落ちこぼれの野良犬。
馬車にひかれかけた日、俺たち三人は魔法学園の試験の日だった。当然結果は最悪。のはずしかし、テルスは一位で通過したもの体が弱いため近場の通学となり北第二学園へ入学と決まった。残る二人は落ちこぼれとして北第二学園に入学。まさかの一位と最下位が同じ学園になってしまった。
「テルス、名門のとこに行けばよかったのにな。お前しか行けないようなとこあったんだぜ?」
「ありがとうアーヴ。でも、僕は二人といたいし…それに、近いしさ。」
「ま、同じがいいならべつにいいがな。」
「アーヴはさ、どこの科に入るの?」
「俺か?俺は魔剣科に行こうと思う。」
「…そっか、僕は回復魔法を勉強しようと思うんだ。ばらばらになっても友達だよね?」
「あぁ。」
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レイは氷魔法を中心にするらしい。テルスは回復魔法。
この国の人間は基本魔力が少しある。たが、俺には魔力なんてなかった。なぜかは分からない、俺にも。羨ましい。嫉妬。だから俺は魔法をあまり使わない魔剣を選んだ。
「明日から学校かよ…」
呟きは風にさらわれ見失われた。
俺には家がない。家族も親族もいない。気がつけば俺は一人で泣いていた。
ーーー横を一人の男が通った。男は俺になんか目もくれないで歩いていった。だか、俺は素早くその男の懐からぶつかったふりをして太った財布を取った。
「すいません。」
「あぁ…いいよ。べつに…」
ーーーぬるい。温室で世間を知らず生きてきたのだろう。貴族街の人間だと一目で分かる腰にさした宝石のついた刀はどれほどよくきれようとも自分の手入れの行き届いたナイフには勝てないだろう。何故かそう思うことができる。
(負けたくないしな。というか、負けらんない)