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第59話 テスト終了!

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 そして迎えたテスト本番。晴彦達の通う雨咲学園では期末試験は四日間をかけて行われる。一日三教科、計十二科目だ。期末試験というだけあって、中間試験とは違い範囲も広く、覚えなければいけない内容は格段に増えている。普段から勉強していない人にとっては非情に辛い期間だろう。

 夏休みを目前に控え、希望と不安を抱えながら迎えたテスト初日。晴彦達にとって一学期最後の戦いが今まさに始まろうとしていた。




 テスト初日。


「ハル君、調子はどう? テスト勉強の成果は感じられてる?」

「え、うーん……まぁまぁだな。良くもなく悪くもなくって感じだよ。でもまぁ、平均ぐらいはとれてる……と思いたい」

「そこはもっと自信もって欲しかったんだけどなぁ」

「初日、初日だから。俺のテスト勉強の成果が表れるのはこれからだって!」

「だといいんだけど」

「そういう零音はどうなんだよ」

「私は問題ないよ。いつも通りって感じかな。先輩から見せてもらった過去問の通り、そんなに難しい感じでもなかったし」

「その自信が俺には羨ましい……」

「それじゃあ自信をつけるために今日も帰ったら時間の許す限り勉強ね」

「え?」




 テスト二日目。


「ハルっちなんかめっちゃ疲れてない?」

「そう見えるか?」

「うん。なんか目の下に隈できてるし。もしかして昨日もまたレイちゃんに?」

「……うん、まぁな」

「あちゃー。そりゃそうなるよねー。アタシなら絶対無理だもん」

「でもここで頑張らないとって言う零音の言い分もわかるからな。ここが踏ん張りどきだと思ってる」

「頑張るねぇ」

「そういう雪さんはずいぶん元気だな。昨日はあんなに疲れてたのに」

「アタシは昨日帰ってからすぐ寝たからね。そりゃもう元気ばっちりだよ!」

「帰ってすぐ寝たって……テスト勉強は?」

「もちろんしてない!」

「は? それテスト大丈夫だったのか?」

「んー、まぁ過ぎたことはしょうがないじゃん。アタシは明日のテストから頑張るよ!」

「それ絶対ダメなやつだろ」





 テスト三日目。


「は、晴彦君、三日目テストお疲れ様」

「あぁ、めぐみさん。お疲れ様」

「今日やった問題、覚えてた?」

「あぁ、そりゃもちろん。めぐみさんと一緒にテスト勉強した時にやった問題だったし……あれは流石に忘れられないって」

「あはは……だよね」

「まぁ、あれは苦い経験だったけど。でもこうやって実際に解けたんだから悪い経験ではなかったと思うよ。それに、めぐみさんの教えてくれた方法のおかげでいつもよりテストで緊張してない気がするし」

「ホントに? だったら良かった」

「めぐみさんは今日のテストどうだった?」

「手ごたえはあったよ。これも晴彦君とテスト勉強したおかげだよ」

「はは、そう言ってくれると嬉しいよ」

「明日でテスト終わりだし、残り一日、頑張ろうね!」

「あぁ、そうだな」





 そして迎えたテスト最終日。


「終わっったぁあああああああああっ!」


 最後のテストが終わった直後、晴彦は拳を天に突き上げて叫ぶ。辛かった。苦しかった四日間。テスト勉強の期間も含めれば一週間以上。珍しく勉強に向き合い続けた晴彦。だからこそ今回はテストが終わった解放感も今まで以上だった。


「ずいぶん嬉しそうだね」

「そりゃそうだろ。やっとテストが終わったんだから」

「ふふ、そうだね。喜んでるのはハル君だけじゃないみたいだし」


 周囲を見渡してみれば晴彦と同じように解放感に酔いしれている生徒は少なくなかった。テストを無事に乗り切れた喜びに思い思いに浸っていた。それはテストが上手くいったもの、そうではなかったもの、それすらも関係なく今だけはテストが終わったことに安堵していたのだ。


「まぁ、喜んでる人だけじゃないけど……」


 ちらりと零音が視線を向けた先にいたのは机に突っ伏している友澤の姿だった。いつもであればテストが終わった瞬間真っ先に喜びそうなものだが、今回に限ってはその限りではなかった。


「あいつの場合は自業自得だろ」

「あはは……そうなんだけどね」


 今回の期末試験、まったくテスト勉強せずに挑んだ友澤。そんなことをすればどうなるかなど火を見るよりも明らかだったが、友澤はそのまま最後までいってしまったのだ。その結果として友澤は解放感以上に打ちひしがれていた。


「ふへへ……このオレとしたことが……やっちまったぜ」

「だからテスト勉強しろって言ったのに」

「いけると思ったんだよぉー」

「その自信はどこから湧いて来るんだよ」

「このオレの胸の内から」

「根拠のない自信ほど恐ろしいものはないな」

「……いや、まだだ。まだ終わったわけじゃない」

「いやもう終わっただろ。何言ってんだよ」

「テストが返って来るその瞬間まで、オレは諦めない!」

「諦めの悪さだけは一人前だな、ホント」

「そうでも思ってないとやってらんないだろ。はぁ~」


 脱落者への憐憫の視線が集まる中、クラスメイト達はそれぞれに夏休みへと思いを馳せる。


「いやぁー終わったねー! 終わったよぉテスト! しんどかったー!」

「雪ちゃん、すっごく嬉しそうだね」


 晴彦と同じようにテストが終わったことに喜びを爆発させている雪とめぐみが晴彦と零音の元にやってくる。


「めぐみも雪もテストお疲れ様」

「うん、お疲れ様」

「おつかれー。テストってのは相変わらず疲れるもんだね。ま、もう終わったからいいけどさ。ってそうそう。終わった話はどうでも良くてさ、みんな夏休みの予定とかってあるの?」

「夏休みの予定? あー、そういえばまだ全然何も考えてなかったな。ここ最近はずっとテスト勉強テスト勉強で、そんな暇全然なかったから」

「私も全然考えてなかったな。めぐみは?」

「私も全然……夏休みは予定っていうか家にいることばっかりだったから」

「つまりまだ皆予定は空いてるってことだよね」

「うん、まぁそうなるかな」

「高校生になって初めての夏休み……楽しまないともったいないじゃない!」


 グッと拳を握って力説する雪。その勢いに呑まれた三人は黙って頷くことしかできない。


「というわけでさ、みんなで出かける予定をたてようよ!」


 


テスト話を書くよりも夏休み編を書きたいと思った結果のダイジェストテスト回。次辺りから夏休み編が始まる予定です。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントしていただけると私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は9月28日21時を予定しています。

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