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第13話 零音と晴彦の両親

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 ご飯を食べ終わった後、零音は家に帰っていた。本当ならご飯を食べ終わった後に晴彦と一緒に勉強をしようと思っていたのだが、久しぶりに帰ってきた秋穂と積もる話もあるだろうと思ったのだ。そんな親子の語らいを邪魔するほど零音は野暮ではない。

 家に帰ると、ちょうど莉子もご飯を食べ終えた所だったのかリビングでテレビを見ながらくつろいでいた。


「あらお帰りなさい零音ちゃん。こっちもうご飯済ませちゃってるわよぉ。なんの連絡もしてこなかったってことはあなたも向こうで食べたんでしょ?」

「ただいま。そうだよ。向こうで作って食べてきた。そうそう、秋穂さんが帰ってきてたよ」

「秋穂ちゃんが?」

「仕事のお休みもらって帰って来たんだって。ハル君の家に入ったらいたからびっくりした」

「そう、ならまた明日会いに行こうかしら。久しぶりにお話もしたいしぃ」


 零音の母親である莉子と晴彦の母親である零音は仲が良い。零音が昔聞いた話では高校時代からの親友らしい。ちなみに零音の父と、晴彦の父も同じ高校でその頃からの付き合いだ。そしてお互いが結婚してからもこうして近くに住んでいるのだから縁というのはバカにできない。


「徹君は?」

「おじさんは帰ってないみたい」

「秋穂ちゃんたら、徹君に仕事押し付けて帰って来たんじゃ」

「そんなことはない……と思うけど」

「ま、いつも通りってことねぇ。徹君は秋穂ちゃんに振り回されてるのが通常運転だものぉ」


 朝道家、日向家の両家において絶対的権威を持つのは母親達だ。誰も逆らうことはできない。しかしそれで上手く言っているのだから良いのだろう。なんだかんだと言ってもどちらの家も夫婦仲が良いのは誰が見ても明白だ。


(私もハル君と結婚したらこんな風に……っていやいや、まだ早い。その想像はまだ早いよ私。でも……うん、いいかもなぁ、ふふ)


 少し前までは考えもしなかった、未来の零音と晴彦の姿。それを想像して零音は思わず笑ってしまう。一軒家で、子供は何人で……などなど、一度始めてしまった妄想はなかなか止まらない。


(子供かー、一姫二太郎って言うし最低でも二人は欲しいよねー。なんてなんて! そんなことする度胸も勇気もまだないんだけどさー!! 私ったらはしたない!)


 キャーキャーと自分の想像で身もだえる零音を莉子が怪訝な表情で見る。


「いきなりどうしたのぉ? 零音ちゃん。またおかしくなっちゃった?」

「お、おかしくなんてなってないよ!」

「そう? ならいいんだけどぉ」


 莉子のいうまたおかしくなった、というのは以前の霞美との一連の事件の間のことだ。零音の様子がおかしくなったということには気づいていた莉子だったが本格的に介入してよいのかどうなのかと悩んでいる間に解決したようなので安心していたのだ。事件後に零音が明るくなったのは良い変化だと莉子は思っていた。何が起きたのかということは深くは聞いていない。必要であれば零音から話すであろうと莉子は信じているからだ。

 しかしだからといって親の前で突然ニヤニヤとしだして身もだえる姿を見ればさすがに心配してしまうというものだ。


「そういえば、知らなかったんだけど。秋穂さんって料理できないんだね」

「知らなかったの? あのこ本当にものぐさだから。徹君と結婚するまでは食事はインスタントばっかりか、たまに私が作ってあげたりしてたわ」

「そうだったんだ」

「その代わり運動とか勉強とかすごかったわよぉ。できることとできないことがはっきりしている人だったのよ」

「おじさんは?」

「徹君は平凡って感じの人だったわよ。社会人になって再会してからも相変わらず秋穂ちゃんに振り回されてるみたいで安心したのを今でも覚えてるわ」


 そして、お互いに結婚し子供ができ、一時的に疎遠になりかけたものの子供達が出会い再び一緒に過ごすようになったのだ。


「世の中って不思議なモノよ。出会ったり別れたり、それから再会したりを繰り返すの」

「そういうものなのかな」

「そうよ。だから零音ちゃんも思いもよらない場所で思わぬ人に再会したりすることがあるかもねぇ。さ、それじゃあそろそろ秀介さんが帰って来るころだし、私もご飯の用意を始めるわぁ」

「手伝おうか?」

「大丈夫よぉ。それより先にお風呂入っちゃいなさい」

「そっか。わかった。それじゃあ先にお風呂入るね」


 ふんふんと鼻歌を歌いながらキッチンに向かう莉子のことを見送りながら零音はお風呂に向かうのだった。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントしていただけると私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は4月27日21時を予定しています。

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