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第一幕 その二
担任の先生に事情を説明し、軽い拳骨を有難く頂戴した上で、教室に入って無難に自己紹介を遂行する。
始業式に遅れるというイベントで謎の転校生という称号が手に入るかと思えばそうでもなく、一通り質問攻めを受けた所で、どうやらオレの称号はズボラな高校生に決まった様だった。
学級での顔合わせや様々な取り決めを終わらせて、今日は午前中に帰宅である。
殆どの生徒は部活に行く様だったが、現在帰宅部なオレは一人校門をくぐる。
転校に合わせてマンションに引っ越しを行ったので買い出しも必要だ。
家具は大体揃っていたが、空っぽの冷蔵庫は何となく見るに耐えない。
というかいつまでもコンビニやファミレスに頼れるほどに家計がしっかり者ではないのである。
今になって携帯の地図の存在を思い出したオレは舌打ちをしながら液晶が示す食料品店への最短距離を辿り始めたのだった。