表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

第一幕その五

オレの第六感が全力でアラートを鳴らしている。

カッターシャツの下に悪寒が走るが無理矢理気にしない方向で。

しかし、高2にもなって夜道が怖いというのも恥ずかしい話だからな……

女子じゃあるまいし。

ゴクリと唾を飲み込み、地面に置きっ放しの買い物袋を抱え上げて路地を進んで行く。

タバコの吸殻や空き缶などが、所々に落ちているかと思っていたが、案外綺麗な道である。

こんな道だから不良もたむろするには躊躇われるのだろう。

1分も歩き続けると、殆ど光が差し込まなくなってくる。

光源はビルとビルの間から見える三日月のみ。

明かりの絶えない表通りとは、まるで別世界だ。

そう、別世界なのである


道の半ばを過ぎたところで、異様な雰囲気に足が止まる。

今までの道となんら変わらない道の筈なのに何かが違う様に感じられる。

さっきよりも深まった闇が、生物としての本能を刺激する。

そして、その中に存在する一際深い闇。

知っている臭いが、苦々しい過去を思いださせる。

下げていた目線をゆっくりと持ち上げ、目を凝らせば、気配の正体を確信した。


長い髪、血に汚れたセーラー服に擦り切れたスカート。

立ち昇る、死を連想させる腐臭。

右腕の欠けた、不自然なシルエット。


月光を仰ぎ見る狂人は、まだこちらに気付いていない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ