竜種
なんと王族は卵生らしい。
と、いうか種族が違う…守護する土地を浄化する能力持ちが王族…人竜という種族だそうだ。
出生率の低い彼らは、寄せられ交わし合う感情で次代を産む。
人としての機能もあるから、普通の妊娠出産…繁殖手段もとれるらしいけど、基本王は聖竜女という生まれつき魔に耐性をもった女性から産まれ、土地と契約して国を治めるらしい。
国を治める者が王ではなく、国という土地を浄化できる存在が王となる。
土地を浄化しないと人や亜人の住む土地は、どんどん魔に犯され魔物が沢山発生したり腐ったりするらしい。
今は十二人の竜種の代表者が肩代わりしている……うん、産まれてないらしいのだ。
ここ数十年、王様
だから村の前領主が穢れた土地を量産しても、なかなか気付かなかった…竜種でも腐る奴は腐るという例である。
昔はそれなりに力もあったらしいが、妹に聖竜女が産まれ…嫉妬と畏怖で拗ねて堕ちたという話だ。
妹の産む次代王への、嫌がらせって意味もあったんだろうなぁ…
で、苦しめられた領民達にしてみれば、たまったものではないが。
「魂の核が高すぎて、このたびの聖竜女には同じ竜族であっても畏怖しか抱けぬのだよ」
どうやら基本人と竜族では魂の核が違っていて、ある一定以上鍛錬した者達や精神の強い者以外は、見ただけで畏怖してしまうらしい。
村人でとりあえず平気な人が半数以上いるだけでも異常だし、複数人全然平気な村人が存在すること自体奇跡らしい。
私達の村は異常と奇跡の固まりなんだそうな。
苦笑するダンディ老紳士にエスコートされ、似合わないふわっふわドレスを着せられた私は、へぇ~と相槌を打ちながら控えの間に通された。
中には私と同じ黒髪だったり黒い目だったり、それに順する黒っぽい色彩持ちの少年少女達が数人いた。
一同顔色悪く怯えていて…なんか生贄にでもされそうな面持ちだった。
「なんか子供が多いですね」
「基本生まれつき黒の色彩持ちは、すぐ神殿に入れられてある程度の年齢になってから聖竜女と引き会わされるのであるからの」
大人は私一人…なんか居た堪れない。
だって子供達の目が、なにこのおばはん…って言ってますぞ?
それに着てる服も白に銀糸の制服っぽいおそろ…うん教会の正装なんだろうなーってのなんだもん。
私一人、着なれないドレス
……せめてもう十数年若かったらっ、ふぁんたじー定番のドレスにもきゃっきゃうふふしてただろうけどっ、三十路にドレス…しかも無駄に可愛らしい路線はキツイです先生っ!
と、ダンディ老紳士に訴えようと振り返ると、彼はグッドラック★と親指を立てて部屋から退出していった。
…なぜそのゼスチャー?
グッドラック★…で、意味合ってる?
疎外感と孤独感で、役人さんに「こちらへどうぞ」と案内される頃には、私の脳裏にはドナドナがエンドレスループしていたのだった。