#5日常
「ぬわあああん疲れたもおおおおん」
村にある宿のベッドに寝転がりながら、俺はそう言った。
「大きい声出さないでください」
リリナが鬱陶しそうに言った。
「さっきドラゴンとの戦闘があったし、多少はね?」
「まあ、それならしょうがないですね。それにしても、なぜあなたが神光を・・・」
「俺にもわからん」
さっきの神光とやらを放った後、俺は凄まじい疲労感と倦怠感に襲われていた。
魔法ってのも、大変なんだな・・・
「それにしても・・・」
「はい?」
「なんでこの部屋明かりが無いの?」
さっきから真っ暗だ。
何も見えん。
「あなたの聖属性魔法でどうにかしてください。」
「お前は何属性なの?」
「私は風です。風は戦士に加護を与え、大空を舞う力。どう頑張っても光は作れません」
へぇ、風属性なんてのがあるのか。いろんなのがあるんだなぁ・・・
「俺は?」
「あなたは聖属性です。聖属性は万物を照らし、邪心を持つ者を排除する破邪の光。レアな属性なんですよ?」
へぇ、聖ねぇ・・・なんか勇者みたいだな。
「早く明かりを作ってください。またイメージすれば明かりは作れます」
リリナが急かすように言う。仕方ないなぁ・・・
「よっと」
明かりを作るイメージを頭に浮かべながら、力を込める。すると、小さな光が出来た。
「やればできるじゃないですか」
リリナがそう言う。
「お、なんだ?ツンデレか?」
「殺しますよ?」
リリナが手の中に風を作り出した。
「うそうそ。ジョークジョーク。許してくださいお願いしますなんでもしますから!」
俺は土下座した。
「ん?今なんでもするって言いましたよね?」
「えっそれは・・・」
そんな世界一有名なやり取りを繰り広げつつ、俺達の夜は明けていった。
ちなみに─
「じゃあ、宿代はあなたがおごってください。」
それが許してもらえる条件だった。
夜が明け、宿のおじさんに宿泊代14000カラ(この世界の通貨らしい)を払い、宿を後にした。
「じゃあ、森に行って詠唱の練習でもしましょうか」
「詠唱?」
「あなたの魔法は不完全です。安定させるためには、詠唱が必要なんです」
「なるほどなぁ・・・」
こうして、俺の修行は、幕を開けたのだった。