第14話 再会と真実
登場人物まとめはこまめに更新しておかないと忘れそうで怖いですよね。
今回は少しストーリーを進められたと思います。
ゴールデンウィークを三日前にむかえた日の三限目の終わり、俺は零音達と一緒に四限目の教室へ移動をしていた。
「ね、そういえばハル君はゴールデンウィークどうするの?」
「あー、ゴールデンウィークかー」
そういえば何も考えてなかったな。去年のゴールデンウィークの時は零音と少しでかけたくらいで、ほとんど家にいたし。
「なんも考えてないなー。普通に家で過ごすよ」
「せっかく高校生になったのにそれはもったいない気がするなー」
「だからってしたいこともないしな」
こういう時、自分が無趣味なのが悲しい。最近は新しいゲームとか本も買ってないし……本格的にやることがないな。せっかくだし、新しいゲームでも探してみようか。
「じゃあさ、せっかくだし一緒に——」
「なになにー。二人とも何の話してんの?」
「いや、ゴールデンウィークすることないなって話をしててさ。って、どうかしたのか零音」
「別になんでもないよ」
「なになに、ハルっちゴールデンウィーク暇なの? じゃあさ、アタシと遊ぼうよ!」
「ダメだよ」
「……ん? 何がダメなの?」
「ハル君はゴールデンウィーク私と遊ぶ予定だから」
「レイちゃんはいつも一緒にいるんだからさー、ゴールデンウィークぐらいいいじゃん。あ、そうだめぐちゃんと一緒に遊んだら?」
「それなら雪ちゃんだってクラスメイトと一緒に遊んだらどう? ゴールデンウィークなんだから色々できるでしょ」
あー、また始まった。この二人は普段は仲いいんだけど、たまにこうして言い合ってることがある。喧嘩ってほどじゃないけど……まぁ、そんだけ仲良くなったってことかな。
こうなった二人はとりあえずほっておこう。あまり割り込んでもいいことがないし。
「友澤と井上さんはどうするんだ?」
「オレは軽音部の練習だな。ちょうどギターの練習してるとこだ!」
ジャーンとエアギターを披露する友澤。どうやら部活を満喫してるらしい。俺は部活にも入ってないから練習なんてないしな。
「わ、私は予定はないかな。家で本読んでるかも」
「そうか。井上さんは零音と遊ばないのか?」
「そ、そんな! 私なんかのために休日に時間を割かせるなんてもったいないよ!」
「そこまで卑屈にならなくても……。井上さん可愛いんだし、もっと自分に自信持っていいと思うよ」
「うえぇっ!」
井上さんが奇怪な声を上げて顔を真っ赤にする。どうしたんだろうか。
「おい日向。ナチュラルに口説いてんじゃんねーよ」
「口説いてねーよ!」
あ、でも井上さんの好感度が上がってる。『45』って零音除いたら一番高いかもしれない。っていうか、選択肢出なくても好感度って上がるのか。ってそういう問題じゃないか。まぁ嫌われてないと思えばいいか。
「あー、ごめんね井上さん。変なこと言っちゃったみたいで」
「い、いや全然気にしてないよ! こっちこそゴメンね、気をつかわせちゃって」
「別に気は使ってないよ。井上さんの雰囲気とか、俺結構好きだし」
「うわぃえ! そそそそんなこと言われても」
また井上さんの好感度が上がる。っていうか、これだけで好感度が上がるなんて、もしかして井上さんはチョロいと言われる人なんだろうか。変な奴に騙されないか心配になってきた。
それにここまで素直に反応されるとこっちも恥ずかしいっていうか。
「そ・れ・が口説いてるっていうんだよぉおおおお!!」
「ちょっとハルっち。なにめぐちゃんと良い雰囲気作ってるのさ!」
「……ハル君?」
友澤の叫びに気付いた二人が、言い争いを止めてこちらに寄ってくる。
やばい、零音が笑顔で圧力を放っている。もしかして俺が井上さんにちょっかいをかけたと思って怒ってるんだろうか。
「もう! 結局ハルっちはゴールデンウィーク誰と遊ぶの!」
すでに誰かと遊ぶのは確定なのか。いや、予定もないからいいんだけどさ。
うーん、しかしこの状況、誰を選んでもよくない気がする。今回は選択肢みたいなのが出てくる様子もないし、なんて答えるか。
っていうか、何か忘れてる気がする。うーん、なんだっけ。
「あ、そういえば生徒会長に遊びに誘われてたんだっけ」
思い出した。あれから何度か生徒会長とご飯を食べてるんだけど、この間お昼ご飯を食べた時に生徒会長にゴールデンウィーク一緒に遊ばないかって誘われたんだった。
あんときは答えなかったけど、それにも返事しないと。
「「それはダメ!」」
「え、何でだよ」
「ほら、生徒会長はゴールデンウィーク明けの校外学習の準備で忙しいだろうし。ハルっちと遊んでたら余計に大変になるかもしれないじゃん」
「そうそう、あんまり迷惑かけちゃダメだよ」
「いや、向こうから言ってきたんだけど……」
でも確かにそうか。人手が足りなくて今も準備で忙しいって言ってたしなー。
気をつかって誘ってくれたとこもあるのかもしれない。
「まぁとりあえず俺は——」
瞬間、視界の端に白髪の人影がよぎる。
「悪い零音。これもって先に行っててくれ!」
「え、ちょっとハル君!?」
廊下の角を曲がって消えていった人影を追って走る。
あれは、俺の記憶が正しければ夜野さんのはずだ。
急いで追いかけたが、曲がり角の先にその姿は無い。
「くそ。いやでもまだそんなに遠くには行ってないはず」
すれ違う生徒に見なかったかどうかを聞きながら追いかける。
そうしてたどり着いたのは学校の屋上だった。いつもなら鍵が閉まっているはずの屋上の扉が、今日は開いていた。
おそるおそる扉を開くと、そこには夜野さんの姿があった。
「……また会ったね」
「やっと見つけた」
あれからたまに時間があるとき探したりしてたけど、結局見つかることはなかった。
だからまさかこんなに簡単に見つかるとは思ってなかったんだけど。
まぁそれはいい。聞くことがいくつもあるしな。
「この力を手に入れてから、たまに選択肢みたいなものが見えるようになったんだけど、あれはなんなんだよ」
「あの選択肢は世界の意思なの。全ての事象を観測して君に最も相応しい選択肢を与える」
「世界の意思?」
「君はね。あの選択肢に沿って進んでいればいいの。そしたら君にとって一番相応しい人が決まるから」
「なんだよそれ」
「朝道零音。昼ヶ谷雫。夕森雪。世界が君に選んだ運命の女の子。選択肢も彼女たちに関わるものしかでなかったでしょ?」
「そういえば」
「君はただ享受するだけでいい。好きに選択肢を選べばいい。その目と、選択肢があれば君は彼女たちの中から運命の人を見つけられるから」
零音や雪さんや先輩が俺の運命の人? なんだよそれ。
一気に言われたことに頭がついていかない。
「……心配しなくても、世界が選ぶのは君と一番相性の良い子たちだけだよ。君は狐が与えた力と、世界が選んだ子達から自分の好きな子の好感度を上げればいい。簡単でしょ」
「別にそういうのを心配してるわけじゃない」
「まぁでも、君は何を気にしたって彼女たちの誰かを選ぶしかないんだよ」
「なんでだよ」
「だって、卒業までに彼女ができなかったら、君、死ぬから」
「…………は?」
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校庭で体育をしているのを、私、夜野霞美は一人屋上から見下ろしていた。
「ふぅ、久しぶりにいっぱい話すと疲れたな」
この場にすでに彼はいない。今頃は授業を受けているだろう。
「まぁでもいっか。これで日向晴彦は誰かを選ぶしかなくなった」
彼が狐の力を手にしてからずっと観察していた。そして気付いた。今の状況がイレギュラーであるということに。
「朝道零音も昼ヶ谷雫も夕森雪も、普通じゃない」
少なくとも、彼女達はあんな風ではなかったはずなのだ。最初は誤差かと思ったけど、そうじゃない。彼女達には何かある。
それが何かまではわからないけど。
まぁ、彼女達が妙なことをしない限りは放置でいいだろう。
「それ以外にも気になることはあるけど、今はシナリオ通りに進んでる」
差し当たってはゴールデンウィーク。日向晴彦がどんな選択をするのか見届けよう。
「誰にも邪魔はさせない。この世界は——私のものなんだから」
プロローグ以来の登場夜野さんです。これからもっと出番を増やしていけるようにしたいです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
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それではまた次回もよろしくお願いします!
次回投稿は8月21日9時を予定しています。




