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第46話 悪役ロールプレイ

「きっききき貴様は何者だ!? 何故いきなり攻撃魔法なんて放った、正気なのか!?」


「少し落ち着きなさい、これはファンファーレです」


「ファンファーレ……だと?」


 おっとこちらは蜥蜴人リザードマン陣営の指揮官らしき少女の声だ。

 女性らしさと幼さが合わさった感じの美声である。

 しかしその声には静かな怒りを感じる。


「貴様が何者かは知らぬ、しかしこれは人間と我らの争い。何の理由があって介入してきた?」


「……暇つぶしですが、何か?」


「「!?」」


 ハロルドと指揮官少女、もちろんそれ以外にもいる大勢が再び驚愕するのが見てとれた。

 そうっ今回の悪役ロールプレイでは理不尽さに重きを置いている私だ。


 当然向こうからは文句が飛ぶ。


「頭がおかしいのか!?」


「失礼な、私は単なる観光客ですよ。貴方がたの争いに何を思う事はありません、アレは単なるプレゼントですので後はお好きにどうぞ?」


 両陣営の人間、蜥蜴人リザードマン問わず文句が飛んでくるがこれらは邪神スピーカーではカット。

 私がやり取りするのはハロルドと指揮官少女のみである。


「……それではこれ以上は何も手を出してはこないと?」


「ええっ」


「ならば我らは戦いを続けるぞ」


「ヒィッ!?」


 ハロルド、ビビりすぎ。

 ちゃんとフォローするから弱腰だって事を向こうに伝えないで欲しい。


「……しかし戦いの勝者に何もないと言うのは頂けません」


「ほうっ……何か勝った側にあるのか?」


「ええっもちろん。勝った方はこの私が直々にその一族を根絶やしするというのは如何でしょうか?」


「なっ!?」

「ハァアッ!?」


 悪いけどこの顔面黒男は交渉とか話し合いをしても一切無駄な理不尽オバケみたいなキャラを目指してるんだ。


 まともな話が通じない馬鹿げた魔法を使う謎の存在、そんなのが傍にいて戦争なんて普通は出来ないよね?


 指揮官少女よ、このまま戦争なんてさせませんよ。


「キサマ……!」


「この私の手で直接滅ぼされる。これ程の名誉は滅多ありませんよ? きっと貴女の後ろにある国の同族たちも喜んで滅びる事でしょう」


「くっ!」


 さり気なく彼女の後ろにいるスケイルノートの蜥蜴人リザードマン全員が対象である旨を伝える。

 さ~て? ここからどう出るかな指揮官少女。

 ハロルドは……なんか青い顔で今にも気絶しそうだな、もう少し大将として頑張れ。


「ふっぶさけるなぁあっ!」


 おや?


「あんな訳の分からんヤツにやられてたまるか!」

「街の皆を皆殺しにさせたりしないぞ!」

「この変な兜を被った変態野郎!」

「どんな私服のセンスしてんだ、キモいんだよ!」

「ヤツを撃ち落とせ!」

「皆を守るんだ!」

「黒男が、死ね!」


 人間、蜥蜴人リザードマン双方からの野次が凄い。

 て言うか中には私の心にグサッとくるのが混じってるのは何なの?

 おじさんを精神的に追い詰めても誰にも何の得もないと思いますよ。


 まあ個神こじんで戦争に介入してる私が言えた義理じゃないけどさ。

 そうしていると遂に両陣営の魔導師ジョブと思われる手合いから魔法が飛んで来だした。


 やられる前にやれの精神だね。

 戦争には必要なものだろうけどここで発揮して欲しくはなかった。


「なっ何を先走っているんだ!?」


「今すぐ辞めさせろ!」


 ハロルドと指揮官少女が共にかなり困ってる。

 指示もなく魔法を使い始めるとか完全に軍が暴走してるからだ。

 仕方ない、ここは悪役ロールプレイ中の私がもう少し頑張るとしますか。


「……少し、黙りなさい」

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