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8

 気付けば終わっていたドレスの話。

 ドレスがどんなものかもわからぬままに、俺はエンジンをかける。

 今日はこの後、美海の両親に会うという一大イベントがあるのだ。


「緊張してる?」


 軽く深呼吸をしていのに気付いたのだろう、美海がニヤニヤと笑いながら俺に聞いてきた。


「う、うん。そりゃ、緊張する。かれこれ、1年くらい会ってないし。」


 少し硬くなっている体が、いつも通りの運転をさせてはくれないが、平静を保てているように見せるくらいには動いている。

 スピードを出し過ぎないようにいつもより心なしか丁寧に運転をしながら、チラリと美海を見る。


「私も、良樹と行くのは二回目だから緊張してる。」


 そう言ってフワリと笑う美海を見ると、なんだか少し安心できた。それに、二人で実家に行くのは嫌ではないのだと思った。


「そうだね。二人ともそう思ってると思うと、なんか気持ちが楽になってきた。あ、音楽でもかけようか?」


 カーナビの画面をオーディオの画面へと変えて、入ってる曲をスライドする。


「あ、これ…。」


 美海が指差したのは、最近、美海がよく聞くバンドの歌だった。美海が好きなのを知って、CDを買ってカーナビの中にデータをおとしておいたのだ。


「これも…、これも。私の好きな曲ばっかりでしょ。」


 気持ち悪がられるかなとも思ったけど、乗った時に美海の好きな曲をかけてあげたいと思うと自然に買ってしまっていた。


「うん…。いれておいた。」


「ありがと!嬉しい…。」


 気持ち悪いと思うどころか、嬉しそうに微笑んでくれる姿に、俺は笑みを浮かべていた。


 たった、30分の道のりは遠くて。でも、30分の道のりは一瞬で過ぎ去ってしまった。

 気付けば家の前に車を停めて、玄関前に立っていた。


 少しばかり古びた玄関のドアを、美海は持っている鍵で開けて、ただいまと声をかけて入っていく。

 ついて行くことはできなかった。

 なんだか、場違いな気がして。


 一度閉まったドアがもう一度開いた。


「もう、何やってんの?寒いんだから、早く入ろう?」


 手を引っ張られて、玄関の中に入る。

 すると、お義父さんとお義母さんが立っていた。


「いらっしゃい。いや、お帰りなさいかしら。うふふ、久しぶりね、良樹君。」


「ほら、早く上がりなさい。今夜は泊まって行くのだろう?母さんが部屋の準備をしておいてくれたぞ。」


 お義父さんは俺とは目を合わせなかったが、言葉の端々に優しさがある気がして、嬉しくなってしまう。

 受け入れてくれている、それは俺にとってとても嬉しい事だったから。

遅れて遅れて申し訳ありません。

とりあえず、一つは投稿します。

なんとか、頑張ります。

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