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第6話 昼休みの話し合い

前々から思っていることですが、もっと早く書けるようになりたいのです。

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 昼休み、零音と雪とめぐみの三人は雫の元へとやって来ていた。姫愛が転校してきたこの状況で晴彦を一人にするのは不安だったが、今回の話合いの中には晴彦に聞かせられない内容もあったために連れて来るわけにもいかなかったのだ。とりあえず零音達は友澤と山城に姫愛を近づけないようにというお願いという名の脅迫をしてきたのだが、それもどれだけ効果があるかわからないというのが実情だった。


「なるほど……東雲姫愛か」

「雫さんは知ってるんですか?」

「えぇ、何度かパーティで会ったことがあるわ。あまり話したことはなかったけど……まさか彼女が晴彦のことを好きだなんて……知らなかったわね」

「できれば二度と会いたくなかったんですけど……まさか無理やり転校してくるなんて。なんで転校してきたのか知りませんか?」

「さすがに私もそこまで把握はしてないわよ。晴彦に関わりのある人物なら気を付けることもできたけど、知らなかったわけだし。後でできる限り調べてみるわ」

「お願いします」

「霞美も彼女については何も知らないのよね?」

「はぁ? 知ってるわけないじゃん。私が知ってるのは『アメノシルベ』に関することくらいで、他のことなんてわからないし」

「あなたが何かしたなんていうことは?」

「あるわけないでしょ。っていうか、今のこの状況でなにができるっていうのよ」


 そう言って霞美は自分につけられた首輪をクイ、と引っ張る。別に倒錯的な趣味のためにつけているわけではない。零音はよくわからないが、霞美につけられた首輪はその力を封印するためのものらしい。この世界にはそんなものまであるのかと驚いた零音だったが洗脳やら狐狼やらを見てしまったら今さらかと零音はあっさり受け入れた。

 そんな霞美は今奏から与えられたメイド服を着ている。幼い容姿と相まって見ている者全てを魅了するような魔性を秘めていたが、その本性を知っている零音からしたら触れれば怪我をすることが確定している劇物でしかない。


「逆に今できることとかないの?」

「ないよ。何かして欲しいならこれ外してよ」

「それはダメよ。許可できないわ」

「むぅ……」


 ぶつくさと文句を言いながら霞美は給仕の仕事をこなす。


「っていうかさ、その……姫愛? だっけ。何が問題なの?」

「何が問題って、ハル君のことを好きだっていうのが問題なの」

「どうして? どうせ晴彦はまだ零音のこと好きなんでしょ? さっさと付き合えばそれで終わりじゃん」 

「それは……」

「私達との約束の問題ね」

「契約って……あー、なんかそんな話してたね。興味ないから忘れてた」


 事件の終息後、零音達の間で交わされた約束。


「当面の零音からの告白禁止。それと、私達にもチャンスを与えるということ。その他もろもろあるけれど、大きなものはこれね」

「まぁそれに私自身も晴彦もう一回ちゃんと晴彦への気持ちと向き合うって決めたから。そのためには時間が必要だったし」

「ふーん。好きならすぐに告白したらいいのに。いちいち面倒なことするのね。みんなも晴彦のことが好きならさっさと告白したらいいのに。晴彦がまだ零音のこと好きなのは好きなんだろうし。さっさと言わないとまた手遅れになるだけじゃないの?」

「「「…………」」」


 むろん、そんなことは雫達もわかっている。晴彦のことが好きなら告白、とまで言わないまでもデートに誘うなり遊びに誘うなりするべきなのだ。このままでは着々と関係を進めている零音や今回新たにやってきた姫愛に奪われてしまうかもしれないのだから。

 それがわかっているのに行動ができないのだ。


「ねぇ、もしかしてさ……今さら恥ずかしいとかじゃないよね?」

「「「っ!?」」」

「そこのめぐみはちょっと違うけど、雪と雫は自分が元男だってことがバレて、今さらどう接したらいいかよくわからなくなってるなんてことないよね?」

「「「っ!!!」」」

「まさかの図星か……情けな」

「うるさいわねしょうがないでしょ」

「ちゃんと人を好きになったのだって初めてなんだから」

「わ、私も二人と同じ……かな。どうやってアプローチしたらいいかわからなくて」


 元の世界にいた時とこの世界に来てからを通して初めて好きになった人なのだ。『夕森雪』や『昼ヶ谷雫』としてなら晴彦と接することができる。しかし、いざ『自分』として接するとなった時にどうすればいいかわからないのだ。だからこそ行動できない。

 めぐみはそこまで深刻なわけではない。ただ単純に緊張して誘えないというだけだ。一歩踏み出す勇気をめぐみはなにより切望していた。


「なるほどねー。だから最近常にロールプレイしてるわけだ。いつかそれが自然になるように。ま、好きにしなよ。私には関係ないし」

「あ、そうだ。それよりも早く話して決めないと。こうしてる間に姫愛が何かしてくるかもしれないんだから」

「そうね。いつまでもグダグダと話していてもしょうがないし。それじゃあ始めましょう『日向晴彦を振り向かせ隊』の記念すべき第一回の話し合いを」

 

 雫の号令で零音達の話し合いが始まった。


 零音達がやってくる少し前の事。

「それじゃあ霞美、そろそろ来る頃だから紅茶の用意をしてくれる?」

「え、私がするの?」

「あたりまえでしょ。今のあなたは私付きのメイドなんだから。どこに主に紅茶を入れさせるメイドがいるのよ」

「汝が御前に」

「カッコつけた言い方しないで。さ、早くして。昨日みたいにお湯入れ過ぎて味うすいみたいなのはやめてね」

「くぅ、面倒な」

「何か言ったかしら?」

「別に、何も」

 そして霞美はお茶の用意を始めるのだった。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントしていただけると私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は4月10日21時を予定しています。


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