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第1章:プロローグ

 地中の2メートル四方の部屋と、大人1人が余裕を持って入れそうなサイズのガラス瓶。

 そこに満タンに蓄えられたオレンジ色に淡く輝く液体。

 そして、ワタシ。


 それがダンジョンマスター、つまりはワタシの誕生直後の風景。


ザ・ザザザ・・ザザ・・・・


 大丈夫。ワタシはマオウ様に「ダンジョンマスターとしての本能」を与えられている。

 よって、最初にすべきことも理解している。


 最優先事項は通気陣の構築。

 ダンジョンマスターは、生きていくために新鮮な空気を必要とする。脳内のビジョンを操作し、ザ・ザザザ・・、殺風景な室内の天井に通気陣を展開。


 とぷり、と音がして巨大ガラス瓶に蓄えられたオレンジ色の液体の水位が、ほんの少し下がる。と同時に、室内に空気の流れを感じる。


ザ・ザザザ・・ザザ・・・・


 次なる優先事項は食料の確保。1日の間に2度から3度、適度な栄養補給をせねば、ダンジョンマスターは生きていけない。


 だがこれも、脳内のビジョンを操作し、瓶に満たされたオレンジ色の液体「エリキシル」を消費することで生み出すことができるため、ザザザ・・、栄養不足を感じるまで、特に意識する必要はない。


 仔馬が生まれてすぐ立ち上がるように。

 雛が最初に見たものを親と認識するように。

 ワタシも「本能」が司るがまま、自身を維持する最低限の行動を果たした。


 であれば、ザザ、次なる行動は自身の存在意義を満たすことに向けられるべきであろう。


 仔馬であれば、やがては誰よりも速く駆けるのがよいだろう。

 雛であれば、やがては誰よりも優雅に大空を舞うのがよいだろう。

 そして、ダンジョンマスターであれば、万人が踏破を望み、しかし、それを果たせぬダンジョンを構築するのがよい。


ザ・ザザザ・・ザザ・・・・


 それが、マオウ様に与えられた「本能」のすべて。ザザ・ザザザ・・・それが、ワタシのすべて。


 で、あるはずなのだが。


「この、のいず、は、いったい、なんなんだろう?」

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