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3.恋愛成就の説明事項(その1)

 真紀の戸惑いをよそに、ヤマブキは話を続ける。

「それで、真紀はんに、恋を成就させたい相手がいてはるか、いうことですけど」

真紀の頭に浮かんできたのは、佐伯くん。

「えーっと……」

「おっと、すぐに決める必要はありまへん。三日間は、じっくり考えてもらうことになってます。あわてて決めても、変更やらキャンセルはできませんよって」

「え?」

「できません、いうか、責任持たれへん、いうことですな。恋愛成就に取りかかってしもてから、やっぱり違う人で、とか、もういい、て言われると、ややこしいことになりがちですねん。一番ありがちなのが、三角関係でんな。ほかにも、あんなこんなの恋愛関係のもつれ。まあ、いわゆるドロドロですな。そうなっても、責任取られしませんよって」

「はあ……」

 ちょっと怖い。初めての恋愛がドロドロなんて……

 あれっ、あたし、ヤマブキの言うこと、いつの間にか、信じている。それに、なんだか興味もわいてきた。


「それであの、試験ていうことは、うまくいかない、ってこともあるんですよね? つまり、その……」

「わてが試験に失敗する、つまり、真紀はんの恋が成就せえへん、いうことでんな。それは、もちろんあります」

「あ、やっぱり」

「もともとが、恋愛成就の神頼みなんて、そうそう高い成就率ではありまへん」

あ、神さま、自分でそれ言う?

「今回の試験の合格点は、五十点。真紀はんの他にも課題ありますけど、全部の課題をやって、半分の五十点とれれば、合格いうことですわ」

「五十点……」

「あ、今、『低っ』て思いましたやろ」

「え、あの……」

言い当てられて赤くなる真紀。

「五十点でも、相当厳しいハードルですわ。今回は試験の課題やから、真紀はんが恋を成就させたい相手を、真紀はんの中学校の生徒に限らせてもろて、成就率を高く設定しているんですわ。神社に神頼みに来はる人は、とんでもない相手を指名する人も多いさかい、実際の成就率は、そらもう、スズメの涙……おっと、口がすべりました。企業秘密ですさかい、これ以上はかんべんしてください」

ヤマブキが、勝手にしゃべっているだけだけど。


「あの、うちの中学の生徒に限るって……」

「そうです。試験の課題やから、あまりややこしいのは困りますよって、基本的なパターンが課題になってるんですわ。せやから、真紀はんの想い人が、よそにいてはるんやったら、今回はキャンセル。他の人が新たに課題になることになってます」

「あ、それは大丈夫です。それより、あの、さっき言ってた、『とんでもない相手』って?」

「えっ、ああ、はいはい。極端な例で言うと、国民的アイドルとか、有名スポーツ選手なんかでんな。一人に、ぎょうさん恋愛成就祈願者が殺到するわけでっしゃろ。成就するわけがおまへん」

 真紀は、それを聞いてがっくりと肩を落とした。

 佐伯くん、ライバル多そうなんだけど……

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