#3 遭遇
「オーケイ。まずは話をしようか」
「はい?」
「君が俺を転移させたって?」
「そうですが?」
「嘘つけィ!絶対転移させてないゾ!」
「本当なんですって」
確かにあの電話の声だ。でもここが異世界だと?信じられるかそんなの!
「ここは異世界じゃないんだろ?」
「いえ、ここは精霊世界です。カラリアです。誰がなんと言おうがこの世界には精霊が存在しています。」
「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「嘘じゃないです」
「イヤァァァァァァァァァァ!!」
「どうしたんですか?あなたが望んだんですよ?異世界転移させてくれって。大草原生やしながら」
「ああ言ったさ!でもなぁ!本当に転移するなんて誰も思わないでしょぉぉぉ!?」
「私は思ってました」
「シャラップ!」
もう・・・なんなんだよ・・・ここが精霊世界?精霊がいる?そんなの信じられるわけない。それに─
「俺がいなくなったら父さんと母さんが心配するだろ!?」
「大丈夫です。向こうの時間止まってるんで。」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
何そのザ・ワー〇ド!?
「う、うぅ・・・俺はここで生活していくしかないのか・・・」
「頑張ってください」
「他人事かよ!?」
「大丈夫です。私もお供するんで」
「そういう問題じゃない!」
「じゃあなんです?」
「住むところも食べるものも服も必要だろ!」
さっきから草の上をゴロゴロしていたせいで服は泥だらけだ。
「どうしよう・・・俺はこのままのたれ死ぬのか・・・?」
「それも良いかもしれませんねぇw」
「笑いながら言うんじゃ─」
俺が反論しようとした時だった。
ガァァァァァァァァォォォォッ!!
「!?」
「これは─」
高い木々の間から、何かが顔を出した。
黒い鱗、鋭い牙、ギラギラ光る目─
「ドラ・・・ゴン・・・?」
紛れもない、ドラゴンだった。