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第131話 終焉の金曜日4

なろうサイトにある色んな作品読んでると時間を忘れてしまいますよね。書いてる間の息抜きに読み始めて気付いたら三時間以上経ってた時はさすがに焦ったのです。


誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 霞美に洗脳された町の人々の手から一時的に逃れることができた雫達は建物の陰に身を隠していた。


「まさか朝からこんなことになるとはね」

「なんなんですかさっきの人は。こんなの普通じゃないですよ。おかしいです」

「そうね。普通じゃないわ。そう文句を言ったところで何もならないのが余計にツラい所ではあるわね」


 思わずぼやく依依。雫とてこんな非常識な状況のなか、文句の一つや二つ言いたいがそれをしたところで状況が打開されるわけではない。ならばと雫は必死に頭を働かせる、今の状況から脱却する方法を。


「警察に連絡……とかどうですかね」

「町の人たちに追いかけられてますって? いたずらだと思われるだけよ。もし信じてやってきてくれたとしてもあの人数を簡単に止めれるとは思わないわ」

「そうですよね」


 自分でも無理な話だと思っていたのか、弥美は苦笑するしかない。

 今の町の住民はただただ雫達を捕まえるための霞美の操り人形となっていた。こうして身を隠している今も近くを走って捜索している。見つかるのも時間の問題だろう。


「いつまでもここにいるわけにもいかないわ。次の手を早く考えないと」

「……お姉さま」

「どうしたの花音」

「一つ考えがあるんですが」


 それまで黙って考えていた花音が真剣な面持ちで口を開く。


「囮をつかうのはどうでしょうか」

「囮?」

「ずっとここでジッとしていては捕まるのは時間の問題。全員で揃って動いても見つかるリスクが高い。なら、誰かを囮にして住民をひきつけてもらってから移動するのがいいんじゃないかと思うんです」

「…………」


 その方法については雫も考えなかったわけではない。むしろ一番最初に思いついた方法だ。しかしそれを選択しなかったのは囮となる人物の負担が大きすぎるからだ。


「ダメよ。危なすぎるわ。捕まればどうなるかもわからないのに」

「いいんじゃない?」


 花音の意見を否定し、却下しようとした雫。しかし、隣にいた雪はまったく反対のことを言う。


「夕森さん?」

「その子の言う通り、このままじゃアタシ達全員捕まるだけだし。考えすぎて動けないよりはずっといいと思うよ」

「……聞いてなかったの? 危険よ。町の住人から確実に逃げ切ることができる保証もないわ」

「あるよ」


 あくまで危険を訴える雫に対して、雪は軽い口調で言う。


「囮はアタシがやるから」

「っ!? 本気で言ってるの?」

「当たり前じゃん。アタシはこの中にいる誰よりも体力あるし、足も速い。他に選択肢なんてないでしょ」

「確かにそうだけど……でも」

「アタシはね、何かをできないって諦めることは止めにしたんだ」


 まっすぐに雫のことを見る雪。その瞳を見て決意が固いと悟った雫は少しの沈黙のあと、ため息を吐く。


「……はぁ、しょうがないわね。ただし、約束しなさい。必ず学園までやってくると」

「もちろん。むしろそっちよりも早く学園に着いてみせるよ」

「できるものならね」

「あの……いいんですか?」


 この作戦を言い出した花音が心配そうに雪のことを見る。本当ならば花音は自分がやるというつもりだったのだ。しかしそれを雪に押し付けるような形になってしまった。


「ん。あぁ全然大丈夫だよ。キミが言わなかったらアタシが言うつもりだったし。だからそんなに気にしなくていいよ」

.

「でも」

「その代わりさ、会長のことよろしくね。あの人、自分が一番の先輩だからって気負いすぎだからさ」


 小さく花音に耳打ちする雪。

 

「……はい!」


 強く頷く花音。それを見た雪は、こんなことを言うのは自分の柄じゃないなと内心苦笑しながらも、囮をするための準備を始める。


「あの、先輩。これどうぞ」

「ん、なにこれ」

「さっき使った煙幕の予備です」

「そういえば、なんでこんなもの持ってるの?」

「……まぁ、色々とありまして」

「うーん……あ、忍者?」

「違います」


 長い前髪で顔を隠している弥美の姿も相まって雪には弥美のことが忍者に見えた。もちろん、そんなことはないのだが。


「残念。あんなのがいるくらいだから忍者がいてもおかしくないと思ったんだけど」

「もしかしたらいるかもしれませんけど、少なくとも私は忍者じゃないです」


 弥美から煙幕を受け取った雪はそれを胸の谷間の間に隠す。


「お、できるかなって思ったけど案外できそう。思ったより安定してるかも……ってどったの?」

「……いえ、なんでもないです」


 雪が胸の谷間の間に煙幕を隠しているのを見て弥美は愕然としてた。自分が昔やってみようとしてできなかったことをあっさりやられたからである。自分の胸囲と雪の胸囲を比べてショックを受ける弥美。そんなことは知らない雪は準備ができたということを雫に告げる。


「そう。もういけるのね」

「もち」

「あんまり時間もないから手短に作戦を説明するわ。といっても、作戦と呼べるようなものではないけどね。ここから出てすぐに夕森さんには学園とは反対側に向かって走ってもらうわ。広い道を走り続けるよりも細い路地のある住宅街の方が逃げやすいでしょうし、私達の安全も確保できるでしょうから。住宅街の方にいけばさらに追手は増えるでしょうけど……いいわね」

「うん。大丈夫だよ。しばらくひきつけた後にアタシも学園に向かうからさ。そこでまた合流しよ」

「えぇ」

「……よし! それじゃあ行ってくる!」


 気合いを入れ直して雪は隠れていた建物の陰から飛び出していった。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントをしていただけると私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は2月4日21時を予定しています。

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