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第8話 イゼルのスタンス

  しかし分かった、どうやらイゼルのスタンスはそう言う感じらしい。


 ぱっと見ピンチでも私個人がどうとでも出来ると判断したのなら見守る事に徹すると言う事だ。


 そりゃ確かにさ、邪神スキルなら何とでもなったけど…じゃあ何のためにこのイゼルって使徒を召喚したのか分からないぞ。


 おそらく『ワールドエンドゴッド』ではパーティーメンバーとして共に戦うってよりサポートメンバー的な立場で支援として攻撃とかサポートをしてくれるキャラクターだったのかも知れないな。


 まっ別にいいか。

 私もお一人様が嫌な訳でもないし。

 取り敢えずはもう少し一人旅を続ける事にしよう。


 そもそもゲームだと幾ら邪神と言っても最初はレベル1で雑魚…確かイムグランデに来る前にこの世界の神様とドンパチして力の大半を失ったって設定だったけ。


 そして自分自身が弱くなったからこの世界の生き物を利用して世界滅亡を企てるのが主人公の邪神アビトースなのだ。


 世界を滅ぼすルートは幾つもあるが、今はそれよりも、そもそも邪神おじさんってバレる事自体に面倒事のニオイしかしない。


 下手に誰かと一緒に行動すると邪神スキルを使えないのも面倒だし、やはり基本的にソロで頑張ろう。


 イゼルとの話も早々に切り上げて私は眠る事にした。

 ちなみに邪神って別に寝る必要とか無いはずなんだけど、この辺も元のおっさんの感覚に引きずられてるっぽい。


 そしてしばらく時間が経過した。


『……それでは行くとします』


「はいっ行ってらっしゃいませ、ご主人様」


 なんか……美人に行ってらっしゃいとか言われたらそれだけで気力が湧いてきてしまった。

 自分の単純さが少し恥ずかしい。

 そんな気持ちを抱えながらイムグランデの分身へと意識を移した。


 翌日の朝、私は目覚める。

 やはりおじさんはおじさんでも邪神スキルで創造されたおじさんボディは違うな。


 ひと眠りしたら昨日の倦怠感とか疲れとかが綺麗さっぱり消え去ってる。


 社会人となって死ぬまで前日の疲れが全く残らなかった日なんて一度もなかったのに……凄い。

 そんな奇跡を体感し、無言で幸福感を得ている。


「……ていつまでもこんな事をやってる場合じゃないか」


 早速おきて身支度をする。

 寝癖を直して歯磨きにトイレだ。

 トイレは普通に水洗トイレでちゃんと清潔だった、こんな所もゲームっぽい世界観故なのかな。

 感謝しかない。


 服装さえ整えれば荷物なんてないのでそのまま宿屋を後にする。

 近場の食堂でモーニング的な軽めの朝ご飯を頂いた。


 その後は残ったお金を使い雑貨屋的な場所で旅人御用達っぽい道具…例えば地図とかランタンとかロープとか寝袋とか肩掛けの鞄やら保存食や飲料出来る水と水筒などを確保した。


 しかし城壁の出入り口にいる人間に私を捕まえたヤツがいたら事なので邪神スキルで姿を消した上で空を飛んでこのウリーズゲルドって街を出る事にした。

 邪神インビジブルと邪神フライ発動!


 邪神おじさんは慎重なのだ。

 流石にまた捕まったらもう力ずくでやってしまおうかなってなるかも知れないからね、お互いの不幸を避ける為である。


 街からある程度離れた人気のない森の中へ降り立つ。

 そして先程買った地図を鞄から取り出す。


 えっと…今いるのは次に向かう予定の街とウリーズゲルドの間に広がる森の中か。


「次の街がフリーラスで、そこに行くにはその間に広がるのがこの『新風吹く深緑の森』でここを抜けて更にその先の『黄緑渓流の山道』を越える必要があると…」


 ネットで見たから知ってるけど、本当に無駄に地名に凝った名前をつけられてるな、地図を見た時におって思った。


 やはりこの世界はゲームをベースとしている、この『新風吹く深緑の森』にはみんなが知る雑魚モンスターであるゴブリンや角ウサギにスライムと言うレベル1でも余裕で倒せるモンスターが殆どなのだ。


 ……まったまに例外もいるけどね。

 それはいいとしてそろそろアレをするときが近付いてると思う。


 そうっ異世界に来たら必ず起こるイベント、それはモンスターとのバトルだ。

 いやっイベントって程でもないか。


 しかし少し前までリーマンやってたおじさんが武器持ってモンスターと戦うとか、個人的には人生の中でも指折りの大事件なんだよ。


 

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