ついてない。
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「はぁ?ですから今なんと…」
「君を指導員に推薦したいと思う」
私の名前はラスリナ。フィルア王国魔法第三番隊隊長。黒髪の美しい女…のはず。まさか、国王の前で大臣と睨みあうことになるとは。
「国王様!大臣様!私はガキが嫌いと言ったはずでは?!」
「国王からの命令である。すぐ北第二学園へ向かうように」
「くっ…」
ついてない。幼馴染みのシオンは秘密組織に配属が決まったと風の噂を聞いた。
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「ガキとお遊戯かよ…」
学園に向かう馬車に揺られそんな呟きがもれた。
シオンはどうしているだろうか。このところ数年ほど会ってない。会いたい。でも、会ってはいけない気がする。手のひらの上に下級の氷魔法を発動させ、すぐ消した。
くだらない。心の中で呟いた。
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気がつくと辺りは暗くなっており学園に着いていた。眠っていたようだった。伸びをし、空気を思いきり吸った。
(気持ちがいい…)
あいさつを済ませるため私は学園へ向かって歩き始めた。