ゴールデンウィークの前半に、私達三人で晴彦と出かけよう」

「「は?」」

「一人で聞き出せないなら、三人で聞き出すだけだ。そこから対処して、後半にイベントを起こせればいい」

「でも、そんなことできるんですか?」

「できるよ。私が出かける場所の準備はしておく。だから朝道さんには晴彦の予定をおさえて欲しい」

「わかりました」

「それじゃあ、詳しい話をしていくよ」






□■□■□■□■□■□■□■□■


 話し合いが終わった後、私は晴彦の家にやってきていた。

 どうやらまだ晴彦は帰ってきてないみたいだ。私も話し合いとか買い物とかでけっこう遅くなったのに、何をしてるんだろうか。

 まぁいいや。先にご飯の用意をしてしまおう。私の分も作らないといけないし。

 今日の夜ご飯はハンバーグにしよう。材料はひと通りあるし。チーズもあるからチーズハンバーグでいいかな。

 最近、私の両親は晴彦とご飯を食べるのだからと、私の分のご飯を用意してくれなくなったし。お母さんは、


「零音ちゃん、花嫁修業よ! 晴彦君の胃袋しっかり掴みなさい!」


 とか言ってたけど正直余計なお世話だと言いたい。


「はぁ、この調子でいくとそのうち家まで追い出されそう」


 あながちあり得ないと言えないのがお母さんの怖いところだ。お父さんはお母さんには絶対逆らわないし。

 玉ねぎを切っていると、玄関のドアが開く音がする。

 晴彦が帰ってきたみたいだ。


「ただいまー」

「あ、お帰りハル君。遅かったね」

「まぁいろいろあってな」


 いろいろ? なんだろう。そのいろいろの部分に私の中の何かが反応してる気がする。

 それに、表情も明るい。悩みが解決した……わけではなさそうだけど。


「何してたの?」

「井上さんと一緒に図書室で本を探してたんだよ。ちょっと探したい本があってさ」


 ダンッとまな板が大きな音を立てる。

 あれ、なんか無意識に力が入っちゃったみたいだ。まな板大丈夫かな。へんな傷ついてないといいけど。

 それで、今晴彦はなんて言った?

 井上さんと一緒だった?

 私が晴彦のことで悩んでいた間に?

 それはいったいどういう了見だろうか。


「へぇ……そうなんだ」


 なんかまたもやもやしてきた。せっかく落ち着いてきてたのに。

 まぁいい。それよりもゴールデンウィークのことを伝えておかないと。


「あ、そうそうハル君。ゴールデンウィークの予定って特にないんだよね?」

「ん? あぁそうだけど。あ、でも」

「何かあるの?」

「ゴールデンウィークの初日は井上さんと図書館に行く約束してるから初日は無理だな」

「…………え?」


 井上さんと図書館に行くって。なんでそんなことに。いや、そこが問題なんじゃない。なんで井上さんなのかってことだ。晴彦と井上さんが話したことなんてほとんどなかった。晴彦の傍にはほとんど常に私がいたし。井上さんもあの性格だから晴彦とまともに話せるはずがないと思ってたのに。今日の放課後に一体なにがあったのか。

 頭がグラグラする。なんで、どうしてという思いが頭の中を駆け巡る。


「ありえないありえないありえないありえないありえない。井上さんが、あの女が晴彦に手を出そうとしてる? そんなの認めるわけには」

「あぁ、だからその日以外なら空いてるけど……どうかしたのか?」

「そんなこと許されない。晴彦は絶対に絶対に——って、え? どうかしたのかって何が?」

「いや、何かぶつぶつ言ってるから。何かあったのかと思って」


 ぶつぶつ呟いてた? そんなことしてたっけ。いや、なんか考えてたのは覚えてるけど……なんか言ってたのかな。覚えてないや。


「いや、特になにもないよ。気のせいじゃない?」

「ならいいけどさ」

「あ、そうそう。それでね。昼ヶ谷先輩がゴールデンウィークの前半に私と、雪ちゃんと、先輩とハル君の四人で出かけようって言ってたの」

「先輩が?」

「うん。どうかな?」

「あぁ、大丈夫だけど」

「それじゃあ、そう連絡しとくね」


 とりあえずこれで一安心かな。後は昼ヶ谷さんの作戦に沿って動くだけだ。

 ゴールデンウィークまであと少し。しっかりと準備しておこう。

 あと、今日の夜ご飯にはオクラを使ったサラダを追加しよう。


今回がゴールデンウィーク前最後の話になります。次回からはゴールデンウィークの話になる予定です。その前に閑話を挟むかもしれませんが。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

もし気に入っていただけたならブックマークよろしくお願いします! 私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は8月24日9時を予定しています。


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