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ダンジョンマスターと生贄の少女  作者: 緑 素直


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97/99

90:そんなことはないなずだ、と、ダンジョンマスターは戦慄する

「みんな~、ちょっとだけ揺れるよっ! 転ばないように踏ん張ってねっ!」


 タツキがエーテルをダンジョンパーツに変換すると、解放空間だったためか、ガツン、ではなく、ズン、と地面から、腹に響く振動が立ち上がる。


「うわぁ~っ、お城だっ! すご~い、お城ができたよっ!!」

「お兄ちゃん、マオウの手先じゃなくて、魔法使いだったんだね」

 そして、無邪気な子どもたちが大はしゃぎだ。


「ちっちゃいから、お城じゃなくて、砦な。皆さんはここに避難して頂ければ、集会場よりずっと頑丈ですよ」


「な?」

「あ?」

「えええ?」

 そして、あんぐりと口を開けて固まる大人たち。


「そして、俺たちは迎撃だ。ウォルフ、指揮を頼む」

 そうこうしている間にも、ぼとぼとと落下してきた油膜玉が、次々と姿を変え、村へと向かってくるではないか。


「は、はい! ぜ…、前衛の皆さまは、エルローネ様を軸に…砦の入口へ」


「おうよ。坊っちゃんに頂いたこの斧が火を噴くぜ」

 気合高まるヴォルドガングに、いや、火を噴く機能はないかなぁ…。とタツキが苦笑する。

「あ、あの、ロベルト様、これはあくまで技能として修めただけですからね」

「あー、分ってるから」

 そして、何故か頬を染めてロベルトに耳打ちをするエルローネと、彼女の護衛担当のロベルトが即席砦の門扉前に立つ。


「クロベニ」

「出てこい、お前たち」

 そして、彼らの脇を固めるのは、彼女の影から出現した6体の黒砦兵ブラックポーン部隊だ。


「後衛…の、私たちは、チェリ様を軸に…、門扉上から、前衛を支援します! 村民の…皆様とともに、砦に入りましょう」

 そして、

「ルートさんは万が一に備え、治療、解毒関係のポーション準備をお願いします」

「お兄さん、分ったよ!」

砦に向かいながら、いつも自分の隣にいる少女にも指示を出す。


「みんな~、ぼーっとしてないでお城の中に入るよ〜」

「「「はーい!」」」

 基本、子どもたちと同レベルのチェリにとっても、この小さな砦は、立派な「城」であるようだ。彼らを引き連れ、のしのしと砦に入ってゆき、それを大人たちが追う。


「おったまげたぁ。どうなってるんだこれは?」

「おお、集会場よりずっと広くて立派だ」

「不思議ね? 空が見えるのに中は暖かいわ」

「こ、この材質、エリキシル結晶だとっ!?」

 

 それは最も基本的な、灰色の岩パーツで構成された、デザインもへったくれもない砦である。

 タツキは歴史家でも建築家でもないので、砦がどんなものであるかの知識も怪しい。

「ひろーい」

「大きなお家だ。探検しようぜ!」

「あ~、壁に上る階段があるよっ!」

 よって、とりあえず城壁で囲んだ四角い空間を作って、奥側に、大人数が宿泊可能な避難所スペースを作っただけの適当仕様だ。あとは、物語の砦よろしく、城壁の上をぐるりと通路にして、そこから弓で射たり、魔法を撃ったりすることができるようにしてある。


 ダンジョンパーツ破壊不可の法則がこの世界にはあるのだから、これでもきっと、世界最強の砦なのだ。


『サツキ』

『ええ、分っているわ』

 ロベルトたちに手を振って、最後に砦に入ったタツキは、砦に作った尖塔の上へと、こっそりとエルダーガーゴイルを配置し直す。村人たちは砦内部の避難所に興味津々のため、城壁より下を低空で飛んで、ふわりと尖塔に舞い上がった異形の影に気づくものはいない。


『接敵まで、あと数分ってとこかしら』

 これでサツキの視点にもなっているイビル・アイが、砦内部と戦場の両方を見渡せる配置となった。


『視界位置は問題ないか?』

『自分でも調整できるし、大丈夫よ。なんか、戦略ゲームの画面を見ているみたいね』

 もちろんタツキもサツキと同じビジョンを見ることができる。概念消失しているが、斜めに戦場全体を見下ろす視点は、どこか懐かしく、たしかにワクワクするものを感じなくもない。


『一応、いのちだいじに、で頼むぞ』

『ええ。クラウドコントロールは任せなさい』

『ええと?』

『地面からゾンビの手が生えてきて、攻めてくる奴らを適当に分散させるってことよ』

『お、おう』


 どうにも絵面がヤバそうだ。

『村人たちに見えないところで頼むよ』

『仕方ないじゃない。不死族系のトラップパーツはホラーな奴ばっかりなのっ!』


 ああ、それは感情をエーテルとして絞り取るダンジョンマスターにうってつけの罠だなぁ、などと苦笑していると、

『ほらっ、おにぃも、接敵前の今のうちに、しっかりトラップ設置しておくのよ』

『え? トラップ?』

サツキからツッコミが入った。


『はー。これだから、チート持ちは脳筋で困るわ』

『の? ののの、脳筋ちゃうわ!』

 仕組みはよくわからないが、この前みたいにエルローネとチェリに無双してもらって、要所要所で高ランクモンスターでも呼べばいいか。

 ――などと考えていたタツキは、慌ててダンジョンマスターの本能にアクセスし、罠カテゴリーを検索しまくるのだった。


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