絶望の果てに
初投稿&試験投稿です。
あの日からずっと絶望に染まった世界の中で生きてきた。どうしてこんなことになったのだろう?それすらもうわからない。
そんな風にぼんやりと思考の海の中を漂う。それが私の「日常」だ。そうしていると時々人が訪ねてくる。そろそろかな?……ほら、来た。噂をすればなんとやら、っていうやつだ。私は既に諦めていた。希望にすがるのを止めていた。どうせ落とされるぐらいなら、最初から信じない。何も信じたりはしない。
扉が開く。まったく……ノックくらいはしてほしいものだ。マナーがなっていない。私は思考を手放しながら、訪問者を見つめる。その瞬間、身体中に電撃が走った。私は自分の目を疑った。ついに気が狂ったのかと思った。でも……確かに彼は輝いていた。この絶望の中で、唯一彼だけが彩を持っていた。
あぁ……ついに解放される。この絶望から。彼ならばきっと大丈夫だ。あの勇者ならば、きっと魔王を殺してくれる。
既に私の支配下にない魔王の体が、彼と話していた。私がはっきり感じ取れるのは視覚のみで、会話の内容はほとんどわからない。話が終わったのか、彼が細身の剣を抜く。勇者が持つにしては貧相に感じる剣に少し不安を覚えたが、私は成り行きに身を任せることにした。もとより、私には魔王をどうすることもできない。
彼は値踏みするようにこちらを見たあと、ボソボソと何か呟いた。すると、彼から力強い波動が流れ込んでくるのを感じた。その波動を受けて、魔王が膝から崩れ落ちる。存外あっさりとしたものだ。魔王が末端から崩れていく。私ももう意識を保てそうにない。
朧気な意識のなか、最後に勇者を見ると、少し哀れむような表情で、じっとこちらをうかがっていた。私は感謝の意をこめて、心の中で微笑んだ。
意識が薄れていく……。それと同時に体が軽くなるような感覚を覚えた。この感覚をどれほど待ちわびたことだろう。どれだけ期待し、再び絶望に落とされことだろう。それももう終わりだ。ついに視界が閉ざされる。最後に見たものが彩を持っていた。それが最高の幸福のように感じた。
ありがとう……名前も知らない勇者様。
私の意識が真っ黒に塗りつぶされた。
いかがだったでしょうか。
何か気付きがあれば、アドバイスいただけると嬉しいです。
作者のメンタルはそれなりに強いと思うので、お気軽に辛辣なコメントをどうぞ(笑)