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俺と美海は高校の三年生の時に同じクラスになって、俺は美海に恋をした。
俺は美海に告白をしなかった。
今以上の関係を望んで、今の会話をできる関係を崩したくなかった。
故に、俺は高校を卒業してから、美海とは一度も会っていなかった。
しかし、そんなある日高校の同窓会があると連絡を受けて行った先には、高校時代に同じクラスだった奴らがいて、久方ぶりに美海と会った。
俺と美海が婚姻する理由には、同窓会は関係ないのだが、それはとりあえず久方ぶりの出会いとしてあげておこう。
同窓会の時点で、俺は22歳。
大学の卒業間近で、卒業論文に苦労していたのを良く覚えている。
それから、3年が経っただろうか?
ある日、俺は俺の担当と10冊目の作品が世に出た事を祝う飲み会をしていた。
その飲み会の帰り、トボトボと家路を歩む俺は、ごみ捨て場の前にへたり込む女性の姿を見た。
何を思ったのかはわからないが、俺はその女性に声をかけた。
何て声をかけたかまでは、覚えていない。
しかし、女性の顔に驚いた事だけは覚えている。
赤間 美海。
俺の高校時代の片思いの人だった。
ポタポタと降り始めた雨と俺の家が近かったこともあり、俺は美海を家へと招いた。
というか、半強制的に連れて帰った。
なんだかんだと雨が強くなったこともあって、俺たちの体はビショビショに濡れていた。
俺はシャワーを浴びろと風呂場に美海を叩き込んで、一人髪を拭いていた。
グチャグチャに濡れた衣服は脱ぎ捨てて、ジャージに着替えていた時に、ふと思った。
美海は、替えの服なんか持っていなかった。
風呂場のドアをドンドンと叩いて、美海へと声をかける。
その時はまだ、呼び方は赤間さんだったし、その名を呼ぶのにすら緊張していたのを覚えている。
返事がなかったので、シャワーを浴びてるのだとドアを開けてみると、膝を抱えて泣いている美海を見つけて俺は途方にくれた。
体は寒さのためか、それとも他に理由があるのかはわからないが、美海は体を震わせていた。
勝手に服を脱がす訳にもいかず、かと言って何もしない訳にはいかなくて…。
何を思ったのかわからないが、気づけば俺は美海の体を抱き締めていた。
濡れて体温を奪われた体は冷たくて、それでもやっぱり女の子の体だから柔らかくて、愛おしいというそんな気持ちが溢れてきた。