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豪太さんにしこたま酒を飲まされ、赤間家のお酒を二人で飲み干した後、部屋へと通された。部屋の隅に置いてあるベッドの横に布団が敷いてあった。
部屋の内装がピンクなどのパステルカラーが多いことを見て、美海の部屋だろうとあたりをつける。
だとすると…、俺が寝転がるべきなのは布団の方だとあたりをつけて、ボフッと倒れこむ。程よく柔らかい弾力に俺は包み込まれる。
思ったよりも酔っているからか、起き上がる力を入れるのが心の底からめんどくさい。というか、起きたくなかった。
カチャッと音がなって、人が入ってくる。
顔だけ向けたら、ペットボトルを持っている美海が入ってきたところだった。
「大丈夫?」
そう言って、美海がペットボトルを手渡してきた。しかし、腹はお酒とつまみでたぷんたぷんしている。しかし、美海が渡してくれた以上、飲まない訳にはいかない。
「大丈夫、だと思う。いつもより、酔っ払ってるわ。」
ペットボトルを受け取って、少し口をつける。冷たい水が俺の喉の中を通り抜けていく。
「ねぇ、話をしてもいい?」
美海から話したいと言われるのは、珍しい。
だから、俺は体を起こした。
「いいよ。何かあった?」
「うん、どうしても、今日話したくて。明日になったら忘れたりしないよね?」
重大な話なのだろうかと、俺は身構えてしまう。とりあえず、今の状態から見ても記憶がなくなることはないだろう。
「うん、大丈夫。」
水の入ったペットボトルに手を伸ばそうか迷ったがやめておく事にして、美海へと体を向ける。
「あのね、その…。私…ね。良樹の事が好きです。」
一瞬、何を言われたかわからなかった。
理解をしていくと同時に、頭が理解するのを拒否する。
「美海も…酔っ払ってる?」
美海は、俺の手をそっと取った。
そのまま体をずらして、俺の隣に来るように座った。
「酔ってないよ。二人でウチにあるお酒全部飲んじゃったじゃん。」
俺もまた、ベッドによしかかる。
「私、良樹に出会えて良かった。良樹と結婚できて良かった。今まで、一緒にいてくれてありがとう。これからも、一緒にいてください。」
俺が驚いて固まっていると、俺の唇に何か柔らかいものが触れた。
眼前には美海の顔があった。
キスしたのだと、わかった。
「お酒臭い…ふふっ。」
そう言って、照れたように笑う美海の顔を見た瞬間に、俺は美海を引き寄せてた。
そして、俺からもう一度、キスをした。
それから、何度も何度も二人は唇を交わらせた。
外伝的な物ですが、二人が結婚するまでの物語を読みたい方がいたら、言っていただければ、書きます。