プロローグ 新たなる始まり
今日から第二章始めていきます!
新キャラと共に、一章で活躍させれなかったキャラにも焦点をあてていきたいと思います。
誤字脱字があれば教えてくれると嬉しいです。
「~~~~~~っ♪ ふふっ」
その少女は——東雲姫愛は、機嫌よく鼻歌を歌いながら過行く街並みを車の中から眺めていた。
「あぁ、今日はいい日ですわ。爺やもそう思うでしょう?」
「はい、お嬢様」
車の運転をしていた老人は嬉しそうに笑う姫愛の言葉を笑顔で肯定する。この老人は知っていた。姫愛がどれほどこの時を待ち望んでいたのかということを。実の孫娘のように可愛がっている姫愛が喜んでいる姿を見て、老人としても嬉しくないはずがなかった。
「お父様を説得するのは大変だったけど、これでようやくわたくしもあの人の元へといける。あぁ、早く明日にならないかしら」
まるでクリスマスを心待ちにする子供のように、目をキラキラと輝かせながら姫愛は言う。
「お嬢様、急いても時間は進みませんぞ」
「もう、そんなことはわかってるわ。わたくしだってもう子供じゃないんですもの」
「ほほ、そうでしたな」
「でも今日は特別、許してあげる。機嫌がいいもの」
上機嫌な少女は鞄から手帳を取り出し、そっと開く。その一番最初のページには一枚の写真が貼ってあった。そこには姫愛と一人の少年が写っていた。
顔を真っ赤にして固まっている姫愛と、どこか頼りなさげな笑顔を浮かべている少年。姫愛にとって宝物の写真だ。
その写真を愛おし気に見つめた姫愛は写真を傷つけないようにそっと手帳を閉じる。
そして姫愛は上機嫌から一転、不愉快さを隠しもしない声音で老人に問う。
「それで爺や、あの女はまだ彼の傍にいるの?」
「……はい。そのようでございます」
「……ふん、あの女狐。まだしつこく彼に付きまとってるのね。まぁいいわ。指をくわえているだけの日々ももう終わりだもの」
そして少女は今日手に入れたばかりの新しい写真を懐から取り出す。
「わたくしがすぐにその女から解放してあげますわ。待っていてくださいまし——晴彦様」
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それは遠い外国の地でのこと。
「あー、疲れたわー」
「おい仕事中だぞ。しゃんとしろ」
「わかってるわよー。でも、そろそろ愛する家族にも会いたいじゃない」
「おいおい、愛する夫なら隣にいるだろ」
「は?」
「え?」
「まぁそれは置いといて、私は愛する息子に会いたいわけですよ」
「いやそこ置いといちゃダメだろ!」
「ちょっとうるさい。ま、そういうわけでね。私ちょっとまとめてお休みもらったのよ」
「は!? 俺そんなの聞いてないぞ!」
「言ってないもの。だから、この仕事終わったら一度日本に帰るわね」
「えぇ……」
「ふふ、楽しみねー。晴彦と零音ちゃんがどうなってるか。私帰ったらおばあちゃんなんてことになってないかしら」
そう言って女性は、晴彦の母親である日向秋穂は楽しそうに笑った。
第二章からは週3日くらいの投稿になるかと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
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それでは、また次回もよろしくお願いします!
次回投稿は3月24日21時を予定しています。