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凡人な私、誤解される

 


 私と友梨ちゃんは食堂にやって来た。食堂っていうかどこぞの高級レストランみたいなんですけど!!さすが東林!!!

 だけど、どのメニューにするかを決める→発券機のボタンを押す→出て来た券を係りの人に渡す→料理を受け取る→席を確保 という方式なので少しは学食らしさが残っている気がする。そういうことにしとく。



 さえ、ここで重大な問題が発覚した。どのメニューもとても美味しそうなのだ。どれか1つに決めるなんて!!!そんなこと私には出来ない!!!!

 どのメニューにしようかと真剣に迷っていると、


「どんだけ迷ってんのよ。まぁ、好きなだけ迷ったらいいわ。私はもう決めたから先に行って席で待ってるからね。」


 友梨ちゃんが先に行って席を取ってくれるらしい。優しすぎです。


「友梨ちゃんごめんね…ありがとう。お言葉に甘えてもう少し迷うことにする!」


 手をひらひらさせると友梨ちゃんはテラス席に向かって行った。私は両手を合わせて友梨ちゃんを拝んだ。やはり私の親友は女神様だ。ありがたや〜


 悩んだ末、オムライスとミートソーススパゲッティーの2択に絞ることに成功した。

 しかし、ここから先が問題だ。どっちも同じぐらい魅力的でいっその事両方食べようかなぁとか一瞬考えたけど、辞めといた。ご令嬢たるもの、「こいつ食い意地張っている(笑)」などと思われるわけにはいかない。華の女子高生としてそれはちょっと遠慮しなければならないと理性が訴えかけるので我慢した。

 いくら考えても決められそうに無いので、必殺!「どちらにしようかな」を使った。その結果、ミートソーススパゲッティーになった。

 長き道のりであった。


 券売機のボタンをポチッと押して(このポチッとするの好き!)、係りの人に渡した。



 とっても美味しそうな出来立てほやほや、熱々のミートソーススパゲッティーを受け取って、友梨ちゃんが待っているであろうテラス席に戻ろうとすると、美希を見つけた!

 あぁぁぁあ!!!朝ぶりの美希だよ!!!

 ここで会えたのは奇跡だ!と思ったので美希に近づくことした。美希も私に気がついたようで可愛らしい笑顔で手を振ってくれた。


「美希ぃ!!会いたかったよ〜って、え!?ぎゃぁぁあ!!!」


 もう少しで美希のところに着く!ってところでどっかの椅子に足を引っ掛けてバランスを崩した私はそのまま派手にずっこけた。

 早く近くに行きたくて小走りしたのが悪かった。スパゲッティーを持ちながら走ったのがいけなかったのだ。

 なんとミートソーススパゲッティーを美希のスカートにぶちまけてしまったのだ。


 周りの人が「きゃあ!」とかなんとか言って騒いでいる。


 あぁぁぁあ!!!!やってしもうた!!!!無様に転んだ挙句、美希の新しい制服をミートソースで汚してしまったぁぁぁあ!!!!

 ど、ど、どうしよう。なんてことをしてしまったのだ!!軽くパニックに陥った。


「み、美希!ミートソース熱くない??やけどとかしてない???ごめんなさい!!!悪気は無かったんです!!!私としたことが、美希を傷付けるなんて…もう生きていけない…!」

「明希ちゃん、落ち着いて!大丈夫だよ。熱くもなんとも無いから、ね!!制服も洗えば汚れ落ちるよ!ほら、確認してみて、やけどなんてして無いでしょ?だから落ち着いて!!」


 ペタペタと美希に触ってやけどして無いか確認できると少し安心した。すると、


「美希!!??大丈夫か!?怪我して無いか??

 おい!そこのお前!!美希になんてことしてくれたんだ!!!」


 美希の連れらしきワンコっぽい男の子がやってきて、大声で怒鳴られた。


「ごめんなさい!私が悪いんです…!!」

「ごめんなさい、で済むと思ってのか!!!!」

「朝斗くん、明希ちゃんも落ち着いて!私は大丈夫だし、明希ちゃんもわざとやったわけじゃ無いんだから!」


 そして美希は周りを見渡すと

「皆様、お騒がせして申し訳ありません。」

 と頭を下げた。私も慌てて「申し訳ありません」と言って頭を下げた。


 その後すぐに朝斗と呼ばれた男の子が美希を連れて行ってしまった。すれ違うとき、鋭い目つきで睨まれてしまった。


 美希たちが去った後、私は自分のしでかしたことがショックに受けつつ、散らかったスパゲッティーやら割れた食器を片付けようとすると__________



 私の前に数人の生徒が立ち塞がった。

「あなた、美希様になんてことをしたのよ!!」

「お怪我を負ったらどう責任を取るおつもりなのかしら?」

「美希様のお姉様の明希さんですよね?もしかして可愛らしい美希様に嫉妬してわざとしたんじゃ無いでしょうね!?」


 と、口々に言われた。2人目までの言い分はごもっともだが3人目、ちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえてきたぞ。


「確かに私は美希の姉の明希ですが、断じてわざとやってなどいません!!」


 わたしが故意に美希を傷付けるなんて!そんなことするわけない!!!


「ふん!どうでしょうね!美しく聡明な美希様を疎ましく思って、このようなことをしたのでは無いのですか?」

「だいたい!入学式の時だって、菅野様と美希様がたのしくお話なさっていたのにあなたは割って入って邪魔なさっていたじゃありませんか!」


「美希のことを疎ましくなんか思ってないです!むしろめちゃくちゃ愛してます!!

 それに…え、邪魔?なんのこと??」

 匠と美希の邪魔なんかしたか??記憶にないのだが?人違いじゃない?それしたの別のアキちゃんじゃない?

「とぼけないで!美希様以外の女の方とはほとんどお話にならない菅野様に無理やり話しかけていたでしょ!孤高の君と美希様の仲を引き裂こうなんて最低ですわ!」


 おぃぃぃい!!!ちょっと待て、匠ってまだ人見知り治って無かったの!?!?確かに美希と匠も幼馴染だから普通に話したりするけども!!それすらも特別なことってことだよね?え、高校生にもなっても人見知りってさすがにマズいよね??匠、大丈夫なんか!?!?それでいいのか高校生!!

 しかも孤高の君ってナニソレー??笑っていいの??笑っていいところだよねそれ?



 幼馴染が孤高の君(笑)とか呼ばれていることについて考えていると


「ちょっと!黙ってないでなんとか言いなさいよ!!」


 ーーーーーパシッ!


 平手打ちされた。力の弱い女子の平手打ちでも結構攻撃力はあるらしい。ほっぺたがジンジンする。

 いきなりのことで私が固まっていると、


「ちょっと!これは一体何の騒ぎなのかしらね?

 私の親友に何か御用かしら??」


 騒ぎを聞きつけたらしい友梨ちゃんがやってきた。

 大和撫子が険しい表情で発した言葉を聞いて私を責めていた生徒たちは、


「わ、私たちは美希様を傷つけようとした身の程知らずなその方に注意しただけです!」

「そ、そうです。私たちは悪いことは何もしてないわ!」


 と言うとそそくさと逃げ出していった。



「ゆ、友梨ちゃぁぁぁん!!!うぅ、、わ、私、美希に悪いことしちゃったよ…どうしよう!!?!?しかもなんか変な誤解をされてるみたいだし…うぁぁぁあ!!!!」


 私は友梨ちゃんに抱きついた。


「どうどう。明希、落ち着け。

 って!あなた、その頬どうしたのよ!?!?真っ赤になってるわよ!?まさかさっきの奴らにやられたの!!???」

「頬?あぁ、なんかさっき平手打ちされた。でもそんなことより、どうしよー!!!なんか、変に誤解されたんだけど!!!」

「は?平手打ち!?あいつら、私の親友になんてことを!!絶対許さないわ!!

 もう、ちょっと!落ち着いて!って無理そうね。しょうがないから今日は帰るわよ!」


 友梨ちゃんは食器をたちを片付けてくれてる食堂の人に早退することを担任に伝えるようお願いすると私の手を引いて食堂を出ていった。


 友梨ちゃんちの車に乗って家に送ってもらっている間に食堂で何があったのか話した。友梨ちゃんに話してるとだんだん落ち着いてきて、頭の整理ができるようになって来た。


 どうやら私は可愛い美希のことを妬んでミートソースをわざとぶっかけたり、匠との仲を邪魔する嫌な姉だと誤解されてしまったようだな。




 ん?ちょっと待て、こう言うことする人ってなんか知ってる気がするんだけど、、、

 誰だ?そんなことする人なんて知り合いにいない思うんだけどなぁ。


 ハッ!


 いるやん!!可愛いヒロインに嫉妬してイケメンとの仲を邪魔をする、そう、その名も悪役令嬢!!!

 私、もしかして悪役令嬢ポジションにいるのか!?!?

 待て待て待て、落ち着け!落ち着くんだ自分!!!

 無理、落ち着けない!!!!


「私って悪役令嬢だったのーーー!!??」


 車の中で叫んでしまった。

 友梨ちゃんは

「は?悪役令嬢??何それ?と言うかまじで落ち着いて!頭大丈夫??家に送るのやめて病院連れていってあげようか?」

 と、心配してくれたが病院に行くのは丁重にお断りさせていただきました。


「あのね友梨ちゃん、悪役令嬢っていうのはヒロインをいじめる乙女ゲームにいなくてはならない存在なんだよ!それでね、私は美希をいじめる悪役令嬢みたいなんだよ!!」

 家に着くまで、友梨ちゃんに小宮明希・悪役令嬢説を語たりました。


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